終戦、そして…………
俺とフレアは敵味方の中を進んでいく。
味方からは英雄を見るような視線を送られる。
敵、元のギルドのメンバーは俺と目を合わせようとしなかった。
「司令官!」と元気の良い声がした。
ヒューちゃんだ。
「あれは司令官がやったんですか!?」
「そうだよ。色々、説明してあげたいけど、今は他にやることがあるんだ。ヒューちゃんもついてくるかい?」
ヒューちゃんは首を傾げ、
「良く分からないけど、付いて行きます!」
「ちょっと待ってくれるか」
「ちょっと待て」
さらに二つの声が聞こえた。
ヘテロとオルフィンだ。
二人は怒っているようだった。
「さっき、敵の奴から聞いた。こいつらは…………とにかくホークスのバゲッド司令官の所に行くなら、私も付いて行く」
オルフィンの口調からすると、ホークスの最後の大攻勢を可能にした理由を知っているようだった。
「えっ、どういうことですか?」
ヒューちゃんだけは事情が分かっていない。
「歩きながら、私が説明してあげよう」とヘテロが言った。
そして、ヘテロがヒューちゃんに真相を説明し終えた頃、俺たちはホークスの本陣に到着した。
バゲッドはその場に座り込み、放心状態だった。
「何か、言うことはあるか?」
俺たち五人はバゲッドを見下ろす。
「反則だ…………」
「は?」
「あんな攻撃、反則だ! 雷の魔導士が攻撃だって!? そんなことしていいわけがない! お前らは索敵や連絡しか能がない存在だ!」
「こいつ…………」とオルフィンが拳を握って、前に出る。
俺がオルフィンの肩を掴んで、それを止めた。
「この男に殴る価値はないよ」
「…………そうだな、すまない」
オルフィンは冷静になり、拳を解いてくれた。
「価値がない? 価値がないのはお前たちだろ!」
バゲッドは俺たちを睨みつける。
「変な陣形を作る土の魔導士! 至近距離で砲撃を行う火の魔導士! 正面から戦わずに隙を突くしか能のない風の魔導士! お前たちの行動すべてが卑怯だ! 非常識だ! お前らのような存在がプロを名乗るなんでおかしい! すぐに引退して、ギルドを解散しろ!! お前らは全員、プロリーグには相応しくない!!!」
仲間まで馬鹿にされては言い返したくなる。
口を開こうとした時だった。
「プロリーグに相応しくないのはどっちかしらね。バゲッド元司令官」
懐かしい声がした。
声のした方向に視線を移す。
「久しぶりだね、シーク。それにミュセルも一緒かい?」
「やぁ、やぁ、ウエン、元気そうだね」
「いや、戦いの後でかなり疲れているよ」
「…………」
ミュセルは俯いてしまった。
「不器用と鈍感」とシークが呟いた。
「お前はシーク…………」
バゲッドが震える声で言う。
「お久しぶりですね。今のあなたはとってもいい顔をしていますよ。死人みたいに素敵な顔」
相変わらず、シークは毒舌だな。
「なぜ部外者がここにいる!? 運営は何をしている? 早く摘み出せ!」
シークたちの後ろから運営の審判員たちが現れた。
「試合、お疲れ様です。バゲッド司令官、この試合の責任審判のイラムです」
厳格そうな男が名乗った。
この人は知っている。
厳粛で、公平な判断し、笑わないことで有名な人だ。
「お前がこの試合の責任者か? なぜ、途中で試合を止めなかった? ファイターズの戦い方はプロ失格だ!」
バゲッドは審判団に詰め寄る。
「確かにプロを名乗るのに相応しくない者がいるのは確かです。それはあなただ」
イラム審判員の声はとても冷静だった。
「ウエン・ヤング司令官、最終局面で試合を止めるのが遅れてしまったことを許して欲しい。バゲッド司令官が不正を行ったことはすぐに気付いたが、君がどうやって切り抜けるか、見てみたくなってしまった。私は審判として失格だ。君の采配に心が躍って、最後まで見たくなってしまったのだからな」
厳格で知られるイラム審判員にそう言われると、恐れ多い。
「結果、私たちは伝説を見ることが出来たよ。感謝する」
「俺は勝つためにやっただけです」
「大した男だ」と言い、笑わない男が笑ったのでみんなが驚く。
しかし、それは一瞬で厳格な表情に戻った。
バゲッドに視線を移した。
「バゲッド司令官、あなたには嫌疑が掛けられている」
「嫌疑だと? 私が試合で不正を行ったとでもいうのか? 私は不正など行っていない!?」
「…………試合でのこともあるが、もっと根本の問題だ。ここからは…………」
イラム審判員はシークに視線を移した。
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