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当たれよ焦点
かしゃり、かしゃり。シャッターを切る。
カメラを手にしたのはどれくらい前だっただろう。父親が忘年会のビンゴで当ててきたミラーレスカメラ。小ぶりで軽いその景品は幼児サイズの私の手によく馴染んだ。
白とベージュ色の機体は古ぼけて黄ばんできた気がする。細かな傷も数多く刻まれている。
趣味というほどでもない。本当に愛好している人間からしたら鼻で笑われる程度の知識しかない。何種類ものカメラやレンズ、アクセサリーを買い揃えているわけでもない。
相棒はただひとつのコイツだけ。
それでも。なんと言われようと、失笑されるレベルの腕しか持ち合わせていなくても、私はシャッターを切る。
残しておきたい。忘れたくない。撮りたい。
抗えない衝動。この気持ちをしたためるよりも私は切り取りたいと瞬間的に思う。
そう、そこだ、それだ。今日の今だ――――かしゃり。




