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戦力外、追放される

「ヤング君、今までご苦労だった。君は今日で戦力外だ」


 バゲッドが俺にそう告げた。


 今年もギルドリーグの首位を快走する『ヒーローホークス』。

 そこで参謀長を務めていた俺は突然、クビを宣告された。


 俺はその宣告をどこか他人事のように聞く。


「司令官、待ってください!」


 俺よりも彼女の方が感情的になっていた。

 彼女の名前はミュセル、俺のチームメイトでこの『ヒーローホークス』の若きエースだ。


「ふん、今まで黙っていたが、この男の作戦は定石を無視し過ぎている」


 今季から『ヒーローホークス』の司令官に就任したバゲッドは俺を睨みつけた。


「だとしても、勝っていることは事実です! 彼がいなかったら、ホークスの三連覇はありえませんでした! 考え直してください!」


「ミュセル君、君もエースだ、なんだと言われて調子に乗っているな」


「そんなことはないです。私は事実を……」


「黙れ、青二才が! このギルドの司令官は私だ! 三連覇した最強ギルドとか言われて調子に乗っているな! 私から言わせてもらえれば、他のギルドが不甲斐無かっただけだ! お前たちが強かったわけではない!」


 結局、決定は変わらず、俺はシーズン途中で戦力外になってしまった。


「これは当然の裁定だ。今時、索敵と通信しかできない魔導士は必要ない!


 それがバゲッドから聞いた別れ際の言葉だった。



 平和な時代、大衆の一番の娯楽は魔導士がギルド対抗で、パワー、スピード、戦術を競うギルド戦だった。

 特に『プロギルドリーグ』は人々の憧れと注目の的になっている。


 そして、俺は先月までリーグ三連覇中の最強ギルド『ヒーローホークス』のメンバーだった。


「まぁ、今は無職だけどね」


 戦力外を受けた私、ウエン・ヤングは暇な時間を趣味の読書に費やしていた。

 十年間近く、私はギルドの為に勤勉に働いた。

 だから、今度は十年くらい、堕落した生活をしても構わないだろう。


 そんなことを考える。

 

「そういえば、今日は新刊の発売日だな」


 読んでいる本の続きを買いに出かけようとした時だった。



「ウエン・ヤングさん、あなたは我々のギルド『ブレイブファイターズ』にスカウトします」


 家を出たところで突然、話しかけられた。


「えっと君は?」


「『ブレイブファイターズ』所属のフレア・グリールです。フレアと呼んでください」


 フレアがやって来たのはリーグ戦も終盤戦となった頃だった。

 

 フレアは俺に小切手を渡す。


「あなたが『ヒーローホークス』にいた頃と同じだけの年俸を払うことは出来ません。でも、私たちが出来る限るの金額は提示しています」


「私のような三十過ぎの単属性魔導士にお金をつぎ込むくらいなら、未来ある若い子たちにお金をつぎ込んだ方が良いよ」


 小切手を突き返すが、フレアは引き下がらなかった。


「その未来が危ういから、あなたの元に来ました。お願いします。私たちを『ブレイブファイターズ』を救ってください」


 フレアは深々と頭を下げた。

 声は震え、今にも泣きだしそうだった。


「……まずは事情を聞こうか?」


 フレアの話は、簡単に言うとギルドの消滅危機だった。

『ブレイブファイターズ』は五期連続で最下位の最弱チーム。極度の資金難で来季を迎ええることが難しいらしい。


「せめて最下位を脱出しないと資金援助してくれる有権者もいなくなります」

「『魔導士ギルドリーグ』は集団戦だ。一人の魔導士が加入したからって、チームが一気に変わることはないよ」


「並の魔導士ならそうです。でも、あなたは違う。あなたが加入してから、『ヒーローホークス』は一気に強豪ギルドに、そして最強ギルドになりました」


「それはただの偶然かもしれない。俺bがいなくなった後も『ヒーローホークス』は首位じゃないか」


 フレアは資料を私の前に出した。

「これがあなたがいた頃の『ヒーローホークス』のデータです。三年前から今期の途中まで勝率9割、平均消耗率1割以下、最強ギルドに恥じない圧倒的な戦績です。で、こっちがあなたがいなくなってからの戦績、勝率5割、平均消耗率6割、まったく別のチームです。前半の貯金があるので、今も首位ですけど最強とは程遠いチームになりました」


「調子が悪いみたいだね」


 俺がとぼけたように言うと、フレアは少し怒ったようだった。

 

「誤魔化さないでください。あのチームを常勝ギルドにしていたのはあなたですよね!? お願いです。今年だけでもいいです。私たちを助けてください。その為ならなんだってしますから!」


 フレアは泣きそうな顔で言った。


 俺は少し考える。

 今の『ブレイブファイターズ』の成績を考えるとフレアの言っていることは大袈裟ではなく、事実なのだろう。


 多分、この子は今日断っても、明日来る。

 明日、断っても明後日くる。

 その度に若い女の子を泣かせるのは良心が痛むし、とんでもなく疲れるなぁ……


 それにギルドリーグに戻れる聞いて、まったく興味が沸かないわけではない。

『ヒーローホークス』にいた頃には無かった楽しみ方もありそうだ。


 しかし…………


「分かった。『ブレイブファイターズ』に加入しよう。ただし、条件を出させてもらう」


「なんでしょうか?」


「最下位脱出なんて低い目標ではモチベーションが上がらないんだよ。目標ももっと高く掲げるものだ」


「上位(3位以上)に入るとかですか?」


 私は首を振り、「優勝だ」と答えた。


 その言葉にフレアは驚き、目を丸くした。


読んで頂き、ありがとうございます。

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また異世界転生モノ『カードゲーム世界王者の異世界攻略物語』も投稿していますので、宜しければ、それらもよろしくお願いします!

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