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ゴルフが出来ない魔王城  作者: 星狼


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2/5

宮本さん、明日行けません

魔王城の謁見の間は、乱入の余波でまだ埃が舞っていた。

蹴破られた扉の破片が床に散らばり、炎の燭台の火が揺れて影を長く伸ばす。

デモニオは王座に座り直そうとして、尻が滑り、慌てて体勢を整える。

バルバトスは大股で近づき、血走った目をさらにギラつかせながら、デモニオを見下ろしていた。


「お前、何やっとんねんボケ。今、どうなってんねん、ボケ。なんか滅茶苦茶やっとるみたいやのぉ?」


バルバトスは一歩、また一歩と王座に迫る。

その足音が、謁見の間に重く響く。

デモニオの額に、冷や汗が一筋伝う。


「い、いや……親父、あの、その……」


バルバトスは鼻息を荒くし、腕を組んで睨みつける。

その眼光は、まるで獲物を追い詰めた獣のようだった。


「お前、ワシ、宮本さんから色々聞いたぞ?宮本さん、ゴルフに誘ったら、ちょっと明日は行けませんって言うて、なんで行けへんか聞いたら、お前がなんか宮本さんの街襲って滅茶苦茶したらしいな……?」


デモニオの顔が青ざめる。

瞳が泳ぎ、口がぱくぱくと開閉する。


「えっ、えっと……そ、その宮本さんの住んでる街って何処かな……?」


バルバトスは一瞬、固まる。

そして、ゆっくりと眉を吊り上げた。


「……お前、自分が襲った街の名前も覚えとらんのか?」


「違います違います違います……!確認です確認です確認です……!現状把握する為の確認行為です……!」


バルバトスは深く息を吸い、吐き出す。

その息が、炎の燭台を一瞬強く揺らした。


「キュレムタウンじゃ、クソボケが!ワシ、散々言うたよな!?あの街、ゴルフ仲間の宮本さんがおるから絶対に襲うなって言うてたよな!?それに、あの街、武具工業が盛んで、うちと取り引きしとるんちゃうんか!?」


デモニオは王座の肘掛けを握りしめ、必死に言葉を探す。


「あっ、キュレムタウン……!あの違います……!キュレムタウンを襲ったのは事情があったんです……!」


バルバトスは腕を組み、顎を突き出す。


「おう、言うてみや?お前、半端な理由やったら、ワシが宮本さんの代わりにボッコボコにするぞ?」


デモニオは視線を逸らし、指をいじくりながら小声で呟く。


「いや、あの街、武具工業が盛んだけど、高値で売りつけてくるじゃん……?それで、あの……ね……?まぁ、こういう感じに収めましょうかなぁ……って……」


バルバトスの顔が、真っ赤に染まる。

血管が浮き上がり、拳が震える。


「何が収めるじゃ、クソボケ!戦争始まっとるやないか!?お前、何考えとるねん!アホか!?」


デモニオは慌てて身を縮め、指をセバスチャンに向ける。


「違う違う違う違うっ……!言い出したのは、俺じゃない……!提案したのは、セバスチャン……!セバスチャンが言い出したの……!」


バルバトスはゆっくりと視線をセバスチャンに移す。

セバスチャンは直立不動のまま、微動だにしない。


「……あっ?セバっちゃんが言い出したんか?」


謁見の間に、再び重い静寂が落ちる。

炎の揺らめきが、三人の影を長く伸ばしていた。

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