前文~クローン
<前文>
私を掴んでほしい
私を触ってほしい
私を愛してほしい
動物と言語、時間と距離、アイらしく回る時間、君の声が記憶をめぐる。
私を貶してほしい
私を憎んでほしい
私を傷つけてほしい
私を壊してほしい
私を忘れてほしい
<クローン>
“死後硬直 黒い意識のその果てに 哀れなき身の 溺れる時かな”
たとえば君は日記の中に“本当の自分がいるよ”と言った、それが本心で偽りがないと言った。でも私は残念なくらいにそこに君の心を感じられなかったの。
どうして寂しいと書かなかったの?
どうして愛してほしいと書かなかったの?
そこには君の欲求と言えるものは何もなかったよ?
それが君の本心だと言うの?
本心と言えるものはなんでしょう
私は虚ろ眼で考える
思想、幻想のモノクローム
終わりなきシナプス上の思考連鎖
でもね、君はそこにリアルでの人の悪口を叩き殴るように書いてるだけだったの
君は感情をぶつけるだけの言葉を思いつきのように書きなぐっていた。
ただ現実よりも匿名性の高い場所で、君の悪口に頷いてる人がいれば済むだけ、とても君の方が軽傷だった。
君は君自身が傷ついている部分にさえ気づいていないように見えた、私はそれぐらい壊れているの、愛されたいと壊れているの。アイシタイと物を投げて怒り狂っているのよ。




