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RPGってなんですか?

更に自由にいきます。


『皆さんには今からあーるぴーじーをしてもらいます。選択権は特にないです。頑張ってください。』


はい?


僕こと、今をときめく高校2年北原ムンクは困惑した。

変な名前だと思うじゃん?僕もそう思う。

つけた親には小一時間は説教したいぐらい。 ノリでつけたとか言われた日には殺意が沸いた。

趣味はゲーム。

将来の夢はなんだろ?ニートがいいな。ニート。働きたくないし。

好きな女の子のタイプは黒髪ロングのかわいい系。

聞いてない?そうか、聞いてないかー


まぁ、そんな今をときめくと語り憚らない僕は絶賛いじめにあっているというね。 

朝登校したら下駄箱に生ゴミがパンパンに詰まってるし、待ち伏せしてたチャラ男達にリンチされる。

そして、また屋上に連行されてまたリンチに合うという酷さ。

しかも、あれだぜ?周りは見ぬふりで傍観しかしないし、一部はニヤニヤして見世物のごとく楽しんでるし。

教師に至っては知らぬ存ぜぬを貫いているという糞さ。

マスコミにリークされちまえ。

で、記者会見ではまるで自分に非はないと訴えんばかりの大粒の涙を流すんでしょ。お前らに泣く権利とかないからね?


ほんと世の中糞。ふぁっきゅー。



まぁ、そこら辺はまだまだ沢山あるけどどうでもよくて。幼なじみに裏切られたとか色々ありすぎるけど今は割りとどうでもよくて。


本日は晴天なり。 

一切の穢れもないかのように光輝く太陽は穢れきった現代との対比のように思える。

ていうか、こういう苛めとかちゃんと裁いてよね。正義のお天道様じゃないんですか?

そのお天道様もどうでもよくて、問題なのはこの公共の場に垂れ流される頭のおかしい放送。


『あーテステス。聞こえていますかーきーこーえーてーいーまーすーかー?よし!二回も確認したし聞こえてますね、そうですね!』

耳の調子が少し変だな。なんというか耳というよりは頭になり響くように感じる不思議な声だ。

10代後半だろうか。声的には年齢が近めな気がする。


『皆さんには今からあーるぴーじーをしてもらいます。選択権は特にないです。頑張ってください。』

その言葉を最後にこの可笑しな放送は流れなくなった。


だけど、轟音とともに見たこともないドラゴンとしか形容する他ない巨大な生物が空を横切った。


ま、まじかよ。あはは。

ホントに世界がRPGになった……?



ーーー



「おいおいまじかよ!!!」

「ドラゴン!?」

「カッケー!!!」


無抵抗の人をあれだけぶん殴っていて、よくそんな無邪気な声出せますね。

もしかして罪悪感とかお母様のお腹の中にわすれちゃった?


「ぎゃぎゃぎゃ。」

変な笑い声だ。そいつは音もなくいきなりそこにいた。

ゴブリンだ。そう呼ぶしかなないよう

小柄な体躯に薄汚れたような緑の肌。


棍棒を酒瓶を持ち歩くかのごとく掴む。

本当にRPGによく出てくるステレオタイプのゴブリン。


「なんだこいつ?気持ちわりーな。」


「俺知ってるぜ!これゴブリンだ!ゲームとかで良く見るもん!」


「本当にRPGになったのかよ。はぁーん。一丁前に武器なんか持ってやがるぜ。」

デブが舐め腐ったようにゴブリンの頭を無造作に掴む。怖いもの知らずかよ。


グシャ

ゆっくりと耳にこびりつくような不快な響きの音だ。

「ぎゃああああああ!!!」

いきなりゴブリンが棍棒でデブが膝を砕くものだから、その場にいた全員が固まる。そんなことされるなんて微塵も思わなかった。

デブの足は曲がっちゃいけない方向に曲がっていた。


グシャリ

また不快音。

足を押さえて悶え苦しむデブの頭に棍棒が叩き込まれ、ピクリとも動かなくなった。



「あああああああああ!!!!!!」

「か、かず!嘘だろ!?嘘だよな!?」

動かなくなったデブを抱え込む二人。

突然の出来事に理解が追いつかない。

さっきまで、死ぬようなことが起こるなんて微塵も考えていなかった。


あ、今度はノッポの頭に棍棒が叩き込まれた。後頭部に棍棒がめり込んでる。あれは、即死だ。

考える暇もなく二人死んだ。殺された。

何でだ?

