表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

日沈む国

オロガルド:水神が収めていた国。500年前の大戦に敗戦した。戦勝国の国々の要求によって,水神は直接政治に絡むことができなくなり,国民から選ばれた首相が政治を行い国を統治することとなった。水神はこの国の象徴としての立場のみ有するものとなった。近年では,様々な社会問題が引き起こされている。

「判決を言い渡す。主文,被告人を死刑に処する」


「ふざけんな,俺が何をしたってんだ,ただ俺は…」


「静かに,警備員取り押さえろ」

春のやわらかな風が吹く一年前,俺のおやじは死んだ。


「…,もう朝か…,」

エミールは,この一年間ずっとこの悪夢を見る。エミールの父親は3年前,国家転覆罪で捕まり,1年前処刑された。この件によってエミール一家も没落してしまった。


エミールはパジャマから作業着に素早く着替え,

キッチンに向かい,朝食の準備をする。


「…」


「おはようございます。クラウス様」


「おはよう,今日の予定は?」


「はい,本日のご予定は

9時から12時まで議会での答弁,

12時から14時までダルガリ共和国のアルデバラン様との会食…

…となっております。」


「答弁内容は考えたか?」


「はい,こちらにまとめております。」


「そうか…」


_クラウス・エルトルト

民主国家オロガルドの由緒正しき家系クラウス家の第18代当主にして,この国の首相。父が亡くなり,悲しみに暮れていたエミールに娘の家庭教師兼雑用として屋敷に住むことを許してくれた人だ。



「そういえば,イレーネの勉強の調子はどうだ。」


「はい,熱心に取り組んでいます。」


「それは良かった,期待しているよ。」


「クラウス様,朝食は…」


「いらない,捨てといてくれ。では」

クラウスはそっけなく書類を抱えて,部屋を出ていった,朝食のにおいが鼻をかすめる。


「(ノックをする音),イレーネ様おはようございます。学校に遅れてしまいますよ。」



「うるさい…あんたお父様の召使でしょ,毎朝起こしに来なくてもいいじゃない,真面目すぎるのよ」


「これも仕事のうちです。起きてください。」


「分かったから,どっか行って」


「承知しました。」


数分後イレーネは身支度を整え,食卓に現れた。

_イレーネ・エルトルト

クラウス・エルトルトの娘。幼いころから,英才教育を受け,オロガルドの名門学園であるウェスト学園に小学部から通い,1年前のテストでエミールに譲るまでは,常に学年トップの座を守り続けた、才色兼備のエリートである。


イレーネは朝食をたべ終わると,すぐ家を出ていく。エミールは片づけを行ったあと,屋敷を後にした。


屋敷の花壇には一輪だけ枯れた花が混じっていた。誰の目にも留まらぬまま、朝の光に溶けていた。


お読みいただき、誠にありがとうございました。

「面白い」,「続きが見てみたい」

と思っていただけたら、ブクマや評価をつけていただけますと幸いです。

(作者が泣いて喜びます。)

よろしければご協力いただければ幸いです。


引き続き,よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