秋と冬。
「うぃーす」
和弥が気だるそうに部室に入ってきた。
部室には真冬が、端のほうで本を読んでいた。
和弥は部活の名前の事を思い出し、真冬に尋ねた。
「なぁ、あの、表札はなんだ?」
和弥はドアの上にある表札の方を指さし真冬に聞いた。
真冬が、読んでいた本をパタンと閉じると満面の笑みを和弥に返した。
和弥はキョトンとしたが、改めて真冬に聞き返す。
「真冬さーん」
和弥が呼んでも表情を変えない真冬。
「おーい、まふゆさーーん。」
よっぽど答えたくないのか、笑みをやめない真冬に和弥も諦めたのか、椅子に座りスマホを取り出した。
「部活の名前だったわね?」
和弥がスマホでゲームをしようと、した瞬間、真冬が話し出した。
思わず和弥が、
「今かよっ!!」
とツッコんだ。
「で?なんであんな名前にしたの?」
和弥はあきれ気味に真冬に聞く。
「<答えてっ!三雲相談室>の事?」
真冬が聞くと和弥が、コクっと頷く。
「あれは、分かりやすいし、何より、この部の部長は、和弥君だから」
「は?。俺が部長?。なんも聞いてないんだけど・・。」
「ええ。言ってないもの。」
真冬が髪を耳にかけながら言った。
「大体、なんで相談室なんだよ。」
「それは、生徒の相談や悩み事を聞いて解決するっていうのが表向きだからよ。」
「にしても、他になかったのかよ。名前」
「ないわね。」
即答する真冬。
すると、ドアが開き紅葉が入ってきた。
紅葉は和弥を見ると目を逸らし和弥の間反対に座った。
昨日のことをまだ怒っている紅葉を見た和弥が、紅葉に
「昨日は、悪かった。」
和弥が手を顔の前で合わせながら謝ると、
「全く、仕方ありません。昨日のことは忘れましょう。」
意地を張っていただけの紅葉も直ぐに答える。
「あっ、」
何かを思い出したかのように和弥が
「そういえば、ずっと気になってたんですけど、何で四人は四季才美何て、言われるようになったの?」
「四季は、私たちの名前から取ったものです。」
紅葉が答える。
「じゃあ、才美は?って、美の方は言わずもがなですね。」
「才は私たちそれぞれが、ある分野において才能を遺憾なく発揮するからよ。」
「へーー。紅葉と真冬さんは、何の分野なんですか?」
「紅葉はゲームね。昔は、ジュニアの世界チャンピオンになった事もあるわ。
私は、機械全般、と言ったとこかしら。父の影響なんだけどね。」
「へー、ホントに凄いんだ。今調べたら二人の記事が出てきたよ。」
そういうと和弥は、スマホの画面を二人に見せる。」
「後で、春乃と、夏海に聞いてみよーっと」