春と夏。
和弥は再び椅子に座り、真冬のほうを見ながら真冬に尋ねた。
「さっきから何の本を読んでんの?」
和弥からの問いに対し真冬が応える。
「今世紀最高傑作の恋愛小説よ。」
「へー。面白い?」
「ええ。和弥君は本を読まないの?」
真冬が本からは目を逸らさずに聞く。
「朝の読書の時間以外ではさっぱりだな。」
「そうなのね。」
二人の会話はパタリと止まった時、ガラガラと音を立て部室の扉が開く。
春乃と夏海が話しながら入ってきた。
「おっつーみんなー」
無邪気な子供のような顔をして夏海が挨拶をする。
「もうみんな来てたんだね。」
「あっちゃー。あたしらが最下位だねー」
夏海が頭に手を当てて眉を歪めながら言った。
「別に、俺もさっき来たばっかだから」
「そっか。なら良かった。」
春乃がホッとした表情を浮かべる。
「なぁ、二人はどんな分野で四季才美に選ばれたんだ?」
「私は水泳さ!」
夏海が得意げな顔を浮かべ胸を張りながら答える。
和弥は夏海の自信満々な態度に愛想笑いを浮かべた。
「春乃は?」
「私は書道だよ。」
「ほら、見たことない?デカイ紙に大きな筆を使って書いたりするの。」
「あー、前にテレビで見たことある。書道パフォーマンスだっけ?」
「そう。私はそれのチームの一人だよ。」
和弥がスマホで調べると直ぐに写真が出てきた。
「すっごいなー」
和弥は素直に驚いた。
「私のチームは六人チームなんだけど、みんな上手だから」
和弥と春乃が会話をしていると、二人の間に仁王立ちした夏海が和弥の方を見ながら言った。
「私は!」
和弥がとぼけた表情を見せ、それを察した夏海はさらに言った。
「わ・た・し・の・こ・と・は!!」
夏海が声を荒げて続ける。
「はるのんばっかり褒めて、私のことは全然褒めてくれないじゃんアッキーは!」
「あー、何かさっきの顔がウザくて...」
「なにさ、なにさどうせ私は大したことないですよーだ!」
和弥は何やらスマホで検索しだした。
「夏海、全国優勝してんの?」
夏海に聞く和弥に対し夏海が
「やっと分かったか!」
「すごいな。個人と団体で優勝してるじゃん」
「オリピックの日本代表とか行けんじゃね?」
「あんま興味ないんだけどねー」
以外だと思う和弥。
「私の水泳はあくまでも趣味だからさー」
「で、みんな集まったし今日は何をするんだ?」