表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

51/107

50「甘い考え事」


 俺たちに用意された客間は立派なものだった。ただベッドがひとつしか用意されていないことを除いては、だが。やたらデカいベッドなのでギリ許せるが、これはわざとだな。


 とまあ、それはさておき。


「アベルに恩赦を与える見返りかあ」


 天蓋付きの阿保みたいに豪華なベッドに寝転がりその天蓋をぼんやり眺めながら考えていると、


「まだ考えておったんじゃの、主殿」


 ベッドの隅にちょこんと座っているムニスの呆れ声が聞こえる。


「んー。なんかいい手はないかなあ、とね」

「考える必要もあるまいよ。あの不埒者は死刑。以上じゃ」

「ムニスは魔王サマの判断を支持するわけか」

「当然じゃの。信賞必罰は組織維持の根幹じゃからして。しかも親殺しとなれば未遂とはいえ酌量の余地はあるまい」


 正論オブ正論。返す言葉もありません。


「そもそも」


 ムニスがベッドに上がってきた。

 こら、馬乗りになろうとするな。

 妨害する俺と微妙な攻防をしながらムニスは俺に問う。


「タクシがアレをそこまで気にする理由はなんじゃ? 義理があるのはわかるがそこまで拘るのは何故(なにゆえ)か?」

「例えばだな、俺が錯乱してワケワカランことをはじめたとしたら、オマエはどうする?」

「ふむ……。前提が曖昧じゃが、そうじゃの。諫言はする。が、最終的にはおぬしの判断に沿うじゃろうの。道を外すというなら共に行こうではないか」

「恥ずかしいこと言うやつだな」

「言わせたのは誰じゃ」


 ムニスは唇を尖らせた。くそ、可愛いなこいつ。


「悪い悪い。茶化すとこじゃないよな。まあつまりそういうことだ」

「む?」

「今ムニスが言ったことと同じことをレンドルフたちも考えてると思うんだよな」


 ムニスは俺の顔をまじまじ見据えて、それはそれは深く溜息をついた。


「甘い。甘いが、それが主殿じゃものな」


 ムニスは全て諦めたように頭をポスっと俺の胸に乗せてきた。


「せいぜいよく考えてみるがよかろ」

「おう」

「主の剣として、どこまでも付き合ってやるからの」


 はい、ありがとうございます。


 以下、次回! 

次から第四章です。引き続きよろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