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Episode 8 2nd seasonへの準備

私には目標ができた、今まではただただ生き残るという生存欲求だけだったが、両親を助けるという明確な目標ができたのだ。

『人間は目標がなくても生きていける』というのは自論だが、なかなか的を射ていると思う。しかし、生きていけると生き残るは、全く違う種類の行動だ。

目標がなければ生き残るのは難しい。例を挙げると、無人島に遭難した時を思い浮かべればいい。

昼の照りつく太陽は暑く、夜は風が吹いて寒くなる。食糧は少しかなく、飲み水は成分が分からない池の水。

現代社会で暮らしていれば、こんな生活には耐えられない。と言うかもしれない、電気機器が存在し、夏はクーラー、冬は暖房、の現代社会の生活へ戻ることを目標に頑張れば、生き残る確率は目標を持たないときと比べ、格段に増加するだろう。


私には『両親を助ける』という目標ができた、この目標を守ることが、私をこのバトルロワイアルで生き残るための燃料となるだろう。

生き残るためには私は自らの肉体を鍛えなければならない、幸い2nd seasonに進むまでの時間は3日はある。

3日あれば、私のこのたるんだお腹や二の腕、そして鈍足となってしまった足を鍛え直すには充分ではないが、ある程度の改善の余地はあるだろう。


私は壁掛けディスプレイを点け、床からキーボードとマウスを拾う。

パスワードはかかっていなかったので、そのままパソコンのホーム画面を開いた、何もないホーム画面には1つのアイコンだけが高らかと表示されていた。

アイコンの名前は『何でも宅配便』思わず笑いそうになった私の指は、容赦なくアイコンをダブルクリックする。

『異能の補助武器から、トレーニングの機械、はたまたお菓子まで、何でも届ける何でも宅配便です欲しい物をどうぞ!』

シンクの声だったが録音されているようで、私が発した『うわぁ』という声は届かない、そしてそれがシンクの自前のアプリケーションと認識するまでに数秒かかったのは、その完成度が凄まじい物だったからだ。


通常のアプリケーションであれば、4,5個のタブのようなものが用意されているのが普通だ。ネット注文のアプリであれば、数十個ほどのタブが用意されていてもおかしくはない。

しかし、シンクのアプリのタブは数百個を超えるだろう。なんでも届けるというのは間違いではないようで、おすすめ商品から超マイナーなお菓子まで、日本全国どころではなく、世界レベルで何でも揃っているのだ。

コスメだって最新の物から、数十年前のものまで、零から百まで全てがそろっている。

しかし、注意書きが下に書いてあった『※ここの物は30個までしかお届けできません』30個も頼む人間などそうそういないと思うのだが、人間も十人十色というし分からないものか、なんて考えながらも、このアプリケーションを利用せずに、なぜ他の人たちが先を急いだのかは気になったが、そんなことを気にする必要も、時間もないため、早速トレーニングの機械を届けてもらう。


10分後、ベットの上でくつろいでいた私の元へ、トレーニング用の機械が届いた。

これまた白い床が開き、段ボールごと届いた。トレーニングマシン全てを組み立てるのに、30分もかかった。

ワンダーコア・・・腹筋を鍛え、少しだけ痩せるための腹筋マシーン。

電動ルームランナー・・・長時間走り、足を鍛え直し、速く走るための、ランニンマシーン。靴がボロボロになっていたので、ランニングマシーンが届いてから慌てて靴を届けてもらったのは、誰にも内緒である。

懸垂バー・・・肩の筋肉を増やし、銃の押さえつけるための、肩を鍛えるマシーン。等々

他にもいろいろあるのだが、紹介はそれぐらいにして、機械による肉体改善計画を開始する。


ビフォーアフターが分かるように、カメラやノートパソコンや体重計なども届けてもらい、筋肉量やトレーニング回数、そして速度などがすぐに見て分かるようにした。

3日間の食事が自動で配布されるわけではなかったので、キッチンから出る水は良いとしても、他にも食事やプロテインなどを買い込んだ結果、20個ほどになってしまった。

意外と日々の生活に使っている物は多いんだな、と謎の感慨を感じながらも、トレーニングは続く。

3日間で72時間、睡眠などを削ったとしても、60時間程しかトレーニングができないと分かったので、私は2nd season中もトレーニングを行うことを決めた。


3日後、私のトレーニングはある程度の効果を私にもたらした。

私は時速20キロで走れるようになったし(300メートルほど)、バーベルも30キロを持ち上げられるようになった(数回)、腹筋と背筋は両方とも100回できるようになった(終わった後クタクタ)。


私はトレーニング中に異能の強化を行った。

ノートパソコンで突撃銃(アサルトライフル)の画像を見て、生み出せるようにしたり、何個も一気に生み出せるようにしたりだ。

異能も成長していくらしく、どんどんと精度が上がり、遂に私はバーベルを持ち上げながら、ベットの上にアサルトライフルを生み出すことに成功した。

一度成功すれば、コツを掴むように、何度も同じことができるようになったのは、嬉しい誤算だ。

銃の弾の種類が、一度リロードしなければ交換できないのは難点だが、リロードすればいいだけなので、問題はない。


私がこの3日間で得たのは、私の異能、【銃】はイメージが大切ということだ。

イメージというのは脳内で造り上げるいわば空想上の世界、そこで創り上げたものを現実にも存在するようにイメージすれば、【銃】の異能は機能する。


要は脳内にイメージで創り上げた銃を、『現実にある』という思い込みによって、私の【銃】の異能は脳内に創り上げた銃を現実に生み出す。

もっと簡単に言えば、銃を生み出すのに脳内のイメージが必要で、イメージによって生み出される銃の種類が変わるということだ。

私の異能だけなのか、それともほかの異能もそうなのかは分からないが、私の結論はそこに至った。

私は2nd seasonに向かう為の準備をする、持っていくのは、トレーニング機器の中で1番小さい腹筋マシーンと、薄っぺらいノートパソコンと、画素がバカみたいに高いカメラと、筋肉を増やすプロテインだけだ。

私は動きやすい白衣から、さらに動きやすい戦闘服へと着替える、戦闘服は迷彩柄に色を変えられる最新式で、実は戦闘服が届けてもらった最後の物だ。


準備はできた。いざ、2nd seasonへの扉である、休憩場所の扉を開けた。


黒川瑞樹、休憩場所『TRAINING』

機械は適当です。

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