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Episode 22裏切者の発覚

「この中に裏切者がいるわ」

「裏切者!?池田さん。そんなのいるわけがないでしょう?自分の命がかかってるっていうのに」

会議室の中に集まられた長老会のメンバーは、グループリーダーの女性の言葉に目を白黒させていた。

「長老会の全員がこのグループのためを思って活動しています。軟禁とまでは言いませんが、これ以上の勝手な振る舞いは控えていただきたい」

「私を脅してるの?それに、証拠があるのよ。証拠がなきゃ私がそんなこと言うわけないじゃない」

集められた者の中には、グループリーダーの女性を信頼していない者も多くいる。そのうちの一人が眼を鋭くして注告していた。


「証拠、というのは?」

「補給物資を運んだ人たちがいるでしょう?」

「あぁあの若造共か」

「そうでしたな、まるで礼儀がなっていなかったが・・・で、その彼らがどうしたんですか?」

「他のグループに襲われたのよ。ICチップには赤い線が入ってたらしいわ」

「補給物資が奪われた。という報告は聞いていませんが、まさか彼らが追い払ったというわけではないでしょうね?彼らには武器も渡していませんし」

「そうだ、そうだ」「また何かの冗談ですか?」「くっくっくっく」「獣にでも襲われたことを、過大してるんじゃないですか」

張りつめていた空気が一気に弛緩していく。

グループリーダーの女性は悔しそうにそっぽを向くが、それが更に笑いを読んで、負のスパイラルへと陥っていた。


「信じられなくてもいいわ。でも現場には銃弾が落ちていたらしいの」

「銃弾が?」「またお得意の嘘ですね」「敵が銃を拾ったんじゃないですか?」「それは以前の作戦のときから落ちていたものではないんですかね?」

「それは普通の銃弾の3倍ぐらいの長さがあるらしいのよ、それと瑞樹ちゃんが朝早くに生活拠点の外に出たのを見ている人もいるわ」

「それは日々のトレーニングでは?」「またあいつか」「はぁ~」

「これでも信用できない?何なら瑞樹ちゃんを呼びましょうか?」

「やめてください」「あいつに関わりたくない」

長老会の面々は、本気で黒川瑞樹に会うことを嫌がっていた。


「補給物資の輸送の時間を決めて、行ったのは私達よ。ここにいるメンバー以外には、誰にも伝えない約定を結んでいるはず。破った人はいる?」

「破る必要がない」「破ったって仕方がない」

「じゃぁこのメンバー以外に、裏切者はいないわね、後でちゃんと話を聞きましょうか?それではっきりするはずよ」

「聞き耳を立てている人がいたかもしれないですよね?」

「神宮殿、ではそう言う貴方はどうなんですか?深夜に外に出ていましたよね?」

「少し煙草を吸っていました。もちろん、火はしっかりと消しましたよ」

「もう、神宮さんを疑ったってしょうがないじゃない。疑わしいのは皆、もちろん私も含まれてるからね、人の行動を積極的に見ていきましょう?」

「そうですね」「ですな」「私は疑われるのは好きではないのですが、仕方ありませんね」「・・・わかりました」

煙草。と聞いて男性を睨みつけるグループリーダーの女性、火は消したと聞いて納得したが、それでも少し険悪な目を男性に向けている。


「じゃぁこれで終わりね、会議は解さ」

『シンクより、緑グループに通達があります』

解散!と女性が言おうとした途中で、中央の机に設置されたモニターに、文字が浮かび上がった。

『シンクでーす。緑グループのみんなー楽しんでる~?』

突如、モニターが文字からビデオ通話に切り替わり、美しい少女がモニターに映し出される。常人では無条件に好意を感じてしまうほどの容姿、けれど、会議室の面々には嫌悪感や憎悪しか浮かばなかったが、それは少女の方が悪いだろう。

『まずはー中央塔占拠、おめでとー!中央党は段違いにポイントが高いから、占拠するのにもっと時間がかかりそうだと思ってたんだけど。赤グループを押しのけて占拠したのを、褒めてあげるよ』

「どういうつもり!?」

女性が代表して少女に質問をぶつける。質問をぶつけられた少女は、何かよく分からないようなものを見たような顔をしたのち、その残虐性を裏に隠して話を続ける。


『どういうつもり、か~・・・難しいんだけど、簡単に言うと注告ってとこかな?』

「注告?」

「訳がわかない」という顔をした女性は再度問いかける。

『うん、注告。グループリーダーの言ったこと、みんな、半分以上信じてないでしょ?だから私が教えてあげる。親切心からだから安心してね?」

安心できるわけがないだろう!と、会議室にいるほぼ全員が怒り出したそうな表情を見せるが、そんなことは気にしないばかりに、少女は話を進めていく。


『この中の7人の中に、赤グループに情報を流してる奴がいるって言う。注告だよん』

「この中に・・・本当に?」

全員が、全員の顔を疑わしい物を見るような眼で見る。

『私的には、疑心暗鬼になった方が面白くて好きなんだけど、どうなるかな~?裏切者さんっ?』

楽しそうにそう言って、話を終えた少女は、ビデオ通話を切った。

しかし、会議室のメンバーには徐々に疑惑が広がり始めていた。


「今日の会議はこれで終わり、みんな解散して。それとこの中に裏切者がいることは、緑グループの全員に通達しておく。そうすれば私たちの行動をみんなが注視するようになる、反対する人はいるかしら?」

「いえ・・・」「賛成ですな」「問題ありません」「仕方がありませんね」「了解しました」「納得はしません、でも理解はしました」「構いませんよ」


そして数時間後、緑グループの全員にその情報が行き渡ることになる。

会議室のメンバーは注視されるようになり、緑グループの内部では膠着状態へと陥ることになった。

それは全てのグループが動かなくなるということであり、数日間による膠着状態が起こることとなった。


それを破ったのは

「緑も赤も青も動かない、なら我々が動くしかあるまい」

「ええ、この膠着状態は緑の理になりすぎる、このままでは危険です」

「泥をかぶるしかないですかね、別に表に出ても・・・」

「多数の敵を作ることよりも、一匹の獅子の方が怖い物だ。しかし、今は違う」

「結託して緑に襲い掛かれば、倒せないこともない。しかし犠牲が出る」

「ならば、泥でも灰でも被りましょうか、ね、リーダー?」

「そうだな、我等黄が動く時だ」


緑グループ、生活拠点『STALEMATE』

マジでやばいです。

(+o+)追いつかれる


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