正義の対義語
リベリオン:200年前パラネトからオロガルドに避難してきた外国人のこと。現在ではアミルの父がリーダーとしてまとめている。文化的な違いからオロガルドの住民からは嫌われている。
「ふぅ~。やっと終わった。もう疲れたよ~」
腕を上にあげ,あくびをしながらペトラが近づく。
「いや,ずっと授業中寝てたじゃん。」
エミールは,ばつが悪そうな表情を浮かべた。
「そんなことより,ご飯食べようよー」
「そうだね…」
エミールたちが食事を買い,教室に戻る。
「ねぇ,これやばくない」
「アミルだよな」
教室中がスマホをみて,ひそひそと話してる。
「みんな!どうしたの!」
「ペトラ,これ見て」
ペトラの友達が画面を見せてくる。
「アミルか,またこんなことやっているのか。本当に困ったもんだね」
エミールも見せてもらうと,朝会った少年の姿があった。
「この子は…」
「どうしたのエミール。アミルと何かあったの…」
「いや…」
エミールはペトラから顔を背けた。
キンーコンーカン・コーン
「よし,今日の授業も終わりだ。エミール,新しくできたモールに行かない?新店のスイーツがおいしそうで…」
「ごめん,今日も仕事あるから早く帰らなくちゃ…」
「そっか,そうだよね…」
ペトラは涙を浮かべながら,エミールを見つめる。
「今週末は休みだから,もしその日でよければ行く?」
「もちろんさ!楽しみだな~」
「じゃあ俺帰るね!」
「じゃあね!」
エミールは遅れないよう,走って駅に向かった。駅を降りるとビルの建設現場を横切る。入口から人が出てきて,ぶつかりそうになる。エミールが顔を上げると朝ぶつかった大男だった。大男はエミールをにらみつけどこかに行ってしまった。
屋敷につくと,すぐに準備をはじめ授業を行い,その後夕飯の用意をしエミールの仕事が終わった。
ピーピー…
週末を継げるチャイムが鳴った。
週に一回の休日,今日はペトラとの約束がある。
コンコンコン
「イレーネ様,おはようございます。本日は休暇を頂戴しているため,出かけてまいります。」
「休日なんだし,好きにしなさい。」
「はい,失礼します。」
エミールは屋敷の鍵を閉め,駅に向かった。
建設現場に差し掛かったところで聞き覚えのある声が聞こえてくる。
「おい,柱の位置がずれてるやり直しだ!」
エミールは建設現場のフェンスの隙間から,中を覗いた。
そこには昨日の少年の姿がある。どうやら,停学中に仕事の手伝いをしているらしい。
エミールはそっと立ち去ろうと後ずさりをしたが,何かにあたった。エミールはそっと後ろを振り返るとそこには大男の姿があった。エミールは硬直していると,大きな声が聞こえる
「あいつ,遅いなぁ,ちょっと見てくるか?」
間違いない,アミルの声だ。エミールは心の中で手を合わせながらアミルが助けてくれることを祈った。
「おーい,仕事さぼるなよ」
男はアミルの言葉を聞いても,動かない。
「どうしたんだ…」
「あっ,この前の!」
「あはは…,どうも…」
助けてくれてほっとしたのも束の間,エミールは心配になった。しかし,アミルの口から出た言葉は意外なものだった。
「この前は悪いことしたな。」
「えっ…」
「ほら,俺の仲間がじいさんの財布を盗んだ件だよ。」
アミルはこの前の件にエミールを巻き込んでしまったことについて謝罪してきた。
「その件か,いえいえ,じゃあ俺いかないといけないから…」
エミールは一刻も早く立ち去り,アミルとはできる限りかかわらないように努めた。
「お前ちょっと待てよ…」
エミールは手をつかまれてしまう。エミールの計画は崩れた。
「せっかくだし,ちょっと話そうぜ,同じ学園どうし」
「なんで,知ってるの?」
「この前着てた制服,うちのだろ。しかも名札の色を見るに俺と同じ学年だ。」
「すごい観察眼だね…。」
「なぁ,お前の名前はなんていうんだ?」
「エミールです。」
エミールは力ない声でそう答える。
「俺はアミル。よろしくな!」
エミールとは対照的な表情で答え,続ける。
その後,エミールとアミールは学園の話,ゲームの話で盛り上がり,エミールは自分の疑問をぶつけることにした。
「なぁ,この前のおじいちゃんの件。なんで正直に話さなかったんだ。」
「あぁ…」
