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ギルド『ブレイブファイターズ』

「そいつがフレアの言っていた救世主か?」


 契約が成立し、俺はギルド『ブレイブファイターズ』に招待された。

 で、気の強そうな女の子にガンを飛ばされている。


「ウエンさん、こちら、風の魔導士部隊の隊長オルフィンさんです」


 フレアに紹介されたオルフィンは俺をあんまり歓迎していないようだった。


「すまないね。オルフィンはちょっと勝気が過ぎるから気にしないでくれ」

「えっと、あなたは……?」

「申し遅れた。土の魔導士部隊隊長のヘテロだ。男装しているが、こう見えても女だぞ。よろしく頼むよ。救世主君」


 ヘテロは多分、俺と同じくらいの歳だろう。

 少し独特の雰囲気がある。


「ヘテロさん、あんまりちょっかいを出さないでください。あなたはいつも……まぁ、今はいいです。あと、あの子が火の魔導士部隊の隊長のヒューちゃんです」


「ヒューです……よろしくお願いします」


 ヒュー呼ばれた女の子はオルフィンの後ろに隠れていた。


「で、私が水の魔導士部隊の隊長のフレアです」


「水の魔導士部隊の隊長なのにフレア」


 ヘテロがボソッと言った。


「名前と得意の属性魔法はどうしようもないでしょ」


 フレアは少し不機嫌になる。


「全員が女隊長なのかい?」


 俺の発言にオルフィンが気分を悪くしたようで、

「男の隊長たちは引き抜かれたよ。残ったのは二流の魔導士と癖のあるあたしたちだけだ」


「それが『ブレイブファイターズ』の低迷の理由の一つなんです。圧倒的な経験不足、実戦経験が豊富なのはヘテロさんくらいで…………」


「おいおい、私が年増だとでも言いたいのかね? こう見えてもまだ31歳、女盛りだよ」


 とりあえず、ヘテロのことを覚えた。俺と同い年だ。


「そういうことじゃないんですけど…………話が脱線するといけないので、本題に入りますよ。ウエンさんには雷の魔導士部隊隊長兼司令官に就任してもらいます。私たちの目標は……最下位脱出です」


 これで良いんですよね、と言いたげにフレアが俺を見て来た。

 コクリ、と頷いて見せる。


「一応、実績があるみたいだから信用はするがよ…………とりあえず、次の『ヒーローホークス』戦は最少失点で凌いで、次戦の『ブルーウェーブパイレーツ』で取り返そう!」

 

 オルフィンが言った。

 集まったギルドメンバー全員が同意する。


『ヒーローホークス』に勝とうと考えている者は誰もいなかった。


 なるほどね。これが底辺か…………


 これにて最初の顔見せは当たり障りなく、終了する。



「本当にやるんですか?」


 二人っきりになった時、フレアが言う。


「当たり前だ。最下位を抜け出せればいいぐらいにしか思っていない甘えん坊たちには丁度いい。君こそ、今ならまだ全員に俺のやろうとしていることを知らせて、俺を追放できるよ。気を使っているなら、大丈夫だ。追放されるのには慣れている」


「……いいえ、どっちにしろ、このままだと私たちのギルドは消滅します。だから、あなたを信じて、三日後の『ヒーローホークス』に全てを賭けます。あと、これがギルドメンバーのデータです」


「用意が良いね。助かるよ…………さっきの風と土の隊長は優秀な能力じゃないか。良く引き抜かれなかったね」


「あの二人はちょっと癖がありますから、オルフィンはこのギルドを裏切れないって他からの勧誘を断って、ヘテロさんは先輩だろうと司令官だろうと気に入らなかったら、平気で命令違反をする噂が広がっているので、どこも取りたがらないんですよ」


「なるほどな。予想以上の戦力を有しているのはありがたい…………さっきのヒューちゃんだっけ? あの子は一応、二十歳なのか。もっと幼く見えたよ。でもなんであの子が隊長?」


「それだけ、火の魔導士が枯渇しているんです」


 確かに最弱のギルドに相応しい選手層だ。

 普通に戦ったら、『ヒーローホークス』の控えに勝てないだろう。


「なんで笑っているんですか?」


 フレアに指摘されて、俺は自分が笑っていることに気が付く。


「…………フレア、劣勢というのは中々、面白いと覚えておくといいよ」


「すいません。その感覚は全然、分からないんですけど?」


 フレアには共感してもらうことは出来なかったが、勝つことが当然になっていた『ヒーローホークス』時代と違って、勝てる分からない今の状況はとても楽しい。


 勝つために色々と考えていると心が躍る。

 多分、『ヒーローホークス』に勝ったら、強烈な快感を味わえるだろうなぁ……


「勝負は勝つか負けるか、それが分からないから面白いんだよ」


 今度は分かってもらえるかな、と期待したが、


「すいません。やっぱり分かりません」とフレアは困った表情をしていた。


読んで頂き、ありがとうございます。

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また異世界転生モノ『カードゲーム世界王者の異世界攻略物語』も投稿していますので、宜しければ、それらもよろしくお願いします!

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