強さの理由
「どういうつもりだ!?」
ギルドに戻るとオルフィンが噛み付いてきた。
オルフィンだけではない、血の気が多い風の魔導士連中が俺に詰め寄る。
「何がだい?」
「ないがだい、じゃない! あんたはこのギルドを潰しに来たのか!?」
「オルフィン、落ち着いて!」
フレアが割って入る。
「これが落ち着いていられるか! なんでお前は冷静なんだ!? …………フレア、まさか、お前、知っていたな?」
フレアはオルフィンに詰め寄られ、申し訳なさそうな表情で「……はい」と答えた。
オルフィンの敵意がフレアに向く。
「オルフィン、いや、このギルドのみんなは何を思ってギルドリーグに参加しているんだい?」
その敵意をまた俺に戻した。
「なんだと?」
オルフィンが睨む。
「確かに『ヒーローホークス』のと勝負避けて、別の所で勝てれば、最下位は脱出できるかもしれない。いや、最下位を脱出できなくても来季に繋げられる、とみんなを思っているのかな?」
「そうだ、当然だろう」
「温いな。温すぎる。目の前の戦いを見ていない『ヒーローホークス』や『レオン&ウィッチーズ』がなぜ強いか考えたことがあるかい?」
「それは強い魔導士が揃っているからで……」
「違う!」と俺は声を張った。
俺が大きな声を出すのが意外だったのだろう。
オルフィンだけでなく、ギルドメンバー全員がビクッとなった。
「彼らが強いのは負けられないからだ。強豪ギルドは一回の負けで周囲から馬鹿にされる。だから、負けられない。だから、必死に戦うんだ。この戦いは捨てる、ここは負けてもいい、なんて選択肢はないんだよ。おめでとう。君たちはそういう意味では強豪ギルドを同じ舞台に立てたよ」
まぁ、今の『ヒーローホークス』はとても強豪の姿とは言えないけどね。
静まり返ったギルドメンバーを気にせず、俺は続ける。
「どうする? 逃げたい者は逃げて構わない。しかし、共に戦うというなら俺は君たちに勝利を約束しよう。君たちはこのリーグ戦が終わった時、どう思われたい? 往年通りの弱小ギルドと言われ、何の関心も持たれない無価値な存在か? それも奇跡の逆転優勝を遂げた伝説のギルドか? 選ぶのは君たち自身だ」
さて、どう出る?
大口を叩いたが、全員が離反すれば、詰みだ。
しかし、負けることに慣れたこのギルドを覚醒させるにはこれくらいした方が良い。
貧乏ギルドの言っても、出資してくれる人たちがいる。
応援してくれる人たちがいる。
支えてくれている人たちに恥ずかしくない姿を魅せるのが、プロの役目であり、存在理由だと俺は思っている。
勝つつもりで戦って、負けるならしょうがない。
どんな名将だって、百戦百勝なんてことは出来ない。
しかし、ギルドメンバーが初めから捨て試合だと思って、戦うなんて駄目だ。
理想論や精神論だけでは戦いに勝てない。
しかし、それが無いと本当の意味で戦いの舞台に上がっていると言えるだろうか?
「さて、どうする?」と言うが、沈黙が流れる。
失敗したか、と思った時だった。
「あははは、ウエンは面白いな」
声をあげたのはヘテロだった。
「君の言う通りだ。このまま延命するくらいなら、大博打、良いじゃないか。おい、そうだろ!?」
ヘテロは土の魔導士たちに声を掛ける。
彼らは頷いた。
「というわけで土の魔導士部隊はウエン司令官の指揮に従おう」
ヘテロを手を差し出した。
俺は「ありがとう」と言い、握手に応じる。
「あ、あの!」
声をあげたのはヒューちゃんだった。
「私はウエンさんのことを良く知りません。でも、フレアさんがギルドの為にどれだけ動いてくれたかは知っています。フレアさんが信じるウエンさんを私は信じます」
ヒューちゃんがそう宣言すると他の火の魔導士が「しょうがないな」といった表情で参加を表明した。
「水・雷の後衛部隊とはすでに話を付けています」
フレアが宣言した。
「となると、後は君だけだね。どうする?」
「………………」
オルフィンは俺は睨み、やがて吐息を漏らした。
「みんな正気じゃない。ウエン、言ったからには責任を取れよ。私たちは死に物狂いであの『ヒーローホークス』に勝つつもりで戦うからな!」
「ありがとう、決まりだ。それじゃ、これから作戦会議に移る」
『ブレイブファイターズ』が『ヒーローホークス』にポイント全賭けのダブルアップ戦を宣言したことは各地に知れ渡った。
それと同時に司令官の俺が元『ヒーローホークス』だということも話題になる。
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