紅葉という女の子。その2
「ホントに紅葉が「もじみー」なのか・・」
驚愕の表情を隠せない和弥に対し紅葉が、
「そんな事より、早くクエストに行きましょう!みんなが来ちゃいます。」
「お、おう。」
和弥はひとつ深呼吸をすると、
「ロビーにいるんだっけ?。準備するからクエスト受けてていいよ。」
紅葉がクエストを受注したと同時に和弥も準備を終える。
「それじゃあ、出発です。」
クエストに出た和弥と紅葉、
「どんなクエスト受けたの?」
「三雲さんのレベルにあったクエストですので安心してください。」
そう言うと紅葉は、どんどんと、ダンジョンの奥へと進んでいった。すると・・・
「三雲さん敵です。この感じ・・ボスですね。」
「めっちゃ、強そうだな。」
「このボスは、アサシンオーガと言って、姿を消して攻撃してくるので、注意してください。」
「分かった。」
和弥は、気を引き締めて、迎え撃つ構えをとると、
「三雲さん。見せてあげます。これが、裏魔法です。」
いつになく、テンションが高い紅葉。
「必殺、裏魔法、絶対死ぬ魔法ーー!!」
紅葉がそう叫ぶとボスの周りに黒い霧が立ち込めて、たちまちボスは消えてなくなった。
「へ・・・・?」
唖然とする和弥を横目に
「やりましたね、三雲さん。ボスをやっつけましたよ。」
「う、うん。そう・・だね・・。」
「どうしたんですか?三雲さん。そんな顔して。」
「そりゃぁ!こんな顔にもなるよ!!!」
大声を出す和弥。
「何、今の。裏魔法?。俺の出番は?一緒にクエスト来てるのに何もしてないんだけど!大体、何?
あの、魔法名は。」
「だって分かりやすくていいじゃないですか。それに、三雲さんのレベルのモンスターはどれもワンパンですし・・・。」
少し申し訳なさそうな表情を浮かべる紅葉。
「はぁ。」
和弥はため息をこぼした。
「まぁ。でも確かにそうだよね。伝説のプレイヤーだもんね。俺ぐらいのレベルのモンスターなんて
ワンパンぐらいできるよね。うん。」
和弥は自分に言い聞かせると、
「さっきは、怒鳴ったりしてごめん。」
和弥は軽く頭を下げ、紅葉に謝る。
「ぜ、全然きにしてないので。」
紅葉も、申し訳なさそうに返事した。
「でも、すごかったよ裏魔法。」
「えへへ、ありがとうございます。」
「あっ、そうだ。三雲さん、もう一回行きませんか?」
「いやだ。」
即答する和弥。
「な、何でですかっ!」
食い気味に聞き返す紅葉。
「だって、一緒に行ったらまたワンパンじゃん。俺は、そんなチートみたいな攻略したくない。」
「チ、チートなんかじゃ、ありません!!そもそも、三雲さんのレベルが低いのがいけないんです。」
「なっ!、そりゃぁ、伝説のプレイヤー様には敵いませんけど!」
「そうです。伝説のプレイヤーですよ!クエストに一緒に行けるだけでもすごいんですよ?どうです?。
もう一回クエスト行きませんか?」
「レベルが低いので行きませんー。」
皮肉を言った和弥に対し紅葉も突っかかる。二人の公論は止まることを知らなかった。
二人が言い合っていると、
「遅れたわね。」
「いやー、遅くなっちゃったー。」
「二人ともごめんね。先生に用事頼まれちゃって。」
扉を開け立ち止まる三人。
「何やってるの?」
春乃が聞くと、
「紅葉が、俺のレベルが低いってっ!!」
「三雲さんが、私に皮肉を言ってくるんですっ!!」
「めずらしぃーね。アッキーが喧嘩してるなんて。」
夏海が言うと、
「そうね。」
真冬が、返す。
「でも、何だか二人とも、楽しそう。」
春乃が笑顔でそう言うと、夏海も真冬も椅子に座り二人の喧嘩を暫く、眺めていた。