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Episode 24暗殺者の暗躍 前篇

『すまねーが、今はこうやって連絡を取れる時間もほぼ取れねーんだ。簡潔に済ましてくれ』

「そうか、すまなかったな」

『別にいいが、部下の統率が取れてなかったなんてお前らしくもないじゃないか・・・なにかあったのか?』

「いや、俺が情報を流した奴等が、功を焦りすぎて勝手にやったことだ。それでお前に被害が行ったんだから、俺の責任だろう」

『別にそれは気にしてないが“仲間”とは呼んでやらねーんだな』

「それは・・・俺には仲間なんて必要ない。何か文句でもあるのか?」

『いや、逆に安心したぜ。腑抜けてるんじゃねーっかって心配してたんだが、俺たちはそのぐらいでちょうどいい』

「それよりも、俺たちは緑グループに仕掛けるぞ・・・これは絶対だ。お前が何を言ったって覆らない」

『別に問題はない。決行日を教えてくれれば、1人で何とかするさ』

「そう、か・・・・・・」

『なんだ、今生の別れみたいな声を出して、俺は死ぬつもりはねーぞ・・・・・・ってやベっ切るぞ』

突如として音声を発さなくなった機械を、男はしげしげと眺めた後、真っ二つ分けた。


「今生の別れ、か・・・ある意味そうだな」

「緑グループ全員殺しちゃうんですな?1人づつ殺していく方が好きなんでな・・・まぁ人が殺せるなら何でもいいですな」

「後悔がないというわけではないが、仕方が無いな」

「あんたにも未練の情とかあったんですな、血も涙もない人かた思ってましたな」

「20数年一緒に生きた兄弟だ。というか話し方どうにかできないのか?」

「あっしの話し話し方に口出す奴はな、“死”って決まってるんですな、ですがあっしも自分の命は大切なんですな」

「数百人殺した殺人鬼でも、自分が死ぬのは怖いか」

「そりゃそうですな、自分が死んだら誰が人を殺すんですな?」

闇に隠れていたその人物は、背丈が驚くほど低く、ガリガリに痩せていた。

手に持っているアタッシュケースは背丈の半分ほどと、その人物と比べて大きかった。


「人を殺したら罰せられるなんて言うてますけど、あんなの嘘やんな。結局んところ上手いか下手かで決まりますな」

「それはそうとして、そのアタッシュケースには何が入ってるんだ。金でも入ってるのか?」

「金なんて無粋な物、入ってるわけがありますかな。商売道具ですよ、あっしはこう見えて医者もやってるんでね」

「フッ、やぶ医者か?」

「とんでもねぇ、あっしはちゃんと医師免許も持ってますな。偽造やけどな」

「人殺しの道具で手術は受けたくないな」

「そんなこと言ってられますかい、まっ、ちゃんと分けとりますな」

軽口を数分間叩き合った二人は、急に真剣な目になる。


「お前に頼みがある、だから呼んだんだ」

「あっしに頼みですかい、それは緑グループグループリーダーの池田葉子を殺すってことでいいんですな?」

「話が早いな、やはりお前情報を盗み聞きしていたな?」

「怒ることではありませんな、あっしにかかれば朝飯前でやんす」

「その口調はどうにかならないのか?」

「あっしの口調に口出す奴はって・・・もう言った気がするでな」

「はぁ、仕方がない。今夜、決行だ」

「今夜!?無理とは言わないですがな、何事にも準備ってものが存在するでやんす」

「できないのか、数百人殺した殺人鬼の癖に?」

「ちゃちな挑発に乗るのは嫌ですがな、今夜やってやりましょうな」

「頼んだぞ」

背丈の小さい方が、闇に消えていく。

それはまるで、幽霊の様だった。


「兄者、お別れだな」



「んーマズッ・・・やっぱフツーのご飯食べてると、如何に私達の食事がまずいか理解できるよね」

「キューキュー」

青グループのフィールドは、巨大な廃工場でできている。何本かある上に伸びるパイプの一本に座って、丸い物を口に入れた少女は、自らのペットである子狐に話しかける。

「やっぱりお弁当、貰ってくればよかったかな?・・・でもこっちの方が栄養価は高いんだよね」

「キュー?キューキュー!!」

そんなものがあったんなら、貰ってきてくれと人語を理解する子狐は言う。

「そうだよねー。でも、私の分で最後だったんだよ。私が人のを取っちゃたらって思うと取れなくてさー」

「キューキューキュー!!」

「えっ私のだけ取ってあったんだから大丈夫だって?そうなのかな・・・でも私はこれ食べれば問題ないし、レミーも大丈夫でしょ?」

「キュッキュッキュー―!」

「大丈夫じゃないって?そんなこと言わないでよ、欲張り忍者みたいに思われたらどうすんの」

実際には、普通のご飯ですら泣いて食べるため、相当に貧乏な子だと思われている。哀れな少女であった。


「キュッキュッキュー?」

「人影を見つけた?おっかしいな~?報告にはなかったよねーってまたアルミホイルか~」

「キューキュッキュキュー」

「早く報告しろって?はいはい分かりました。全く夜目が利くからって夜中じゅう見張らせなくったっていいんじゃない?別に睡眠はそこまで必要なわけじゃないけど・・・」

少女はそう言いながらも、トランシーバーの電源ボタンを入れた。


「もしもーし、霧峰です。雲櫟いるー?」

『私が雲礫だが、どうした?』

「赤グループから、人影が出て行ったよ。緑グループに向かうみたい」

『緑グループか、つくづくあいつは何かの星の元に生まれたのかもな』

「瑞樹ちゃんの事?」

『そうだよ。こんなに立て続けに何かが起こるなんて・・・まぁ関係ないかもしれんがな』

「報告はしたからね、あとはそっちの判断に任せる」

『了解した、しっかり伝えておくさ』

「じゃぁ・・・」

少女はトランシーバの電源を切り、腰に取り付ける。


「まぁ人のためになるなら、やぶさかでもないかな?でしょっレミー?」

「キューキュー」

そうだね、っと子狐は答える。

「私たちは陰に忍ぶもの、あれは想定外なんだからね」

そう言って少女は優しく腰に付けられた兼銃をなでる。その顔は、目的のためならば人を殺すことを厭わない忍者が見せることのできる表情ではなかった。


「じゃぁ頑張ろっか、感謝されるわけじゃないけど、それでも友達(一方的に思ってる)だからね」


「キュー!キュー?」

「私と瑞樹ちゃんが友達じゃないって?なわけないでしょ。拳銃なんてくれるんだよ?親友にだってそんな大事なものをあげないよ?・・・まさか私と瑞樹ちゃんは親友?なんて甘美な響き・・・」

「キュッ!・・・キュ~」

青グループの女忍者は、ポンコツ忍者かも知れなかった。


????、赤グループ生活拠点『MURDERER』

まじで追いつかれました、頑張って書いてはいるのですが・・・

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