Episode 3緑グループ生活拠点
「ここが私達の生活拠点よ、どう?どこからどぉ見たって、何もないように見えるでしょう」
グループリーダーの池田さんに案内されて連れてこられたのは、生活拠点という建物だった。
しかし、元は近代的だったはずの生活拠点は土に埋まり、場所が分からないように工夫されていた。
私の異能の力なのよ、と自慢している池田さんは放っておいて、生活拠点の中に入ろうとする。
「あっっダメよ!」
池田さんが何かを言っていたが、それを聞き取る前に、私は生活拠点の入り口であるハッチを開けた。ハッチは樹木の中に隠されていたが、私には丸分かりだった。
私がハッチの中を覗き込もうとした瞬間、私の体に悪寒が走ったため、勢いよくジャンプして、回避行動を取る。
するとハッチの中からは、大きな水の塊が飛び出してきた。
「おいおい誰だ?・・・昨日決めたハッチを開ける時の暗号を忘れる奴なんて・・・・・・まさか敵襲じゃねぇよな?」
低い男の声は周囲に木霊し、私の耳にもすぐに届いた。
銃を仕舞って。という池田さんの指示に従い、私は懐から取り出した拳銃をしまい、武装解除をする。
「ごめんねぇ神宮さん。昨日私が言っていた遅れてくる子が、勝手にハッチを開けちゃったのよ」「伊藤さん、いやグループリーダーか・・・まぁそれはいいんだが、こっちもちょっちピリピリしてるんでな、こんなバトルロワイアルに巻き込まれて、まだ数日しか経ってねぇからよ」
何故か私が悪いような雰囲気だが、私は何も悪くない。説明しなかった伊藤さんが悪いはずだ。
「それで、私は入っていいの、それともダメなの?」
「別に構いやしねぇよ、グループの戦力が増えるのは良いことだしな」
神宮さんとやらが、ハッチから顔だけ出してきた、さっきはハッチの中にいたらしいが、ハッチの周りに護衛を置かないなんて、少し無防備すぎやしないだろうか?と池田さんをジト目で見るが、何もわかっていないらしく、伊藤さんは小さく首を傾げていた。
神宮さんの見た目は、普通のおじさんと言ったところだろうか。
異能は水などを操るのか?それとも水を生み出すのか?はわからないが、どちらにしろ、そこまで強くはなさそうだ。
私は入ってもいいらしいので、遠慮なくハッチの梯子を降りさせてもらう。
「・・・・・・」
別に言葉を失ったわけではない、ただ無駄なところに力を入れるシンクに、少しだけイラッとしていただけだ。だがしかし2人はそんな風には認識しないらしい。
「やっぱり、これ見ると呆然とするよな・・・」
「そうよね・・・私もまだ全然慣れないもの」
内装がないそうなんて言うおやじギャグは、一世代も二世代も昔のものだが、これはそういう類ではない。例えばSF映画に出てくる宇宙船の操縦室。例えばどこかのロボットが暴れまわる漫画の司令室。そういう類の内装だ。無駄なところが凝っていて、配線も一つ一つが無駄にカッコいい。
池田さんはハッチがある中心の部屋の事を、『中心部』と呼んでいたので、私もそれを真似することに決めた。
私は女性寝室と書かれたプレートが置かれた場所の前に立つ。直ぐに自動ドアが開くが、そこにも無駄な技術が使われている。ドアが開いたところの床に霧が出るのだ。
男子だったら喜ぶのかもしれないが、私は生粋の女子だ。そんなことは完全に無視し、真っ直ぐに中へと進んでいく。
女性寝室の中は意外とモダンな感じで、内装もSF感あふれるものではなく、ヨーロッパ系いわゆる北欧系のような感じだった。
中央には暖炉が置いてあり、さらにいい雰囲気を醸し出している。
暖炉の周りには、紅茶やお茶菓子が置いてある机まで用意している。用意周到というのはまさにこのことだが、あまり使っている人はいないようで、紅茶は冷め、お茶菓子は食べられていない。
「いいなぁ女性寝室、俺らなんかマグロ漁船みたいな感じのちっちゃい寝室なのに・・・」
「はいはい、女性寝室は男性禁止ですから、神宮さんは先に会議室行ってなさい」
夫婦漫才のようだが、この2人は夫婦ではない、池田さんは結婚指輪を着けているのに、神宮さんは着けていないからだ。
「私の部屋はどこですか?」
別に部屋に置く荷物などはないのだが、一応部屋は確認しておきたい。
「あぁ瑞樹ちゃんの部屋は、そこの通路をまっすぐ行って、3個目の部屋よ」
言われた通りに部屋へ行くと、中には柔らかそうなベットと、クローゼットと机、椅子などが置いてあった。
まるでホテルのようだが、ベットは休憩場所の物ほど柔らかくはない。
改めてクローゼットの中を見ると、中には制服と戦闘服が入っていて、私にはすぐに、シンクが用意したものだと気づいた。
一応万が一のときのために、クローゼットの中にアサルトライフルを隠し入れ、ベットと枕の下には拳銃を入れた。
使わないことを祈っているが、どうなるかは神様次第だろう。
持ってきたノートパソコンを机の上に置き、充電を行うためにコードをプラグに差し込む。
私は数分後には部屋を出た。そして池田さんに連れられて、会議室とやらに行くことになった。
会議室は、女性寝室があるところの場所から、中心部の向かい側にある。
円形の中心部の中心にハッチと梯子があるため、それを避けて会議室へ進む。
会議室の中はシーンとしていたが、中には10人ぐらいの人間がいて、池田さんを待っているような感じだった。
会議室はまたもやSFチックな感じだが、もうそこまで驚かない。
そしてその中に神宮さんもいたが、他の人と同じように真剣な顔をしている。
円卓に座る大人たちはまるで物語の円卓の騎士だが、若くても30代ぐらいなので、とても騎士とは言えないし、私が最年少なので少し緊張してしまう。
池田さんは普通に椅子に座ったが、私が座る椅子は用意されていなかったので、池田さんの後ろに立って会議を見つめることにした。
円状の机にはディスプレイが表示されていて、2nd seasonのバトルフィールドや、緑グループの作戦のどを表示していた。
池田さんが立ち上がり、声かけをする。
「じゃあ緑グループグループ会議を始めましょうか、はいっみんな立って・・・・・・」
「「「「「「「「「「「「よろしくお願いします」」」」」」」」」」」」
そして緑グループの今後を決める、重大な会議が始まった。
黒川瑞樹、生活拠点『Meeting』