何でこんなことが起きてる?

世界がRPGになったから?


「ぎゃぎゃぎゃ」

ゴブリンが規則性のある奇声をあげる。

あれは多分笑みだ。しかも、残虐的な方の。

まるで、子供が蟻を潰すような笑み。

なんの抵抗も出来ずに殺されていく僕らはゴブリンにとって蟻となんら変わらない。


「ひっひぃいいいいいい、く、くるな!くるなくるな!!!」

尻餅をついて、後ずさるチビ。目尻から涙がにじみ出ている。

ゴブリンに容赦はなく、棍棒をぶら下げてゆっくりとチビの方に向かう。わざとゆっくりあるいてチビを怖がらしているようにしか見えない。


「くそったれぇえええええええ!!!!」

懐からバタフライナイフを出して突撃するチビ。


グシャ


だけど、その健闘もあっけなく棍棒で地面に叩き込まれてしまった。

あっという間に三人も殺された。なんだよ……なんだよこれ。



足元に転がるバタフライナイフが目に入る。


胸が苦しい。締め付けられるようだ。

こわい。

でも、やらなきゃ。

人殺し。いや、人じゃないか。じゃあ、ゴブリン殺し?

あぁ、やばいこっちに振り向く。そしたら終わりだ。

今ならやれる。


やれ。やれ。やれ。やれ。やれ。やれ。やれ。やれ。やれ。やれ。やれ。やれ。やれ。やれ。やれ。やれ。やれ。やれ。やれ。やれ。やれ。やれ。やれ。やれ。やれ。やれ。やれ。やれ。やれ。


「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

うるさい。


いや、違う。


煩いのは僕だ。これ僕の声だ。


ゴブリンの瞳は驚愕の色染まっていた。

言葉はたぶん通じないけど、理解る。

その瞳は『そんな馬鹿な』と物語っていた。

いきなり自分の胸を突き破ってきた白刃の刃を理解できない、そんな感じだ。

彼も自分の命がこんなところで潰えるなんて思っていなかったのだろう。


ゴブリンはうつ伏せに倒れた。

なんとか逃げようと地面を血で汚しながら這いずり移動したが遂には動かなくなってしまった。


なんだよこれ。なんだよ。

全然楽しくない。全然楽しくないよこれ。

肉の感触をナイフ越しに初めて味わった。手が震える。



『レベルアップしました。』

『初めてのモンスターを倒したことでステータスを獲得。スキル【解説(ナビゲーション)】獲得。』

『最適化。本人がする機器で最もな使用頻度が高いものでステータス確認及びその他機能が使用可能。』

『モンスターが出現してから一時間以内に討伐をしたため称号【決断者】を獲得。』


なんだよこれ。頭に鳴り響いてうるさいな。

でも、最初の声とは違うな。なんというか事務的な音声というか。


最適化ってなんだ?

そもそもステータスってなんだよ。本当にRPGなのかな?


使用頻度の高い機器と言われるとスマホぐらいしか思いつかない。


スマホに電源を入れると見慣れないアプリがあった。



開くと『ようこそ』と文字がポップ。

なんだいかにもみたいなこのポップアップは。

もうちょっと装飾つけるとかして盛り上げて欲しいなぁ。

個人的には『HELLOWORLD』みたくお洒落な感じにして欲しい。



ステータス

所持品

スキル習得

ガチャ


え?ガチャ?ガチャ引けるの?



よろしくです。

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