Episode 29巨大な土人形
すいません、こらから毎日一回投稿にさせていただきます。申し訳ないです
最近投稿ヤバくてすいません
あの宣戦布告から2日と20時間、赤グループから攻め込まれる時間まで四時間しかないはずの緑グループには、大量の土が集められていた。
「触媒があれば、簡単に作れるのよね。普通に虚空から創るのと比べても段違いにね!」
「移動させるのにも池田さんの異能が必要ですから、倒れられても困ります」
別に池田さんを心配しているわけではない。池田さんが説明していた巨大なゴーレムが出来上がるとして、それを操作できる人がいなければ、ただの迷惑な土像でしかない。
「そうね、じゃぁ始めましょうか」
そう言って、池田さんは、大量にある土に手を向けた。
「まずはコアから作りましょうか・・・【大自然・操作】『万物操作コア』っと」
池田さんが力を集めるような感じで手を丸め、私の視界が赤く染まった。
少しづつ薄くなっていく眩しい光に目を細めながら私が見たのは、紅く染まった石のような物が、池田さんの手の平の中に生まれた瞬間だった。
その紅い石は私の目(肉眼)から見て完全な球体で、現在の技術では不可能と言われている真球なのだろうと私は考えるが、確証は存在しないし、検証ができる機械もないためどうなのかは検証できない。まぁ今はそんなことは関係ないか・・・
「まっぶしー、こんな眩しいなんて聞いてないわよ」
「私も聞いてませんよ、次にやるときは暗闇でやってください」
「そうね、まぁ・・・こんなこともうしないかもしれないから・・・」
「何泣き言言ってるんですか!?あなたが死んだら終わりなんですよ!!」
自分でもこんな泣きそうな大きな声が出るとは思わず、びっくりしてしまった。
けれど、池田さんには効果的だったようで、頬を両手で叩いて喝を入れていた。
「これ、いつかやってみようと思ってたんだけど――痛っいわね・・・・・・まぁ私には目が覚めたから効果的だったんでしょうけど」
そう言いながら頬をさする池田さん。その頬は少し赤く腫れていた。
「すいません、私の勝手な言動で・・・ごめんなさい」
「いいのよ、別に瑞樹ちゃんは悪くないもの。それと、さっきのこんなことはもうしないかもって言ったのは、瑞樹ちゃんの勘違いよ」
私の勘違い?どういうことだろう。別に勘違いなど起こした記憶はないが・・・
「あれね、私は別に普通の生活に戻って巨大なゴーレムを創り出すつもりなんてないし、これからのフィールドが狭ければこんなの作れないでしょう?だから、こんなこともうしないかもって・・・」
私は顔が赤く熱くなっていくのを感じた。無論恋愛とかそういうものではなくて、ただ恥ずかしかったのだろう。と頭脳の冷静な私は考えるが、冷静じゃない私の心の暴走によって、思考は簡単に恥ずかしいという感情に埋め尽くされていく。
「あら、顔赤くしちゃって・・・よっぽど恥ずかしかったのね」
「うぅ・・・」
そんな私の痴態を挟みながらも、土人形は完成へ着々と進んでいった。
まずはコアを守る心臓部、構造上最も固いらしい。
「コアが壊されちゃったら困るからね・・・【大自然】『土凝縮・球体防壁』
紅く光るコアを包み込む、土のような物質。それは土のように見えて土ではない、大量の土から集められた不純物(不純物とは言っても土が純粋なものだとしたらという前提の元の話なのだが・・・)
私が不純物と呼んでいる物が、土に混ざった貴重な鉱物なのだ。しかし、鉱物の中にも硬度が固い物から柔らかい物までたくさんある。
その中でも硬度が固い物は一握りしかない、そして池田さんはその一握りしかない硬度が固い物を惜しみなく使って、心臓部の防御壁を造っていた。
紅い光を放っていたコアはツルツルだったが、それ自体が光っていたため光沢を見ることは出来なかった。しかしコアを包み込んだ心臓部、それはツルツルな上に光が反射する素材だったため、強い光沢を放っていた。
次にコアを守る心臓部を守り、土の体の中心となる胴体を造る
「体の中心なんだから、大きくなきゃいけないわよね【自然】『土収縮・土塊の体』」
コアを包み込んだ内部防壁を包み込む土の塊、宙に浮かんだ土の塊は徐々に周りの土を取り込み、どんどんと大きくなる。その土の体は私の身長の10倍を優に超え、目測で30メートルを超えていた。
しかし、土とはいえそれほど大きくなれば重量も嵩む、3トンほどの重さを持つ土の胴体は、池田さんの異能1つで支えておくには、重すぎる。
早く胴体を支える脚を造らなければ、池田さん1人にかかる重量が重くなりすぎて、私たちの頭上に3トンもの土の塊が降ってくることになる。
「大分重いわね、早く脚を造っちゃいましょうか【自然】『土収縮・土塊の両脚』」
私の早くしてくれ、という目に気づいたのか、池田さんは土の胴体に対応する両脚を造り出した。
巨大な土人形と言えば、胴体と両脚と紅いコア・・・それに両手と頭だろう。それがない今の土人形では、半端な土人形でしかない。
半人前に則って半土人形とでも呼ぼうかと考える私とは違う、グループリーダーの池田さんはすぐに両手の作成へと移っていた。
「これで最後かしら?【自然】『土収縮・土塊の両腕』」
そして、土の体に両腕が付き、頭以外は完璧な巨大な土人形が完成した。
脚が付いたため、土人形の大きさは50メートルほどになった。しかし、その両足で立ってそれでも土人形はフィールドの頂上に付くことはなかった。そして、その土人形は存在を大きく主張していた。
「ふわ~~~」
変な声が出てしまったが、そんな声が勝手に出てしまうほどに土人形は大きいのだ。
下から見ると土人形の首が見えない程に遠く、脚すらも近くで見るとツルツルで綺麗だった。
「ちょっと操作してみましょうか・・・」
池田さんはそう言って、土人形の脚を動かして、緑グループの生活拠点の近くから中央塔の方へと移動させていた。
「これだったら勝てますかね・・・」
私は池田さんにそう聞いた。それは、あの中央塔を半分にした攻撃に、少し不安に感じたからだった。
「どうかしらね、あの攻撃に耐えられるとは思えないけど・・・まぁあの異能は強すぎるから、何か制限がかかっているとは思うんだけどね・・・」
ならば、どうしてあんな赤グループの中心から、中央塔までの一直線を切り裂いたのだろうか・・・回数制限があるとしても、中心にあるコアだけ一直線に切り裂かれたら、土人形は復活することもできなくなるだろう。
しかし、私たちは戦うしかないのだ、私たちが生き残るために
黒川瑞樹、緑グループフィールド『DETERMINATION』
まぁ、兵器みたいなもんです。無人で動くんでロボットかな?




