8話なんだチミは?!
新たな協力者、杉原里香とお互い想い人の情報を集め、交換するという同盟を結んだ僕は、まだ日が高いのにも関わらずショウちゃんと学校から離れた商店街を歩いていた。
部活道で使う道場に居ないのには、そこまで深くない訳がある。
部活、それは学校の教員の下で学生・生徒が始業前や放課後に行う活動の事を言う。だが、殆どの部活には定休日なる物が、存在し例に漏れず当然我が部活剣道部にも定休日というのがある。
ならその日は練習は出来ないのかというとそうではない、何故なら部活がないなら道場に行けばいいじゃないと言ったショウアントワネットの名言に感銘を受けた僕達は道場の前に辿り着く。
「お前緊張しすぎ、今から稽古するのにそんなんじゃ持たないぞ」
「だってうちの部活はアットホームだったけど剣道って基本厳しいし、パワハラされたらどうしようって」
「安心しろ、リサーチ通りならここの指導者は人格者だし指導力も高い。だからお前がビビってら事にならない」
「本当!!やっぱり持つべきはショウちゃんだよね」
「一家に一台みたいに言うのはやめろ。それに今日は見学だけだ」
軽口を交わしながら道場の中に入っていく。中で僕を待っていたのは、色んな年代の人達の稽古する姿だった。部内での雰囲気とは違い稽古って感じが強い。
なんかここにいるだけで強くなれそうだ。
「凄いね!!ショ……」
「どうした?いいから早く挨拶行く……」
僕たちが2人して固まるのも無理は無いだろう。何故なら、僕の片思いの相手である栗花落皐月が、いるだけでなく楽しそうにの20代前半ぐらいの爽やかなイケメンと微笑を浮かべて話しているからだ。
いつもクールであんまり笑わないのに、笑ってる?!かわえーーーーーーじゃなくて!!栗花落先輩もここの道場通ってたんだ。やったーっじゃなくて、相手のイケメンだれーーーーーーーー!!という心の叫びが身体中にこだまするのだった。
僕は、青い顔をしながらショウちゃんと帰路についていた。
あの後は師範に挨拶した後栗花落先輩とムカツクイケメンあと、その他の皆様の稽古をガンギマリの目で見学させてもらった。主に先輩とイケメン
師範は、東野孝吉という髪をオールバックにした40代ぐらいの行けてるおじさんだった。
ストレート強くなりたくて来たと言っても気さくな人で僕の早く強くなりたいって想いを汲んでくれるいい人だった。
「礼儀作法さえちゃと出来るならその気持ちは成長する為の手助けになる」と言ってくれたのは素直に嬉しかった。先輩もいるしこれから週一であそこに通うのが楽しみである。
だが、問題はあの爽やかイケメンである。師範に「あの人凄いつよいですねー」とそれとなく聞いて見ると、聞けたのだが有段者の警官だった。
下の年代に率先してアドバイスをくれる。好青年という東野師範からも好評なあやつは敵である。
絶対あいつより強くなってやると心に誓いながら俺より何故か凹んでいるショウちゃんに声をかける。
「で、なんでショウちゃんは凹んでの?自分の防具から有り得ないくらい臭い匂いでもした?」
「……してない。俺が、凹んでたのは、お前の言うイケメンのせいだ」
「あの爽やかイケメンに文字通り顔負けしたからってだけで凹みすぎだってハハハハ」
「……」
「話したくないならいいけど本当にどしたの?」
良くも悪くも感情の浮き沈みを、表に出さない将吾が、珍しく真面目に悩み落ち込んでる。彼にとっては余程の事だったのだろう。ここは話を聞いてあげるのが親友の僕の役目だと思い聞いてみる。
暫く間沈黙が続く、数分は経ったんじゃないかと思う頃にショウちゃんは、立ち止まり意を決したのか覚悟の決まった顔で僕を見る。
「……従兄弟なんだ……」
「え?」
