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Episode 34決戦[伍]

不定期投稿ですいません

池田葉子の人生は波乱に満ちていると言えば波乱に満ちているし。平々凡々だったと言えば凡庸でもある。

彼女は52年前に普通のサラリーマンの父親と主婦の母親の元に1人娘として生まれ、その両親の元で育った。

彼女は普通に小学校、中学校、高校と卒業していき、大学で保育士と調理師の資格も取って、自身の夢であった保育士になった。

そして30歳後半にして結婚して子供ができてからは保育士を辞め、調理師免許を使って学校の給食調理員として働いた。

子供は1人しか生まれなかったが、自分と同じ1人娘だったので運命すらも感じた。

彼女の両親は彼女が40歳手前にして早死にしたが、両親は70歳手前だったので認知症になることもなく、池田葉子が介護の重みや辛さを感じることもなかった。

彼女は順風満帆とまでは言わないが、夫との仲も良く比較的に幸せな生活を送っていた。

それが一瞬で崩れることを知らずに・・・・・・


20〇×年9月2日、それは池田葉子の娘の誕生日でもあり、池田葉子の運命と人生観を劇的に変える日になる。

池田家の暗黙の了解の1つとして、親がプレゼントをサプライズで購入して渡すのではなく、子供が自分で選んで親が購入する。というものがあった。

自分で選んだ方がいい。という優しさからのものだったが、それが悲劇を生むとは想像もできなかっただろう。

普段あまり車に乗せてもらわない娘は、両親が座っている前の席がいいと駄々をこね、ナビシート(通称、助手席)に座ることになった。そのため、池田葉子はリアシート(通称、後部座席)に座ることになった。

デパートで娘が選んだ子供用のおもちゃ(プレゼント)を購入した池田夫婦、家まで待ちきれなくなった娘は、車の中でプレゼントであるおもちゃの封を開け、車の中で遊び始めた。

目をキラキラさせて遊びに夢中になる娘に対して、池田夫婦はそれを見て微笑んでいた。特に池田葉子の夫である池田俊也は、愛しい愛娘の楽しそうな様子に目を奪われていた。


だが、運命は残酷である。

数分後、幸か不幸で言ったら圧倒的に不幸なその事件は、俗称を交通事故と言った。

車による交通事故は、人間の一生のうちに約50パーセントほどの確率で起こる。もちろん運送業者などは交通事故の確率が大幅に増加するが、それは置いて置いても凄い確率だと言わざるを得ない。

一生の内に50パーセントほどの確率で起こる交通事故だが、死亡事故となる確率は低い。それでも日々約14人前後の人が毎日交通事故で亡くなっているのだ。他人事とは言えないだろう。


そして池田家の場合、真っ正面からトラックと激突した。

もちろん両車とも危険運転をしていたわけではない。いや、語弊があった。トラックの運転手は極度の疲労を堪えていたため、論理的に考えて危険運転でないとは言い切れない。

池田家の車が角を曲がった瞬間、時速50キロを超えたトラックが池田家の車へと飛び込んできた。


バッコッッンッッッッーーーー!!!


耳をつんざくような爆音が周囲一帯に鳴り響き、フロントガラスが散り散りになって車内へと飛び散ったた。

運転席と助手席のエアバックはすぐに広がったものの、ぶつかった衝撃が消えるわけではないし、フロントガラスが刃物となって飛んでくるのだから、危険でなくなったわけではない。

車は半壊状態だった。バンカーはぐしゃぐしゃに潰れ、モクモクと灰色の煙が上がっている。

後部座席に座っていた池田葉子ですら、フロントガラスの破片によってだらだらと血を流していた。意識は混濁していたが、運転席と助手席の家族の最後を見ることができたのは、幸いというべきだろうか

池田家の全員が気絶か強い痛みによって動けなくなっている中、近くにいた人が呼んだ救急車が、事故から数分経ってから到着した。


すぐに一家は病院に運ばれたが、後部座席にいた池田葉子以外は死亡した。

朝、治療が済んだ池田葉子が聞かされたのは、大切な家族の訃報だった。

混乱し、動揺する彼女が霊安室にて見せられたのは、グチャグチャになった家族の死体だった。

そして彼女は、遺体に寄りかかるようにして泣き続けた。


火葬場からようやく家に帰って来た池田葉子の胸にあったのは、骨壺が入った袋2つと、押し寄せる寂寥感だけだった。

頭の中では後悔ばかりが渦巻いていて、家族の思い出が詰まっている自宅にいると。号泣してしまうこともしばしばだった。


この世に運命というものが存在していて、それが神の采配で決まるのであるならば、池田葉子は絶対に神を許すことはないだろう。神が許しを望んでいるわけではないとしても・・・・・・


彼女は精神科医の元へと通い、数年後には元の快活な性格へと戻り始めていた。

だが、あの時の苦しみ、悲しみを忘れることはない。家族を失った彼女は、もう何も失わないようにと決意した。


そして今、仲間達(勝手に思っている)の危機が訪れている。青グループでも黄グループでも、通信機器から聞こえるのは助けを求める声だ。

「助けを求められたら、助けるしかないじゃない・・・作戦だなんだって言っても人の命には代えられないわ・・・・・・『それと、瑞樹ちゃん、頼んだわよ!!』」

『囮役は任せますよ、死なないでください・・・』

プチッッッ

個別通信にしてあったトランシーバーが一方的に切られた。どうやら会話はしないらいしい。

「まったく・・・まぁでも瑞樹ちゃんらしいわね・・・・・・美晴はもうちょっと可愛らしかったけど・・・」

遠くを見つめるように見るが、彼女の周辺は土の壁が覆っているので、他に人がいれば恥ずかしくなることは間違いない。

土の壁とは言っても、全方向を覆っていれば土人形(ゴーレム)を目隠しした状態で動かすのと同じだが、それをそのままにしておくわけがない。

しかし、普通のガラスを嵌め込んだだけでは攻撃を受けた瞬間に割られてしまう。そう言った危険性を排除するため、もちろん強化ガラスの何倍もの強度を誇る超強化ガラスを使用していた。


「【大自然】『コネクト(接続)


池田葉子は土人形(ゴーレム)の頭脳部分と接続することで、土人形(ゴーレム)を自由自在に動かせるようにした。最初から自由自在に動かせるようにしていればいいのだが、そんなことには一切気づかないのだった。

「さーて、ちょっと試してみなきゃね・・・」

体の動きと接続されているため、池田葉子が拳を振れば、土人形(ゴーレム)も拳を振る仕組みになっている。

実験ということで、彼女は腕をゆっくりと前に突き出す。


ブォォンッッッ!!


実験は成功し、土人形(ゴーレム)は腕を前に突き出した。

それを確認した池田葉子は、満足したような笑みを浮かべ、自身の仲間(勝手に思ってる)を助けに行く。


決戦、緑グループフィールド『DETERMINATION』

マジで遅くなってすいません、ちょっとやらなきゃいけないことが溜まってました・・・

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