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アルナイル~光を求めて~  作者: 伊藤おかし
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12話 いざ次の街へ

突き立てた刀が深く弱点とした腹に刺さり出血エフェクトが、大量に漏れ出る。颯イタチは、絶叫にも近い咆哮をあげてドロップアイテムを残して光になった。


 その直後空中にデカデカとCongratulations!とエリアボスを倒した事の祝福が表示される。


 それを見て僕はどっと脳が疲れた感覚を覚え刀を持ったまま大地にうつ伏せに倒れ込む。

「おめでとうーキルー!!」

「かった…かったぞお?!」

勝利の余韻に浸り勝鬨を上げ用とした矢先にサッカーで点を決めた人に仲間が飛びつくあれをされ、出端を挫かれたが、今回の勝利はフライが貸してくれた刀が無ければ掴めなかった物だ。目くじらを立ててはいけない。


「ありがとうフライ君、最後は君の刀のお陰で勝てたよ」

「何言ってんだ。お前が勝てたのは、お前の努力と根性の賜物だよ!!」


僕のお礼をカラッとした笑顔で称賛してくれる。フライ君彼のこういう褒め上手な所が杉原さん(妹)が好きになったポイントなんだろうか?


そんな事を考えながらうつ伏せ状態から、刀を杖代わりに立ち上がり短い時間だけど一緒に戦ってくれた刀をフライに差し出す。


「はいこれ、何度も言うけど貸してくれてありがとう」

「ああ、その刀やるよ。俺からのエリアボスソロ討伐報酬という事で」

「え?」


僕の脳みそが一瞬フリーズするが直様正気に戻り流石に受け取れないと言い訳を始める。


「いやいやいや、流石に受け取れないよ。なんかこの武器ちょっとボロいけど切れ味良かったし見た目カッコいいし、絶対レアなやつでしょ?」


「その武器さ俺が今使ってるこのメイン武器の二刀の小太刀『梟』を二刀揃える為に素材集めしてたら、偶々倒したレアモンスターから寂れた刀ってのをゲットしたのを、友達の鍛治氏にお願いしてその状態まで研いでもらった物なんだよ。まぁそこまで研いだわ良いけど、まだ二刀流スキルを極めてる過程だからその刀全然使わなくてな。現在完全に死蔵と化してたから、お前が使ってくれた方がそいつも喜ぶと思うよ」


「ほ、本当?ま、まぁ、貰えるなら貰うけどね」

「もう返さないという強い意思だけは確かに感じ取れたよ」


僕は、強く刀を握りしめウキウキで輝きが鈍い刀身をを眺めながら言うとちょっとフライに呆れた感じの言葉をかけられた。そんなに物欲醸し出してたかな?


「まぁ、何はともあれこれで次の街ナイトレラに進めるな。早く行ってリスポーン地点を更新しに行こうぜ」

「オッス!!」

まだまだ勝手の分からないビギナーな僕に指針を示してくれるフライに有難いなと感じつつ、彼が行こうと言った新たな街ナイトレラに向かって僕達は歩き出した。


エリアボスが居座っていた大岩の方に進むと草原地帯が終わりを迎えており、1本道の街道に出る。道すがらこの世界での彼の冒険の成果を聞いてみることにした。


「突然なんだけど、フライ君の職業(ジョブ)とレベル幾多なの?僕はね因みにさっき見たら13まで上がってた」

「本当に突然だな?!」

「えっ不味かった?」

「そんな事をないぜ。俺の職業は、忍で今は35レベだな」

「レベル高っ?!ていうか忍ってなに?最初の職業選択に無かったよね?」

「あれ?知らないのか?」


俺の驚きの顔を意外そうな素振りをした後フライは、自分のステータスウィンドウを僕に見せながら教えてくれる。


「このujというゲームは最初こそ選択できる職業は少ないが、ステ振りや冒険内容によっては、レベル25毎に上級職へ進化していくんだ。まるで枝葉が別れて行くようにな。俺は元は盗賊(シーフ)だが、25になった時に受けた転職クエストを受注して今の忍って職になったんだ。」


「へー人に歴史あり、ならぬアバターに歴史ありだね」

「なんかちょっと上手いな。っておっと見えてきたぞあれが次の街ナイトレラだ」

「わぁ、遠目からみてもガランサスより立派だよ!!」


軽い質問からレクチャーに発展してしまったけど、フライの指さす街道の先に次の街ナイトレラの市壁が見えた事で唐突に終わる。


僕等は、そまま1本道の街道を進んでいき、NPCの門番さんと軽く挨拶し、漸く街の中に辿り着く事が出来たのだった。


「まぁ、取り敢えず宿屋を探すか。前俺が使ってた宿の場所ならわかるからそこに行こうぜ」

「うん、リスポーン地点更新できたらどうする?」

「決まってるだろ。打ち上げだよ」


経験者のお陰で手早くのリスポーン地点の更新を終えた僕達は、現在ビールジョッキが看板にデカデカと描かれた店の中で、祝杯を上げていた。


「靡きの草原攻略おめでとうー」「ありがとうー」

「「かんぱーい!!」」

「フーこの一杯の為に生きてるねー」

「フライくん。それオレンジジュース味でしょ。僕さっき注文聞いてたから知ってるよ」

「バカ、気分だよ気分」


現実で何か呑んでるわけじゃないというのに口の中に広がるリンゴジュースの味が広がる感覚を不思議に思いまた1口又1口とのみ進んでしまう。


「美味しいか?」

「実際に飲んでるわけじゃ無いのに美味しいって感じ出るのが、不思議で」

「あー、わかる俺も最初は色んなものを食べてみたよ実際腹が膨れた気分になるから女子のダイエットに大人気だとよ」

「へーそんな使い方もあるのかー」


本当味覚まで味わえる様なゲーム作ってる制作会社とスタッフの皆さんには頭が上がらないよと思いながらリンゴジュースを飲んでいる最中にフライくんは、僕にある提案をしてきた。


「なぁキル?」

「んん?」

「俺たちでギルドを立ち上げないか?」

「ブハッ?!」

僕は驚きのあまり盛大に口の中のリンゴジュースを吹き出したのだった。

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