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Episode 25暗殺者の暗躍 後篇

グループリーダーの大強化イベントです

「フシシシシ、誰もダクトの中を通ってくるなんて、考えもしないんですな。これもあっしの異能のおかげですな、あっしの体格でもパイプ内は通れないですからな」

ダクトの中を、液体状の何かが通っていく。けれど、何かが発した小さな声を聞き取る者も、聞き取れる者も存在しなかった。

「どこですかな。池田葉子の部屋は・・・多すぎて見つからないですな・・・探すしかないのですがな」


数分後

「標的の池田葉子の部屋はここですな、何かぶつぶつ聞こえとるのは気にせん方がいいんかいな?まぁあとはのんびり寝るのを待つだけなんですがな」

「あら、出てこないのかしら、それなら私から仕掛けてもいいのよね?【自然・風】『風刃』」

「・・・グッ・・・痛いですな、・・・・・・そして、あっし参上ですな」

多量の風が切り裂く力を与えられ、ダクトの中に吸い込まれていく。風は液体状の何かを切りつけて。虚空へと消えていった。


ダクトから黒い液体状の物がどろりどろりと流れ出し、徐々に人の形を造っていく。

「【自然・風】『風刃』」

黒い液体が、人の形に戻りかけたところを、追い打ちをかけるように風が切り裂く。

「悪役の変身シーンぐらい守らな、ヒーローだって律義に守ってるんだがな」

「あなた悪役じゃなくて、私を殺しに来た暗殺者でしょ?なら遠慮はいらないわよね?」

「話が早くて助かるな、じゃぁ死んでくれな!」

黒い液体が薄く大きくなり、部屋中を覆う。誰かほかに人がいたならば、部屋が一瞬で真っ黒になったようにも感じるだろう。このまま液体に飲まれ続ければ、この女性はすぐに死ぬだろう。


「あっしの異能【液体化】はどうだな、このままじっくり舐り殺してやるな」

「そんなことしたって無駄だわ【自然・風】『疾風乱舞』」

指向性を持った風が小さな竜巻のようになって、部屋を覆っていた液体さえもバラバラに切り裂く。

「グッッ・・・ダメージはなくとも大分痛いでやんすな、仕方がない、プランBでやんす」

バラバラになって部屋中に飛び散った黒い液体が、10個の人影を造る。

「これだけあれば、あんたを抑え込むぐらいどうってことないでな」

黒い人の形をした液体が、女性に向かって見た目とは裏腹に素早く進んでいく。


「無駄だって聞こえなかったのかしら【自然・土】『槍衾』」

突如、女性を中心として1メートルぐらいの土の槍が地面から生えた。黒い人の形をした液体はそれに縫い付けられて、動けないようにされていた。

「フシシシ、水人形に気を取られて上は注意しなかったのがお前の死因だな、安らかに――死ねな!」

天井に張り付いていた暗殺者、その手に握られた凶刃は簡単に人の命を奪うことができると言うように、怪しく光っていた。

「【自然・水】『水膜』」

凶刃を手に突っ込んでくる暗殺者、その切っ先は心臓という1点を正確に狙っている。しかし、届く寸前で女性の周囲に張れれた水の膜よって、暗殺者の凶刃は女性の身に届く間一髪で止まった。

「自然・風】『風爆』」

女性が起こした風の爆発によって、暗殺者の男は壁まで勢いよく吹っ飛んでいく。


「ドガッッ」

暗殺者の男は壁に勢いよくぶち当たり、その場で首を下に向けた。

「・・・どっ、どうしてわかったな?」

「暗殺者が人形を見変わりにするなんて普通の事じゃない。注意してないわけがないわ、それに瑞樹ちゃんとの特訓でも言われたしね」

「『池田さん、あなたは警戒心が足りない。他グループがなりふり構わず、あなたの命を狙ってきたときの対策もするべきです』ってね」

「それに、あなたが来るのはある程度わかってたし、外に待機してくれてたのよ」

「何もかもバレていたでな。というわけでやんすか、だけど依頼は達成するな」

「こんな感じでやんすか【液状化】『水魔人』」

そして暗殺者の男が、巨大な水の魔人へと変身する。


「やられたわね」

「あんたがだした水、使わしてもらったでやんす。これで形勢逆転ってな」

先ほど女性が出した水膜の水を使われ、水の魔人へと変身した暗殺者。その太い腕による攻撃力は、大人1人を軽々と吹っ飛ばすほどの力はあるだろう。

「これは奥の手なのに、こんな暗殺者に使うことになるなんてね・・・【大自然】『無慈悲な自然』」

いきなり、周囲の空間が切り替わる。そこは大自然の中、悠然と成長していく黒い一本の木の物語だ。

芽からゆっくりと成長していく木、太陽の日を浴び恵みの雨を受け、どんどんと成長していった。そして、黒い木は無尽蔵にどんどんと成長していった、

しかし、いつの日か自然災害が起き、黒い木は洪水によって流されてしまう。洪水で流された木はそこに根を下ろした。また成長すればいいさ、その木の思いは数年後打ち砕かれることなる。ハリケーンによって吹き飛ばされてしまったのだ。そしてまた木は別の場所に根を下ろす。そして、そんなことが幾度も幾度も続いていく。そのうちに暗殺者の心は疲弊して、使い物にならなくなるかもしれない。


「こんな技、使いたくなかったのに・・・仕方がないのかしらね?」

「別に他に倒す方法はいくらでもあるでしょう?なんでそんな鬼畜なの選んだんですか?」

「ただ、悪戯に生命を殺すっていう非道なことが、自然の摂理の中で生きれば脆い物でしかない。それを感じてほしかったんだけどね」

「やりすぎですよ、1分で何年分の情報量が蓄積されてるんだか・・・早く止めてください」

「はぁ、仕方がないわね【大自然】『無慈悲な自然・終』」

護衛として外に待っていた少女黒川瑞樹は、暗殺者の男に対して一切油断せず、拳銃を向けている。

座り込んだ暗殺者の男は、ビクンと一度痙攣してまた物言わぬ存在になり果てた。


「一応捕らえておきましょう?完全に密閉された空間なら、逃げられないでしょ」

「でも、この生活拠点にそんな空間、存在しませんけど」

緑グループの生活拠点には密閉された空間は存在しない。第一完全に密閉された空間など、この世には存在しない。

だが、それが異能であれば別だ。

女性は少女と少女が支えている暗殺者を連れて、いったん外に出て暗殺者を地面に置いた

「えーと【自然・土】『丸土壁』っと」

そして、暗殺者は固い土でできたドームの中に、閉じ込められることになった。


池田葉子、緑グループ生活拠点『OVERWHELMING VICTORY』

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