<すべての魔法が消えた街へ>
某所で書いたものをちょっと書き直して投稿。
<すべての魔法が消えた街へ>
「すべては過去になる」
時間経過という不変の摂理は如何様にも操作できない。 それは未来という未知数のものでさえ、人間の意識の恒久性を待たずして気付けば過去になってしまっているからである。思えば最近はそんなことばかりだった。
人間は未来を思うときよりも過去を思うときの方が死を意識する。あらゆる過去に対して経過する時間によって記憶はリアリティーを失っていき、いずれ忘れ去ってしまう。過去の新鮮さも現在に浸食されてノスタルジーの海の中に沈んでしまう。そうして人間はあらゆるものを失っていくし、それはひどくタナトスへと向かい、死を意識させるものである。
幸福は幸福を繋いだり、不幸は不幸を繋いだりする。
人間は現在をもっとも意識する生き物だからこそ、人間というのは不安定な生き物なのだ。それは極めて人間らしさの溢れたものなのかも知れない、でもそれは逆に考えればとても寂しいものであると思う。それは最近になってどんどんと膨らんでいく。あるゆる経験は過去になり、いずれノスタルジーに変わっていくからだ。しかしそれも大人であるからこそ仕方のないことであるともいえる。
社会の作りだしたプライバシーと必然的距離が作りだしたフィルターは人間に二度の出会いを作りだした。それはまだ人間として未知の部分であり未開拓の部分であるのかもしれない、でもそれを人間はどんどんと許容している、彼自身もそうだ。
それが人間の進化なのか順応なのかはわからない。
でも確かに出会ったときから人間と人間の関係だった。
それは今もこれからも変わらない、たとえ二度目の出会いを経たとしても。
言葉にならないものの焦燥感の中で僕はすべてのフィルターを外し、本来の人間と人間の生身の関係に戻るためにいく。 その重要性は非言語コミュニケーションの中に内包されていくことだろう。
一年と少しぶりの東京の街へ。
約1年前とは目的も意識も変えて、彼は向かっていく。
次回いよいよ最終話!というか本番です。お楽しみにw




