Episode 27三色同盟
「皆さんに集まってもらったのは、あの赤グループの宣戦布告について話すためです」
建築されたのが最近で、急いで仮設されたことが丸わかりなその部屋には、この2nd seasonでは最上級に重要な人物が3人、集まっていた。
「別にここに集まったのは良い。だがあんただけが護衛を連れてないのはどうなんだ?」
「俺達が護衛を連れているのが、ちょっと恥ずかしくなるだろう?」
集まった中の2人の男は、後ろに控えさせている護衛と、もう一人の女性の背後を指して、少し恥ずかしそうにしていた。
「別に私は構わないわ、あなた達が私を殺したいなら護衛でもなんでも呼ぶけど・・・」
「黒川瑞樹が死ぬことは阻止しなければならないからな、もちろんあなたを殺すつもりは毛頭ない」
「我々はこのバトルロワイアルで人が死なないようにしたいだけだ。人を殺したら全てが水泡に帰してしまう」
「あら、瑞樹ちゃんと何の関係があるのかしら?雲櫟ちゃん?」
「ちゃん付けはやめてくれ、池田さん。それと、俺と瑞樹はただの貸し借り、いや――師弟関係だな」
「話が進まないのだが・・・時間がないだろう?できるだけ早く決定事項を決めておきたい」
「もう、岩田ちゃんはせっかちね。じゃぁ早く決めちゃいましょう?」
男性陣2人は、女性によるちゃん付けを首を振って諦める。世の中にはこういう女性もいるのだと理解し、諦めるという選択を選んだ男性2人。その選択は幸か不幸か、今後女性にちゃん付けで呼ばれ続けるのだが、それはまた別の話。
「そうね、まずは報酬の話をしましょうか?聞いてから断っても構わないわよ」
「報酬というのは「手伝ってくれた場合に」ということか?それなら俺はもう断るつもりはさらさらない」
「俺もだ、わざわざ報酬と提示されている物を受け取ろうとは思わん」
「ちょっと2人とも?・・・まぁいいわ、私から切れるカードは3つ・・・1つ目は異能について、重要な新情報があったわ・・・2つ目はポイントについて、緑グルー―プのポイントをある程度なら譲ることも致し方ないわ・・・3つめは・・・・・・やっぱりこれはあとね。で質問はあるかしら?」
「ないこともないが、ここで聞く意味がないな」
「俺も同感だ。一応護衛は外してから聞くことにする」
女性の裏の意図を読み取り、他社の介入ないところで話したいということを理解した彼らは、胸の内の質問を押し込めておくことにしたらしい。
「それで、私たちは連合協定を結ぶべきだと思うの」
「連合か、悪くはないが、一時的な協力は、連合とはとても言えない」
「そうだな・・・では、連合ではなく同盟でどうだ?連合協定よりも短いし同盟ならば問題あるまい?」
「そうね、ならここに三色同盟の結成ね?」
「ネーミングセンスのかけらも感じられないが、簡単だし、それでいいだろう」
「・・・この際致し方なし、か・・・」
三色同盟とは、青、黄、緑、の三色が同盟を結ぶから三色同盟なのだろうが、センスはゼロどこらかマイナスだろう。
それでも自信満々にしているところが、女性の性格を表しているというか、なんというか・・・・・・
「同盟になることも決まったことだし、作戦を話し合いましょう?対策を立てておいて損はないわ」
「烏合の衆ほど危険な物はない、作戦を立てるのもいいが、理解しやすい内容にしてくれ」
「そうだな、いくら人数が集まったとはいえ、あの攻撃を喰らえばひとたまりもないだろうからな」
「そうなのよね。覚醒しないであんな力が出せるわけないだろうし、灰崎ちゃんも覚醒してるのかしら?でも、覚醒したのは私一人らしいし・・・・・・・・・ブツブツブツ」
「・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「ブツブツ・・・あぁごめんなさいね、自分の世界に入り込んでしまって、で何の話でしたっけ?」
これは処置無し。という顔であきれる2人、彼らは両の手の平を上にして、肩をすくめていた。
「【覚醒】というのは?先ほどの報酬の件とも関係してきそうですが」
「・・・・・・【覚醒】・・・つまり異能が強力になる。ということか?どうやったらできるのだ?」、
「残念ですが、詳しいことは分かっていないのよね・・・でも異能が圧倒的に強くなったことはたしかよ」
「誰からその単語を教えてもらったのか、聞いてもいいか?もしや・・・」
「その通り、シンクちゃんです。唯一自然に覚醒したって言われちゃいましたわ」
「ふむ、妙だな」
「何が妙なの?私が騙されてる可能性もなくはないけど、そこまでおかしい話ではないはず」
「そういうことではなく、あのげーむますたーとやらが、何のために我々を強くしているのかを気になったのだ。我々を強くしたところで、奴にはメリットがない」
「そうですね。喜んだのも何か理由があっての事なんでしょうが、私にはわかりませんわ」
「視線を向けてるとこ悪いが、俺にはわからん」
誰もが顔を見合わせている、それは仕方のないことなのかもしれないが、数日後に攻めてくる赤グループのことを考えると、無駄な時間の浪費でしかない。
「とりあえずそれは後回しね、さっ、作戦を立てましょ―――――――」
数時間後、仮設テントから出てきた彼らは、慣れない仕事によってクタクタ状態だった。
「じゃぁ、2人ともお願いね」
「無論です。必ず勝利しなくては・・・」
「問題ない。絶対に死者は出さないように尽力する」
「それと【覚醒】についてだけど、私は自分と向き合うことで覚醒したわ、あなたちも自分と向き合ってみればどうかしら?」
「一応やってみますが、私は異能に頼っているわけではありませんから・・・どうなるかは保証できませんし、過ぎた力は身を滅ぼします」
「俺もこの力で満足している、これ以上強くなる必要はない」
2人とも、無理矢理【覚醒】を行おうとはしないらしい。勝手に異能が覚醒したならば、その時に対処したらいいとも考えているようだった。
「そう?・・・っと無駄話は終わりにしないとね、じゃあぁまた戦いが終わったら」
「ああ」
「全員生きて会おう」
「ゴッ」
そう言って、彼らは拳をぶつけあった。
会議、緑グループグループフィールド『ALLIANCE』




