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01「彼女の部屋でメンヘラ女に刺された俺、自称女神に邂逅する」

 彼女の家で料理中。

 彼女は買物で外出中。

 も少し切れる包丁が欲しい。

 キッチンもちょい広くならんかな、とか思ってたら玄関が開いた。


 お、帰ってきた。帰ってきた。


 俺は「おかえり」と声をかけた。

 が、姿を見せたのは彼女じゃなかった。

 見知らぬ女。


 え、誰ですかアナタ。


「誰ですかあなた!」


 女が叫んだ。


「いやそれこっちの台詞! あんたこそ誰だよそもそもどうやって部屋に入ってきた」

「そんなもの合鍵に決まってるでしょう!」


 うわあ、メンヘラストーカーじゃねえか! しかも彼女の!?


「ねえ、せんぱいを騙して部屋に入って一体何をしているのかしら!?」


 あんたにだけは言われたくねえ。


「一体何を、って料理だよ料理。晩ご飯。あんたも食ってくか?」


 俺の平和的提案をメンヘラ女は一蹴した。


「そう、そうね。せんぱいの前であなたを捌くのはいいかも」


 可愛い手提げから包丁を取り出してきやがった。

 しかもめっちゃ切れそうなやつを!


「せんぱいを、返せえっっ!」


 任侠映画の鉄砲玉役より躊躇なく包丁を腰だめに突っ込んでくる女。

 俺はこの時の対応を一生後悔する。

 受け止めた。

 途中まで切っていた、半玉残ったキャベツで。


 どすっ。

 

 キャベツの防御を容易く貫通して、メンヘラ包丁は俺の腹にぶっ刺さった。

 その後も繰り返し、刺す刺す刺す刺す刺す。

 めった刺しにされた。

 あ、死んだわ俺。



 ――暗転。



「目覚めなさい」


 声に呼ばれて目を開けると、俺は何とも言えない不思議な空間にいた。


「お?」


 どこだココ。


「この度は大変なことでしたね」

「はあどうも。で、美人のお姉さん、どちらさま?」

「神です」

「あー、シューキョーは間に合ってますんで結構です。盆正月とクリスマスにちょこっと世話になる程度でして」

「神です。信じなさい。このままだと死にますよあなた」


 神。神て。

 ゴッド。女神だからゴッデス。

 メンヘラの次は自称神かよ……。


 その自称女神は俺にこう告げてきた。


「不慮の事故で亡くなった貴方には選択肢があります」

「ほう」

「このまま死ぬか、異世界に現在の年齢で転生するか、生死の境を彷徨ったのちに辛うじて現世にて生きながらえるか」


 三択かあ。

 こーゆー時は異世界一択なことの多い昨今、親切なのかもしれないな、と思った。


「生きながらえるパターンって、後遺症は残らない?」

「……」

「残るんかい!」


 親切でもねえな。


「転生パターンは世界を救えとか言わないよな?」

「……」

「言うんかーい!」


 じゃあ、


「もうこのまま死ぬしかないじゃない!!」

「いえ! ここは何があっても生存していただかなくては! 世界が!」


 あ、本音が出た。


「知らんがな。異世界とか心底どうでもいい。俺はこのまま死なせてもらう!」


 メンヘラ女に殺されて死亡、というのは絶対葬式でネタにされそうだが、もういい。知らん。笑った参列者共には夢枕に立って留飲を下げることにしよう!


 が、自称女神は俺の決定を無視して告げた。


「では転生に入ります。言語は自動翻訳しておきますのでご安心ください。転生後、まずは大聖宮の聖剣の間を目指し聖剣を入手してください」


 超早口でまくし立ててくる。

 その言葉を最後に視界がホワイトアウトした。



 以下、次回! 絶対抜かねえぞそんな聖剣モン


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