03「聖剣がやる気ない場合の適切な対処法」
俺の異世界での人生のかかった大一番。
それが最終盤の対魔王戦、とかではなく最序盤の「聖剣抜けるかゲーム!」なのは狂ってる。
なあオイ、この世界大丈夫か?
「さあ勇者よ。聖剣に手をかけてください」
巫女長さんの圧がすごい。はよやれや、ってか。
でも抜けたら抜けたで世界を救えとか言うのだ。自称女神も言外にそう言ってた。
俺、そんな器じゃないですし。ちょっと料理好きな普通の男の子ですし。
「さあ!」
「さあ!」「さあ!」「さあ!」
周りの巫女さんたちのボルテージも上がってる。どこの賭場だ一体。
ともあれ引くに引けない状況。
あーあ。
もう覚悟を決めるしかねえな。
自称女神がホンモノなら送り込んだ俺が抜けないワケないはずだ。
「よっしゃ! やったらあ!」
台座の聖剣に手をかけた瞬間、俺は悟った。
あ、これ無理。
確かに剣の柄が手に吸い付く感じはある。あるのだが、台座に突き刺さった聖剣はおそらく抜けない。抜けてやるつもりが無いのがビシバシ伝わってくる。俺と同じく世界を救う気の無いタイプの聖剣!
てめこの、お前が抜けないと俺が奴隷落ちなんだよ!
知らぬ。世界を救うなど我は知らぬ。
的な感じで、密かに俺と聖剣の間で精神世界でのせめぎあいが発生する。
が、それは一秒と持たなかった。
俺も、気の長い方じゃないんでな。
「おらあっ!」
俺は聖剣の腹を思いきり蹴り飛ばした。
油断しきっていた聖剣は、俺の想像より遥かに脆く、台座に突き刺さってる部分を残してぽっきり逝った。
「よっしゃー! 聖剣抜いたどー!」
正確には抜いてはないが(へし折ったため)。
ところで、この中折れ聖剣で世界が救えるのだろうか。
「勇者よ! 何をなさっているのですか!」
「いや、この聖剣、抜けるつもりがない、とか言いやがるんで横から圧かけてへし折ってやったんすよ!」
「聖剣をバカ呼ばわりした上に折るだなんて!」
「ところでこの中折れ聖剣で世界救えるもんかね?」
「表現に気を配りなさい勇者よ!」
「はーい」
とりあえず中折れ聖剣をぶんぶか振り回してみる。折れてるせいもあるんだろうが、見た目よりずいぶん軽い。ホンモノの剣なんか見たことも触ったこともないが、こいつがガチの聖剣なんだってことはなんとなくわかった。わかったような気がする。
「巫女長!」
「なんですか! 今、見ての通り取り込み中です!」
「それが、大変なんです!」
「なんだというのですか!」
「大聖宮目指してワイバーンの群れが迫っているのです!」
「なんですって!」
うわーお。お約束。
俺が相手すんのかねワイバーン。対空迎撃の備えでもあればいいけど。
以下、次回! ワイバーン死す! デュエルスタnry




