オリオン
ウェスト学園:オロガルドを代表するような学園でオロガルド中の秀才達が集まる。入学するためには一般の入学テストを受け合格するか,特待生枠のテストを受け合格するか,外国人特別枠で入学するかのどれかである。また,秀才たちにふさわしい施設を有している。例えば,学食は3つあり,オロガルドで有名な料理人が作る料理が味わえる。図書館ではここでしか読めないような古文書から最新の研究をまとめた論文まで様々な本をそろえている。
ちなみに,エミールとイレーネは別のクラスである。
午後の授業を終え,エミールは急いで屋敷に帰宅した。
「遅い!早く準備して」
エミールはカバンから教科書とノートを取り出し,昨夜予習した内容を教え始める。
「ここまで大丈夫でしょうか?」
「うん」
「では次の内容に行きましょう」
「このころ,この世界の創造主は5柱の神を生み出し,それぞれの地域の統治を任せました。オロガルドは水神ネフテリア様が収めることとなりました。人々は神を信仰し,平和が訪れました。…」
「この話は知っているわ!現オロガルド女王のアデリア様はネフテリア様の血筋なんでしょ」
「その通りです。噂によると,アデリア様は水神の力を引き継いでいて,思いのままに水を操れるらしいですよ!」
「へぇ~」
「失礼しました。続けます。…」
その後,約1時間授業が続き
「今日はこのへんにしましょう。イレーネ様お疲れ様でした。」
「あんたもね。」
「お気遣いありがとうございます。それでは,私は夕飯の用意を致しますので。少々自室でお待ちください。」
(数十分後)
(ドアをノックする音)
「イレーネ様,お食事のご用意ができました。」
「わかったわ,すぐ行く」
「承知いたしました。失礼します。」
エミールとイレーネは食卓に着く。そこには二人の姿しかない。二人はもくもくと食べ続けていたが,突然イレーネが口を開く。
「昼休みの件だけど…」
「?」
「ほら,購買での出来事。オロカルドは近年移民が増え過ぎた,移民の数に比例して治安が悪くなっているのもみんな知っている。…」
イレーネは眉をひそめ,少し間を置く。
「ただ,関わらないことね…。じゃあ,ごちそうさま。」
それだけ言うとイレーネは自室に戻っていった。
エミールは片づけを行い,その後自室に戻り,勉強をしてから就寝した。
「信じてくれ,エミール,俺は何もしてない。俺ははめられたんだ」
父親は不安そうなエミールの目を見ながら,続ける。
「エミール____には気をつけろ。俺はあいつに_」
ピーピー…
ボンクラな時計が鳴る。
キッチンに向かい,火をつける。
ギー
ドアの音がした方をふと見ると,そこには昨日いなかったクラウスの姿があった。どうやらエミールが就寝したのちに帰宅していたらしい。
「おはようございます。クラウス様。」
「おはよう,今日から急遽ダルガリでの会談に臨むことになった。一週間屋敷を開けるから頼んだよ。」
「承知しました。」
「じゃあ,私はもういくよ。」
「行ってらっしゃいませ。」
エミールは屋敷での仕事を終え,学園に向かう。
エミールは屋敷を出て,まっすぐ進むと大きな川が見える。
この川はルンガ川といい,オロガルドの3大河川の一つである。澄んだ水が流れていて,水神の国にふさわしい立派な川だ。
エミールはルンガ川にかかる橋を渡り切り,曲がり角を右に曲がる。そのまままっすぐ進み,3つ目の信号を左に曲がると駅に着く。
エミールが信号に差し掛かると,息を切らしながら走っている大男とぶつかる。エミールが謝ろうとする間もなく,大男は立ち去ってしまう。
「おーい,誰か助けてくれ!」
曲がり角の奥から老人の声が聞こえる。
エミールは老人のもとに向かう。
「どうしたの,おじいちゃん」
「この道を歩いてたら,後ろから走ってきた男に財布を取られたんじゃ。あれは妻からもらった大事な財布なんじゃよ…」
(もしかして…)
「分かったよ。おじいちゃんはまず警察に連絡して,俺は追いつけるかわからないけど,追いかけてみるよ!」
「…ありがとう。でも無理はしないでな。」
エミールはぶつかった男の特徴を思い出しながら,今来た道を急いで戻った。しかし,男は見つからない。エミールはおじいちゃんに報告するため引き返そうとした。
「アミルさん,やりました。ジジイから財布を盗んでやりましたよ。」
犯人はこの路地の裏にいるようだ。エミールが走り出そうとすると。
ドン!
小さく鈍い音が鳴った後大きな声が鳴り響く。
「おまえ,ふざけんな!早く返してこい!」
エミールは気になりそっと顔を出すと,倒れる男と少年がいた。
「誰だ!」
「ごめん,盗み聞きしてたわけじゃないんだけど,財布を取り返すように言われて」
「そっか。本当に申し訳ない。おじいちゃんにもそう言っといてくれ」
少年は申し訳なさそうに,エミールに財布を渡そうとした。
「動くな!」
「チッ」
最悪のタイミングだ。
「アミル,署まで来てもらおう」
「…」
アミルは警察官を睨みつけながらもおとなしく,警察車両に乗り込んだ。その場で少し事情を警察官に話し,駅に急いで向かったが電車には間に合わず。結局一本後の電車に乗り,1時間遅れて学園についた。
「おはよう,エミール。遅刻かい?エミールらしくない。」
「その通りです。エミールさん時間は守らないといけないっす」
「おはよう,ペトラ,トントン。実は…」
ペトラとトントンに朝の出来事を話す。
「そっか,それは災難だったね。それにしても,最近,町の治安が悪くて困っちゃうよ。どうにかしないとね…」
ペトラがぼやき,教室の窓から空を見つめる。
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