たっぷり数秒時間かけて小声で絞り出すよう言った言葉が小さすぎて聞き取れず聞き返してしまう。
「あの人、俺の従兄弟なんだ」
「holly sit」
僕はマジであまりの驚きで最近覚えたての熟語を放っした。
コンビニのイートインスペースでサラダチキンを食べながら話を聞く。なんでもあの、道場は10才年上の爽やかイケメン事、従兄弟の葉山冬獅郎の紹介で決めたらしく。
あの場に栗花落先輩いるとは知りもしなかったらしいそして、なんか仲良いというのも知らなかったとはいえ、なんというか僕に酷い仕打ちをしてしまったと考えているらしい。
「すまない。リサーチ不足でお前には見たくない物を見せた」
「ねぇショウちゃん。そんなしょうもないな事で顔青くしてたの?」
「え?」
「気にしすぎだよ。これだから完璧主義は困るよ。俺はね、最近ゲームで気づいたんだけど、敵がいる程燃えるタイプなんだよ」
「なんだいきなり、どうした?」
「まぁ、なにが言いたいかっていうと最後は結局、僕が剣道でも恋愛でも勝つからそんな気にしないでよ。寧ろ今日強敵がいる事がわかって良かったよ」
「だが、お前にやな気持ちを」
「観たいものだけを観るのもなんか違うでしょ」
観たいものだけ写す都合の良い目は生憎持ち合わせていないのだ。ならば、受け入れて前に進まないと時間が、勿体無いのだ。
それに例え相手がイケメンだろうが強かろうが、付き合ってないなら全然諦める気ないし、自分がそれ以上に光り輝けば良いだけなのだ。
というかあんな美人に仲のいい男子が1人もいないというのが無茶な話だ。
自分以外にも先輩の事好きだって言ってる奴らが一定数いるのは知ってるし、こういう事はそのうち来るだろうとも考えていた。
そんな事を考えているとショウちゃんは若干呆れ顔で懸念事項を言ってくる。
「一様言っとくけど相手はお前の完全上位互換だぞ性格も良い」
「ええ?やだなーショウちゃんは、10歳近く年離れてんだよ?恋愛対象にならないし手出したら犯罪だよ?」
「お前やる奴らが一定数いるから法律で規制されてるってわかってるのか?」
「……holly sit。どどどどうしようショウちゃん俺どうすれば良い?」
恋ってのは盲目で大胆な行動をしちゃうと自分が身をもって知っているのにライバルが、談笑してるのを可愛いジェラシーで見ていた後時の自分を殴りたい。僕は、慌てていつもの流れでショウちゃんに聞いてしまう。
ショウちゃんは一瞬キョトンとした後、何か腑に落ちた様な顔をした後、久々に大笑いしたのだ。
「プハハハハハそうだよな。お前そういう奴だもんな」
「え」
「うん。今回件は反省した。じゃあ帰るか!!」
「え?勝手に自己完結したところ悪いんだけどなにも解決してないんですけど」
「冬獅郎兄さんと栗花落先輩との関係は俺が調べといてやるから心配すんな」
「あ?まじ?じゃあ一先ずゴミ捨ててくるねー」
食べたゴミを捨てに行く翔の後ろ姿を見て将吾はなんで翔と連むようになったか思い出す。
将吾は、集団にあまり馴染めな人種だった。コミニュケーション能力が低い訳ではないただ、同調圧力や陰口、足の引っ張りというのを無意識的に行う周りに失望していたのだ。
つまり潔癖なのだ。その為、クラスにも馴染めず学校では1人で過ごしていた。だがある時転校して来た翔は、空気なよまず、明らかに孤立してるのに自分に話しかけて来る。
有効的にしてくれる相手を理由もなく邪険に扱う事が出来ない将吾は、なんだかかんだ翔と仲良くするようになったのだ。
そして気付く。翔目標の為に誰かを蹴落としたり悪く言ったりしない何処までも真っ直ぐで愚直な馬鹿だと知ったのだ。
そんな奴だから面倒くさい恋の応援もしてやろうと思っただよなと思い出した将吾は戻って来た翔とコンビニを出て再び帰宅を再開させた。