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Episode 19補給部隊の行く末 前篇

俺は、今何をやっているんだろうか?

仕事に疲れてはいたが、こんなものは望んでいない。

あぁ、あんなのに参加しなきゃよかった、くそっ危険がないわけじゃないって、詐欺みたいなもんだな。

意識が朦朧としている。

こんなところで、こんなふざけたバトルロワイアルとやらで、俺は死ぬのか・・・・・・?



物語は、一時間前に遡る。

早朝、朝早く起きている2つのグループの内、これから行われることを知っている面々と、訳が分からずねむけ眼状態の面々が存在していた。

双方の違いは明白で、簡単に見て取れる。それは自信であったり、考え方であったりもするが、その違いが2つのグループを決定的に分けていた。


「あなた達に頼みたいのは、補給物資の輸送よ」

緑グループのグループリーダーが、そう言って話を始めた。

「あそこにあるリュックサックに大量の物資を入れて、中央塔に持って行く役割にあなた達が選ばれたの。もちろん断ってもいいけど・・・強制はしないわ」


「発言、いいですか?」

スーツを脱ぎ、シャツ1枚の着崩した姿の男性が手を挙げた。

「ええ、何でも言っていいわよ」

すかさず緑グループのグループリーダーである恰幅のいい女性が、それを承認する。


「なぜ、私達なんでしょうか?それに、その補給物資の輸送とやらに危険は?」

「あなた達はあまり戦いに向いている異能を持っていない、という理由で戦わない。もちろん戦うのを強制しているわけではないから、そこは安心してね」

質問に一気に答えたグループリーダーの女性は、一息ついてからまた話し始めた。

「・・・それに、戦うことが全てではないわ。けれど、私達は中央塔を手に入れた。これを守るために戦いをするには食糧が大量に必要なの。いつまで残らせるかはまだ決めかねているけど、30人分を賄うにはには大量の補給物資の輸送が必要なの」

「でも・・・私達である必要は」


未だ食い下がる男性に、女性は諭すように説明を続けていく。

「戦闘に行った人たち・・・戦闘員は誰も彼も疲弊してる。だからと言ってあなた達である必要はないわ、正直に言えば、誰でもいいのよ」

「池田さん!?」

グループリーダーである女性の近くにいる男性がたしなめるように言うが、気にせずに話を続ける。

「でもね、これは必要な事なの。中央塔にいる人たちもお腹が空いている。輸送中の危険は、私達ができる限り取り除くわ。それでも、危険があることは事実よ。ここまで聞いて断ってもいいわ」

そこまで聞いた男性は腕組みをして考え始めた。男性の近くにいる人たちも気乗りしないような表情をしながらも、危険性と名誉を天秤にかけ始めていた。


「報酬は、ありますか?」

またしても口を挟んだのは男性だったが、他の周囲の人間に話そうとゆう意思がないのだから、それも仕方がないことだろう。

「報酬は・・・何でも一つ物品供給塔で交換できる。というのはどうかしら?」

「池田さん!それは・・・」

女性の取り巻きが、諫めるように女性を睨みつけたが、諦めるように「はぁ~」と肩を落とした。

男性は「これはいける」と思い、さらに要求を増やそうとしたが、後ろにいる男性と同じグループの面々が「うぉぉぉ」と無邪気に喜んでいるのを見て、頭を振って要求を頭の隅に追いやった。


「その補給物資の輸送とやら、俺ははやります」

「私もやります」「僕もやります」「やらせてください」

4人が賛成したのを見て、女性は少し寂しそうな顔をしたが、一瞬であったために誰にも気づかれることはなかった。


「でも、危険を取り除くって、具体的にはどういうことですか?」

「アルミホイルって知ってるかしら?皆ICチップは身に付けてるわよね?――――――――――」



場所は一転して、深い暗闇の中

光が入らないように設計されたわけでも、何処からも光が入らないようになっているわけではないが、そこは暗闇だった。

唯一の光と言えば、男が耳に当てている携帯電話だけだったが、それも微弱でしかないため、男が男かを判別するのさえ難しい。


『ICチップをアルミホイルで覆えば、監視塔に発見されなくなる。しっかり覆わなきゃダメらしいが、ICチップが位置情報を発信することは出来なくなる。』

「本当か?」

『心配なら、一度試してみればいい。自分のグループの監視塔で、すぐに効果を実感できるさ』

「嘘をついているとは思っていない、お前が騙されている可能性を考えただけだ」

『俺が騙されるわけないだろ、人間は騙される奴と騙す奴がいる。俺は騙す方だ』

「そうだったな、兄者」

『そうともさ、不肖の弟よ』

「兄者、それは止めてくれ」

少し恥ずかしそうな男の姿を見た者はたいそう驚くだろう、それは兄以外には大して心を許していないということの証明なのかもしれないが・・・


『ハハハハハ・・・そうだ、早朝に中央塔への補給が行われる予定だ。だが今は奇襲するのを止めてくれないか?裏切者が言うのもなんだが、まだバレるには早い』

「そうか・・・」

『じゃあな、弟』

「ああ、兄者よ。また・・・」

そして携帯電話の通話が切れ、プーープーープーーという電子音が、部屋中を支配する。


「アルミホイル、か・・・」

そうつぶやいた男は、獰猛な笑みを隠しきれずにいた。

その笑みは獲物を前にした虎の様であり、獰猛な犬でも泣いて逃げ出すほどのオーラが男から発っせられていた。


そして少女が扉から入ってくる、扉の外は明るかったため、部屋は一瞬だけ光に包まれたが、少女が扉を閉めたことで、また暗闇に戻っていった。

「竜牙っちー?みんな皆怯えちゃってるわよ」

「白木か・・・俺がグループリーダーなんだから構わないだろう?」

「構いますー。それと結華って呼んでって言ってるでしょ?」

「結華、これでいいか?」

仲睦まじい青春模様と言った様子だが、その空気を保っていられるのは流石に白木財閥の令嬢の面目躍如といったところだろうか?


「やったー、竜牙っちが名前呼んでくれた」

「どうでもいいが、俺の脚に座るのは止めてくれないか」

「いいじゃんいいじゃんっ!ここに座れるのは私だけ―って感じで!?」

「ダメだ。どかないのなら、誰であっても“殺す”」

威圧感が部屋中を支配する、少女は少し身震いをして、さっと立ち上がった。


「あはは、ごめんね。竜牙っちが機嫌いいから調子乗った。もう2度としないから」

そう言って少女は、スタスタと部屋を出ていった。


部屋には男一人が残り、数分が経った。

考え事をしていた男は顔を持ち上げ

「兄者には申し訳ないが、補給物資を見逃すことは出来ないな」


????、赤グループ生活拠点『SURPRISE PLAN』

威圧感を、いあちゅかんって書きそうになりました。

雰囲気が台なしになりますね

前篇後篇に分けるつもりはありませんでした。申し訳ございません。

裏切者を出すにはこれしかなかったんです。


裏切者へのサプライズ。

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