最弱ギルドから人気ギルドへ
『ヒーローホークス』に勝ったとはいえ、未だにダントツの最下位の『ブレイブファイターズ』。
それでも『ヒーローホークス』に勝った影響はあった。
支援をしてくる民衆、企業が増えた。
「凄いです。毎日、応援の手紙がたくさん来ます。こんなの初めてです」
フレアは嬉しそうだった。
「それは良いことだけど。君たち、ちゃんと休みなよ。応援の手紙を確認していて、寝不足になられたら、敵わないからね」
「はい、気を付けます。それに注目されると緊張します」
「強豪ギルドはその以上の重圧の中で毎回、戦っているんだよ。アンドリューのことを庇うわけじゃないけど、彼がおかしくなってしまったのはそういう重圧もあったのかもしれない」
俺はアンドリューのことを調べてみた。
元々の顔は全くの別人だった。
しかし、神経質で陰のある雰囲気は今と同じだ。
戦績も調べてみたが、参謀としては実績がある。
特に本物のバゲッド司令官の元で参謀をしていた時、ギルドは常に上位に入っていた。
確かに参謀は司令官や前線の隊長に比べたら、人から賞賛されることは少ない。
注目されることは少ない。
でも、試合を作るのは参謀の役割だ。
しかし、アンドリューはそう思わなかったのだろう。
自分の立てた作戦で称賛される司令官や隊長たちを見て、歪んでしまった。
自分が司令官になりたい。
英雄になりたい。
主人公になりたい。
自分の力量を越えることを望んだ結果、自分自身の破滅を招いた。
しかし、これは他人事なのだろうか?
俺は優勝すると言った。
その為には、これからもかなりの無茶をすることになるだろう。
俺がやろうしていることも、自分の力量を超えることなのではないだろうか?
「アンドリュー、俺もあんたと同じなのか?」
「ウエンさん、どうしたんですか?」
フレアが心配そうに聞いてきた。
「いやね、無茶なことを言ったり、したりして、やっていることがアンドリューと一緒かなって、思ってね」
俺の言葉にフレアは「違います」と即答した。
「ウエンさんは確かに無茶を言います。でも、私たちをきちんと見てくれています。自由気ままなヘテロさんには前線の指揮権を任せてくれました。ヒューちゃんの才能に気付いて活躍させてくれました。オルフィンは言葉にしていないですけど、ウエンさんを信頼しています。もちろん、私も。だからウエンさんはアンドリュー司令官とは違います。ちゃんと私たちを見てくれていますから」
「…………ありがとう、フレア。…………さて、じゃあ俺も頑張るかな。本当にこのギルドを優勝させないとね」
「全力を尽くします」とフレアが返す。
「下位ギルドの『ブレイブファイターズ』、賭けるポイントを提示してください」
審判員の言葉に俺は「4800ポイント賭け。ダブルアップだ」と宣言した。
プロギルドリーグ、ダントツの最下位から優勝へ。
俺たちは新しい伝説を作る為に挑む。
今回の投稿で《いずれ『不敗』と呼ばれる司令官》は最終話となります。
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