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08「磔刑に処されるのは嫌なので西へ猛ダッシュで」


 宿を飛び出して、犬だか狼だががちょっとデカくなった魔獣を神剣ムニスにて一瞬で屠った。

 襲われていた商隊の救出はあっという間に完了した。


 全面的にムニスのおかげです。本当にありがとうございました。


「ありがとうございます! まさかこんな所に凄腕の方がいらっしゃるとは!」

「あっはっは。お怪我はありませんか? 荷物や馬車は大丈夫ですか?」

「お気遣いありがとうございます。つきましては御礼をさせていただきたいのですが」


「服を」


「はい?」

「服を一式いただきたいんですが。旅装であるとなお助かります。十歳くらいの女の子の服も合わせて見繕って欲しいです」


 超早口でまくし立てた。


「服、でございますか?」

「何か、問題でも?」


 ギラリ、とムニスの刀身が無意味に煌めいた。


「私としてはより高額な報酬でも構いませんが、ね」


 うわー、俺悪者みたい。

 って、既に手配されるんだったわそういえば。悪者だったわ。あはは。笑うしかねえ。


「か、かしこまりました。では貴方様のサイズに合わせた旅装と十歳程度の女の子の服ですね。良いものを見繕ってお持ちします。そこの宿に逗留中ですか?」

「長居はしないつもりです。なるべくはやくお願いしたい」


 よっしゃー、服ゲットー! ちゃららららっちゃちゃー!(レベルアップ音)


「タクシは文明人に近づいた」

『野蛮人の間違いではないか』


 ごもっとも!



 ともあれ商人のオッサンは上等な服を俺たちに用意してくれた。


「ありがとうございます。本当に助かりました」

「こちらこそ魔物から救っていただいた御礼というにはあまりに不足と考えますが」

「いやそんなことは」

「いやしかし」


 申し訳なさそうにする商人のオッサンに俺は落としどころを提示する。


「そうまで仰られるのでしたら、情報を対価にいただきたいのですが」

「情報? はて、どんな情報をご所望で?」

「私、こう見えて賞金稼ぎなどやっておりまして、一度不覚をとって身ぐるみはがされあのような恰好だったのです」

「ははあ、あなたほどの腕前でもそのような目に遭うのですな!」

「私などその程度の使い手ですよ。相手は達人でしたし。それで路銀も尽きかけており、手頃な賞金首を探しております。見たところ大聖宮の方面からいらしたご様子。中央で何か目新しい情報はありませんでしたか?」


 商人はやや考えて、


「そうそう! 聖剣を盗み出した男がいると結構な騒ぎになっておりましたな。手配書もかなり刷られておりましたよ!」


 やっぱりあのBBA、手回し早いな。


「ほう、手配書はお持ちですか?」

「こちらです。似顔絵も凶悪でしょう?」


 よし、全然似てないな。下手すぎる。つうか備考欄に巨大な逸物とか書くのやめなさいよ巫女長。

 

 生け捕り必須、磔刑に処すため。

 おおこわ。処されてたまるか。


「ありがとうございます。大変参考になりました」


 少ない手荷物をまとめて立ち上がる。


「もうお発ちになるので?」

「ええ。ではこれにて」


 大聖宮はだめだな。西に行って魔王に会ってみる方がマシか?



 以下、次回! どの世界でも「正義」を名乗るやつはロクなもんじゃない!

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