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Episode 28異能の違和感

「やっぱり、できない・・・」

「しょうがないわよ、私以外にはまだ誰も成功させてないんだから。悲観することなんてないわ」

「でも・・・・・・やっぱり何か違う気がするんですよね・・・」

「それは・・・・・・」

私は、異能の【覚醒】に失敗し続けていた。というか、最初に成功した池田さん以外の全員が、【覚醒】に失敗し続けている。

私は池田さんの【覚醒】を身近で見ていた。というか手伝っていたため、理解できていると思ったのだが、他の【覚醒】を試した人とは全く違う結果になってしまっている。い手伝ってくれる池田さん以外には言ってはいないが・・・


「でも、瑞樹ちゃんは方法を最もよく知ってるはずよね?私と同じようににやったら、失敗することなんかないように感じるんだけど・・・」

「それか、【覚醒】できるには、ある程度の条件のクリアが必要なのかもしれないですね」

そうだった場合、私は絶対に【覚醒】できないのかもしれない・・・

「どういうこと?私にわかるように説明してくれないかしら」

「異能を【覚醒』させるのには、何らかの条件をクリアしてなければいけない。ということです」

「うんーと、もうちょっと詳しく・・・」

「例えば、池田さんが強くなりたいと望んでいて、それが【覚醒】の条件なのかもしれないですし」

大分簡単に言ったが、私が本当にそう思っているわけではない。それに条件というのは、もっと危険な可能性を示唆している。


「それなら瑞樹ちゃんの言った通り、私は強くなりたいって思ったわよ」

「そう、ですか・・・でも条件が違う場合もありますよね?」

「違うってどういうこと?」

「異能の強さや種類で【覚醒】できない条件になる可能性もあります、その場合絶対に【覚醒】ができない異能が存在するかもしれません」

「そんなことは・・・」

博愛主義的な池田さんには、自分だけできて他の人にできないのが認められないのだろう。それが異能という才能の塊のような物であっても、そうは思うことができないのだろう。と納得する。


「まぁ可能性ですから、本当はどうなってるかなんて私達にはわかりませんよ」

「そうかしら・・・まぁこの話は一旦おいて置くとして、瑞樹ちゃん、あなたの場合の事を教えて?」

そう、私が【覚醒】に挑戦すると、他の人とは違う特殊なことが起こるのだ。

池田さんの手順通りにやると、白いもやがかかった空間に入って行くのだ。私の場合そこで拒絶反応を起こし、戻ってくる。

けれど、まれに何か話をして戻ってくるのだ、話した内容は覚えてはいないのだが、とても重要なことを話したような気がする。

そんなことを手短に話すと、池田さんは何かを思案するような動作をして、こう言った

「もう一回やってみてよ、今度は私が付いてるから」

池田さんが付いているのは毎回同じなのだが、それでも今回は違う。と言わんばかりに、自身満々に胸を張っている。

そんな池田さんに私が折れることになった。


地面に仰向けに寝る私、その横には池田さんが正座で控えている。

「いいわね、瑞樹ちゃん?」

「大丈夫です、十分以上戻ってこなかったら、叩き起こしてください」

「叩き起こすわけじゃないけど、ちゃんと起こしてあげるわよ」

その言葉に安心した私は、自分の奥へと潜り込んでいく。

自分の奥、つまりは心の事だ。その中に踏み込むということは、自分の精神が危険になるということで、今は触覚も痛覚も感じない状態になっている。

異能は心に植え付けられた“種”が元らしい。自分の心が強ければ強いほど強力な異能が発現するのは、「種にどれだけ心を割り振れるか」ということであり、種を取り除けば異能を消すことも、種を使って異能を覚醒させることもできる。

池田さんは、心の奥でその種と出会い。【覚醒】ということを行ってもらったらしい。


深い暗闇に、落ちていく私の体。それは私の精神であるため、私は今生まれたままの姿ということだ。

別に心の奥にいる存在に裸を見られたところで何も感じることはないが、服を着ていないからか、少し寒々しい気がする。

そして、暗闇を抜けた先、白い空間へとたどり着いた。

池田さんの心の奥には、植物でいっぱいの空間が存在していたらしい。空間の風景は千差万別で、明るい空間もあれば、暗い空間もあるらしい。

この空間は、明るいけれど他に何も存在していない。ただの白い空間というだけだ。

「また来たんですか?私は貴方のために作られたのですが、まだあなたは条件を果たしてはいない。帰っていただきましょう」

訂正だ、こいつはいる。この天使のような女はいる。天使というのは見た目的な表現であり、見た目以外には全く天使ではない。

「ちょっと待って、あなたは何なの?」

「何、とはどういうことですか?私の存在を聞いているのか、私の次元上の位置を聞いているのか、それとも他の事を聞いているのか・・・」


「存在について聞いてます、あなたは私にとって何なんですか」

「私は、あなたの父親に作られた存在・・・あなたを死から守ることを史上目的としています。今の最新の目的は、あの植え付けられた【銃】とかいう異能を貴方から剥がすことです」

答えになっているようで、なっていない。それにお父さんに作られた?くそっ情報が足りなくて全く理解できない。

「あなたに架せられた条件って何、どうしたらあなたを解放できる?」

「それは言えません。禁止されているわけではないですが、それじゃ面白くないでしょう?」

「そうですか・・・ですが・・・」

「大丈夫ですよ、あなたの生命の危機には、私が発動されます。それまでは、あなたの知識に蓄積された、この本とやらを読む時間ですから・・・私の読書時間を邪魔しないでいただきたい」

あんたは私のために作られたんじゃないの、とか言いたいことはたくさんある。だが、読書したいがために、職務放棄するのはダメだろう。


「あぁこの本という創造物!喜怒哀楽に人間の奥深さまで・・・これさえあれば私は永遠にここを出れなくてもいいッ!!!」

私は全然良くないんだけど!・・・それに感情を露にしすぎだろう。先ほどまでのあの塩対応は何だ。

「外に出れば、もっとたくさんの本があると思うけど・・・」

「Realy?・・・早く外に出れば本が読める、別に教えるのを禁止されているわけではない・・・」

何か小声でブツブツと言い始めた、もう付き合ってられない

「で、早くここから出してくれない。もうすぐ起こされると思うんだけど」

「OK、私の開放条件を教えます、私の解放条件は・・・」


「大丈夫?もう十分経ったから起こしたんだけど・・・なんかタイミングが悪かったみたいね」

「・・・大丈夫です・・・頼んだのは私ですから]

気づかないうちに、私は池田さんを睨んでいたらしい。しかし、本当にタイミングが悪い・・・


黒川瑞樹、生活拠点『AWAKENING』

やばいです。

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