アミルは少し間を置き,重い口を開ける
「俺たちの先祖はパラネトに住んでいた。パラネトは自然豊かな国で,国民は優しく,決して裕福ではなかったが,国民が一団となっていた。しかし,500年前すべてが変わった。」
500年前,5柱の神とその国民たちはそれぞれの支配領域をめぐって争った。戦火は街を襲い,それぞれの神と人が築いてきた文明のほとんどが破壊された。結果として,世界の人口の約7割が亡くなった。
「敵を殲滅するため,多くの武器が作られた。その材料としてパラネトの資源が使われ,枯渇してしまった。」
「戦後,資源が取れなくなったパラネトは世界から相手にされなくなった。そのせいで,国内の経済が回らなくなり,内政が安定しなくなり,無法地帯と化したんだ…」
「200年前,俺たちの先祖はパラネトからオロガルドに避難することを選んだ。しかし,文化的な違いからどうしても誤解されることが多かった。今もその状況は変わっていない…」
アミルは視線を落とすが,再びエミール強く見つめた。
「でもあいつらほんとはすごいいいやつなんだ。」
「だから,あいつらがいつか分かってくれると思って守ってるんだよ。」
(案外悪いやつじゃないかもしれない)
エミールはそう思った。
プルルル…
エミールの電話が鳴った。
「もしもし」
「エミール?やっとでた。今何してるの?」
ペトラからの電話だった。声色から察するに,…
エミールの全身から血の気が引いた。
「ごめん,ちょっと野暮用で遅れちゃって…。次の電車では必ず向かうから。」
「わかった。でも,もし遅れたらもう知らないんだから。」
プーップーッ
エミールはアミルに事情を説明し,すぐに駅に向かった。
エミールは何とか電車に間に合い,最寄りの駅に着く。
改札を出たエミールは怒ったペトラが脳裏に浮かび,急いでモールに向かう。
「おそーい!」
「今まで何してたのさ!」
見覚えのない女性が,エミールに詰め寄る。
「…ペトラ?」
エミールは首をかしげながら答える。
「そうだよ!まったく約束を忘れたかと思ったら,私のことも忘れちゃったわけ?」
エミールをにらみつける。
しかし,エミールがわからなかったのも無理はない。ペトラはいつも髪をポニーテールにまとめ,制服の上から白衣を着ているが,今日はいつもと違い髪を肩まで伸ばし,白いフリフリの付いたシャツの上からピンクのアウターを羽織っていて,いつもの雰囲気とは全然違っていた。
「まず,遅れたことはごめん,でも気づかなかったのはペトラがいつもと違う雰囲気だからだっただけだよ…」
ペトラはおそるおそる口を開く
「…どう?」
「とっても似合っていると思う。かわいいよ。」
「…!!ほら早くいかなくちゃ売り切れちゃうよ。」
ペトラは頬を赤く染め,話題を変えた。
二人は目的のお店の前に到着した。
「ねぇ,エミール何食べる。」
「どうしようかな。
…ペトラはもう決まった?」
「うん!これにする~」
エミールはチョコとクリームがたっぷり乗ったクレープをゆびを指す。
「そっか,じゃあ俺はこれにしようかな」
「じゃあ注文しに行こうか!」
二人は店内に入り,案内された席に座り,注文を行う。
「これとこれください」
「お客様,大変申し訳ございません。時間の関係上一枚しかクレープが作れなくて…」
「うそ~!」
泣きそうな目がエミールを見つめる。
「じゃあ,俺はいいよ。もともとはペトラが誘ってくれたから,ペトラのを注文しよう」
涙でかすんだ目が一瞬にして輝いた。
「本当に!いいの!」
「うん,じゃあこれでお願いします。」
「ご注文承りました。少々お待ちください。」
そういうと店員は去って行った。
注文してから5分程度でクレープが届いた。
ペトラは目を輝かせながら,かぶりつく。
「美味し~!!,もう最高だよ。エミールも食べる?」
「おれは良いよ。ペトラが食べな。」
「もう遠慮しないの!」
ペトラがエミールの前にクレープを差し出す。
「じゃあ,いただきます…
美味しい!!」
「でしょ!」
二人はクレープを堪能し,クレープ店を後にする。その後,二人でモールを見て回り,夕方ごろに解散した。
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