Episode 14青グループ
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ」
「くそっ、なんで効かないんだよ!」
地獄絵図という状況ではないが、それに近い物はある。
大量のアサルトライフルの銃口が1人の人間に向けられ、そして発射されているが、某最強剣士よろしく銃弾は何かに切り裂かれて、周りに虚しく転がっていく。
「【千閃】・・・私の異能も、ある程度は使い道があるというわけか・・・」
「使い道があるってレベルじゃないような気がするが、蒼蓮さんのおかげで楽ができるんだから文句はねーよ。使い古されてる言葉だが、蒼蓮さんが敵じゃなくてよかったぜ」
「・・・そうですね・・・・・・でもグループリーダーが外に出ちゃって大丈夫なんですか?・・・・・・いや、別に雲櫟さんを信用してないわけじゃないんですよ。ただ・・・・・・」
ボロボロな服を着た50代ぐらいの男性が呟くように小声で喋り、それに反応した20代ぐらいの男性が、大きめの声で喋りだした。
大きめの声にビクッと反応した気弱そうな少女も意見を言うが、若い青年に睨みを利かされ、途中で押し黙ってしまった。
「んだよ。蒼蓮さんには居合なんて言うバカ強ぇ特技があんだろうが、あれだったらどんな敵だって一撃だろ?黙らねぇバカに黙らせようとして、首元に刃を当てた時の蒼蓮さん、見てなかったのかよ?」
「そこまで私の技能は万能ではないのだが・・・」
「・・・もちろん見てましたよ。カッコよかったですけど、でも・・・・・・」
「アァン、まだ口答えすんのか?俺が大丈夫っつたら大丈夫だよ。それに蒼蓮さんを守るために俺達がいるんだろうが!」
青年はまるで自分の事を自慢するかのように、他人の技能を大きな声で喋る。しかし少女のか細い反論にあった青年はさらに声を大きくして、少女を叱るように怒鳴った。
もちろんグループリーダーである50代ぐらいの男性の意見は、耳から耳へと流されていた。
「・・・そうですよね・・・・・・私たちが守らなきゃいけないんですよね・・・うぅ緊張してきた・・・」
「おうともさ!俺らがこのふざけたバトルロワイアルを生き抜かなきゃ、誰が青グループを救えるんだ?・・・俺らは別にこの戦いに勝つ必要はない、誰も死なないで戻ることが最大の功績だろうよ!」
「・・・それ、さっきもおんなじこと言ってませんでしたか?・・・・・・」
「あぁん?」
「ヒィッ、なんでもないです・・・・・・」
ガヤガヤガヤガヤ―――
チンッッ
刀と鞘がぶつかり合うとこんな音がするらしい。いや、らしいというのは間違いで、そんな甲高い音が周囲に響いている。というのが正しいだろう。
そこにいた青グループのメンバーは軒並み、喋るのを止めて音の発生源へと目を向ける。
そこには刀を握って前傾姿勢の体制を取っている1人の男がいた。
「グループリーダー・・・なっ、何を?」
「どっ、どうしたんですか?」
グループリーダーと呼ばれているボロボロの服を着て、刀を握っている男は殺気と苛立ちを周囲に振り撒いていた。
「言い方はきつくなるが、君たちは弛んでいる。敵のグループはまだいるかもしれないのに、暢気に談笑をするなんて、自分から倒してくださいと言っているようなものだぞ・・・・・・・・・それに、私を守ると言っていたが、現状を見て誰が私を守っている?」
もちろんそんな問いに答えられる人間はその場にはいない。沈黙が沈黙を生んで、時間を浪費させていく。
「まぁこれから頑張ってくれればいい。私は君達を信頼していないわけではなく、行動や考えを直してほしいと思っているだけなのだから」
沈黙を破った青グループのグループリーダーの男は、飴と鞭という古典的な方法を使った。
飴と鞭というのは、攻撃的な鞭の中に甘い飴を与える。という実に簡単な方法だが、これが不思議と人にはとてもよく効く。
今ではハラスメントなどに値するので、飴と鞭という古典的な方法を使っている人はほぼいない。
ほぼいないというのは、全くいないというわけではないので注意が必要だが・・・・・・
「我々が今いる中央塔下部にいた他のグループのメンバーは、ほぼすべて倒したと言っていい」
「暗がりやロッカーの中にいなければ、だがな・・・」
グループリーダーの言葉に反論した30代ぐらいの男性の言う通り、青グループが大量に集まっている中央塔の地表部にあるホール部分は、中々広く自動販売機などの隠れられそうな場所が多く存在していた。
「我々青グループは中央塔上部、展望台に上がるつもりはない。事前に説明したとは思うが、今回の戦闘は他のグループの情報を集めるためのもので、中央塔を手に入れるためではない」
「情報って言ったって何が情報になるんだよ!」
「ポイントで色々交換できるんだろ?得られるポイントの量が2倍になれば、もっといいもんが食べれたりするんじゃねぇのかよ!」
青グループには残念なことにがら、グループリーダーに対する不平不満が爆発したようだ。
「まず情報と言えば、緑グループが銃を持っていることだ。ここにいた緑グループのメンバーは全員が銃を持っていたのだから、間違いはないだろう。それに―――――――いや、なんでもない。他には・・・・・・・・・・・・」
緑グループの情報を言おうとした瞬間、青グループのリーダーであるボロボロな服を着た男性は、周囲を見渡して他に人がいないことを確かめようとしたが、人がいないという確証を得られなかったために、口を噤んでしまった。
スタッッッ
情報の共有が終わった青グループの近くに降り立った人影は、警戒している青グループのメンバーに向かって、灰色のフードを脱ぎ去って顔を見せた。
「・・・・・・急に来たから誰かと思ったが、やはり霧峰か」
「はぁ~い、ほんとは全部単独行動の方が楽なんだけど・・・・・・なんで回りくどい真似すんのさ」
「それは・・・言えないな。彼女は私が守らなければならないと、彼らに誓ったのだから」
「ふ~ん、でも・・・彼女は勝手に戦うと思うよ。彼女は人間的に矛盾してる、確かに慎重だけど、それは裏を返せば、最終的にはどんなことでもやり遂げるってこと、さっきだって、無茶してたのを私が助けなきゃ、どうなっていたことか・・・」
霧峰と呼ばれている少女は、半ば諦めかけたような声のまま沈黙した。
「彼女を守れたのだろう?なら問題はあるまい」
「・・・それは雲櫟、君の都合だ。僕や青グループのみんなだって、自分たちの都合がある。君はグループリーダーだし、僕は黒川瑞樹が気に入ったから彼女を守るけれど、彼女の行動を制限することは出来ないよ。しかも、残念ながらこっちに向かってきてるみたいだしね」
青グループ中央塔付近『EXTRA EDITION』




