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Episode 11赤との激戦【ⅳ】

少年による制御を失ったドラム缶(鉄の塊)は重力を思い出したように、一気に私の頭上付近へと落下を開始した。

私は衝撃に備えて頭を守るように抱えるが、そこまでの効果はないだろう。私の頭にドラム缶がぶち当たれば、私の体は簡単に吹き飛び、永遠の眠りへと誘われることになる。

それではダメなのだが、さすがの私でも、ここから生き延びる方法が、全くと言っていいほど思いつかないのだ。

自分の生命線を運任せにするのはどうかとは思うが、それ以外には本当に何も思いつかない。

転がればドラム缶が当たる危険度は増加するし、動かなければ当たらないというわけでもない。まさに八方ふさがりという言葉がこれほど似合う状況もないと、私は心の中で笑う。

しかし、本当に何もできそうにない。私は自分の生死を運に任せるほどギャンブラーでもないし、運がとてつもなく良いわけでもない、ただの女子高生なのだ。


死を覚悟して目をつぶる。というバカな真似は犯したくはなかったのだが・・・人間、死の瀬戸際になると、体が勝手に目をつぶるようだ。それがどうしてかは様々な意見があるだろうが、そんなことを考えている間もなく、私は空中に浮かび上がった。


ただ本にでもなったこの話を読んでいれば、読者は私がドラム缶の衝撃によって打ちあがったかのようだと思うかもしれない。しかし、私が感じたのは痛みや衝撃ではなく、ジェットコースターが下に下がっていく時のような、奇妙な浮遊感だったのだ。


ジェットコース―タに乗っていると、お腹の少し下、丹田と呼ばれる辺りに感じる。と言われる浮遊感を全身に感じた私は、体の恐怖を精神で抑え、目を半ば強制的に開いた。


『そこは、空中だった』と言われて納得し、理解する人が世の中に何百人といないことを、私は理解しているつもりだ。なので、私は懇切丁寧に世界の誰かに対して説明をしてあげる。


私よりドラム缶が下にあるのを、私は上空、地上から約3メートル付近で眺めているのだ。

ドラム缶の上に座っている少年は、幸いにしてドラム缶がほとんどの衝撃を吸収してくれたらしく、血は流しているが、死んではいないようだ。

私は誰かの異能によって宙に浮かんでいるらしいが、誰の異能かは分からないな?と思っていたところ、私の後ろから声が聞こえてきた。


「ハー・・・良かった・・・僕なんて何の役にも立たないと思ってたけど・・・・・・人を助けることができるんだ・・・」

いちいち言葉を切って喋ることから、私は後ろにいる人をコミュ障、通称コミュニケーション障害だと勝手に断定する。

喋り方や、声などからオタクっぽさを感じたが、助けてくれたことには素直に感謝しなければならないだろう。


私はとても動きにくい空中ながらも、華麗にターンを決めた。空中には地上ほど摩擦がないため、少しの動作だけで、思ったよりも移動することが可能なのだ。

「助けてくれてありがとうございます。ですが、早く地上に戻してくれますか?」

「あっ・・・はい・・・・・・リアルツンデレだ・・・」

ただ感謝と要請をしただけなのに、なぜツンデレなどと言われなければならないのだろうか?

オタクっぽい男性を、私は完全にオタクだと決めつける。

私はオタクは好きではない。何かにつけて自分の好きなものを他人にも共感してもらおうとするし、無駄なものにお金を費やすという考えに理解ができない。

それに、特に私はこのオタクの男性が嫌いだ。もう20代は過ぎてるだろうに、働いているという感じがまるでない。

ニートというのは自分は何も悪くないと自分のことを正当化し、自分をこんな風にしたと身勝手に社会を憎む。

そんなことはない「自分が悪いと認識している」と言うニートもいるかもしれないが、種類は違っても何かを憎み、自分を正当化しているのであれば、それは同じことだ。

それにツンデレというのはツンツンしているが、いつかはデレるという人間の事を指す言葉だ。私がたとえツンツンていたとしても、誰かにデレることは生涯存在しないと断言できる。


それに、私はこんな無生産人間に関わっている暇はない。地上に降りた私はドラム缶に腰をかけ、先ほどまで背にしていたドラム缶に、斜めに落下していたドラム缶を見て、さらに感謝の気持ちを失っていた。

助けてもらわなくても助かったうえに、地上に降りる分の時間が、少し考えただけで倍以上に経過していることに気づいたため、私はこの男性をこき使って、損失分を取り返すことに決めた。


私は男性にドラム缶が大量に落下したことで呆然としていた男性たちと、気絶している戦闘員3名を連れて、中央塔に急いで向かうことを命令する。そして私は少年を連れて、後で行くことをオタクの男性に告げた。


男性は錆付いたロボットのように動き、呆然としていた男性たちを連れて中央塔に文字通り飛んで行った。

私はドラム缶に座ったまま、深く空気を吸い込んだ。



「あれ、あっきー負けちゃったよぉ?木沼~どうしようか?」

「竜牙様がおっしゃったのは、明人様の情報の流出を防げ、ということですから明人様を敵に連れられるのは、お嬢様にとって、もちろん私にとっても、竜牙様に叱られる要因になりかねません」

中央塔付近との境界と、赤グループのフィールドである岩場、岩場の中にある洞窟には、現在2人の影が存在している。

2人は対等ではなく、女性が男性より上の立場の様だった。女性と言うより女子と言った方が適切かもしれない。

「竜牙っちが怒るとヤバそうだもんね~、じゃあ木沼~あいつ倒してきて?」

「お嬢様がそれをお望みならば、執事である私は何でも行います。しかし、私が見るに彼女はお嬢様のご学友では?」

執事ならば、お嬢様に口ごたえなどしてはいけない。という常識はどこへ行ったのかは誰も知らないし、注意する人間もどこにも存在しない。

「・・・ご学友ってほど友達ってわけじゃあないけど・・・知ってる顔ではある・・・木沼、私も一緒に戦ってやるよ」

「お嬢様が付いていれば、私は百人力でございます」(一人でやった方が簡単なんですが)ボソッ

「ん・・・なんか言った?」

執事が少し心情を吐露したものの、お嬢様には運よく聞かれなかったようだ。それとも聞いたうえで我慢しているのか。

「いえいえ、滅相もございません」

「それじゃぁ行こ・・・木沼、先に進んでって」

「えぇぇ・・・・・・かしこまりました」

少しの問答の末、彼らは真っ直ぐに進んでいく。黒川瑞樹がいる中央塔付近へと・・・


黒川瑞樹、中央党付近『BEFOREENCOUNTER』

あんまり前書きと全然書いてなくてすいません、これから書こうと思ってます。

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