異世界で合コン?
説明会が終わったらもうすっかり夕方である。魔法が気になるがやりだすと切りがないかもしれないしとりあえず腹が減ってきた。
「さて、飯食いに出かけてみるか。どうするカケル」
「まかせます。レーワさん女の子誘ってくださいよ。」
「え?マジで?・・・そうだなせっかくだし声かけてみるか」
「ホントすか?ありがとうございます。」
両手で手を取って握手してくる。ほんとに声をかけてくれるとは思わなかったらしい。
「あ、おごるほど金持ちじゃないな、所持金みんな一緒か」
「歳的に割り勘じゃカッコ悪いですかね?」
「逆にみんな所持金一緒なの知ってるのにおごってくれって言う女の子はこの世界でPT組みたくないな。」
「なるほど、その通りですね。でも巨乳なら?」
「時と場合による。って言わせるなよ!どんだけ俺、巨乳好きでインプットされてるんだよ」
そんな馬鹿馬鹿しい話をするがさっさと決めないとみんな宿に戻っていってしまう。
「どうせならみんな一応誘ってみれば?自己紹介とかすれば仲良くなるんじゃない?」
「俺人見知りなんですけど・・・」
「お前贅沢だな、全部俺にやらせようとしてるくせに」
「おねげぇしますだ旦那様」
「旦那様てなんだよ、とりあえず三人娘に声かけてみるか。」
ゆっくりと笑顔で三人娘に近づき声をかける。
「さっきの話、興味深いけど長くて疲れましたね。」
「そうですね。ちょっと疲れました。」
「あ、夕飯どうすることにしました?」
「まだ決めてませんね。」
三人娘の嘉保と言っていた女が答えてくれた。
「ではどこかで食事にでも一緒に行きませんか?何も異世界で女性だけだと色々と心配でしょう?」
「言われてみればここは日本じゃないですし、危険かもしれませんね、ちょっと話し合ってみます。」
三人娘は数歩離れて相談する。そこにチャラ男っぽい男もやってくる。
「あ、俺も入れてくれない?」
「こちらはいいですよ、是非どうぞ折角なので少し仲良くなった方がこれからいいですしね。女の子達は今相談中ですけどね。」
「ありっす。」
チャラい受け答えではあるが悪意はあまり感じなかったので受け入れる。
この時点で転移者6/10である。こんな初回から誘わないと遺恨を残す可能性が出てくる。最初からそんな事態は避けたいと考える中間管理職であった俺はカケルの人見知りは無視することにして全員をさそってみることにする。
「皆さん折角同じ日に転移した仲間じゃないですか、初めての異世界の夕食はみんなで食べませんか?」
三人娘の相談中にみんな誘う事になったわけだが、その三人娘も含めて8人参加。巨乳の俺好みの女の人も来るみたいだ。全員誘ってよかった。きっと一人だけ誘ったら警戒されるだろう。
どうやら唯一の俺より年上らしきおっさんと野球帽をかぶった大柄の男は来ないようだ。
総勢8人で異世界の飲み屋に行くことになる。俺が誘ったんだから俺が仕切るしかないよね?
「食事はどこがいいかこのお店の人に相談してみますね。誰も分からないですよね。」
みんな頷き俺が仕切ることに文句はないらしい。
ホテルの受付の人に相談して裏の路地にある『竜の咆哮』という名前の店が安く評判もいいらしいのでそこに行くことにする。
「カケルすまんな、結局みんな誘ったよ。」
「仕方ないっスね。それがきっと正解なんですよ。」
▽ ▽ ▽
店は大きな重そうな扉の上に『竜の咆哮』と看板が立てられており脇には竜の彫刻がしてある。思い描いた異世界の飲み屋っぽい雰囲気がしてテンションがあがる。
8人で大テーブルを囲み宴会が始まる。当然俺が音頭をとり声を出す。
「えー皆様、異世界転移に興奮と戸惑いもあると思いますが、いわば我々は年は違えど同期に当たると思います。みんな助け合ってこれから生活していきましょう。これからの異世界ライフが素晴らしいものになるように乾杯!」
それぞれエールと呼ばれるビールに似た飲み物で乾杯する。エールは木で作られた大き目のジョッキですこしぬるく炭酸も微妙でイマイチであった。
「腹も減ってることですし。すこし食べてから順番に自己紹介でもしましょうか。」
そんな発言をしてしばし食事を取ることにする。
出てきた料理のビッグボアの肉は豚肉に近く味付けは塩だけのようだが味は悪くない。臭みも思ったよりはないし豚より赤身が多く令和は満足であった。ほかにも聞いたことがないようなメニューが並ぶが口に合わないようなことはなかった。エールが微妙だったのが残念だが、元々飲み会の時位しか酒を飲まない令和はそこまで気にしないのであった。
「では自己紹介しましょうか。まずは私からでその後、右回りにいきましょう。
えー名前はステータスカードに登録した名前でいいのかな?レーワと申します。日本では製造業の会社で機械設計などをしていました。今のこの事態に年甲斐もなく興奮してます、折角来た異世界ですので自分が楽しむことを一番に考えて行動していこうと思っています。ダンジョンドリームを目指し明日から魔法の練習をしてダンジョンに向かおうと思っています。これからよろしくお願いします。 」
ちょっと堅いかな?と思ったが初めて会う人達で自分が一番年上だししっかりした印象を残しておくことにする。
次はカケルだ。
「カケルです。ちょっと面白そうだったのでレーワさんについてきてみたらまさかの異世界でした。よろしくお願いします。」
自分で人見知りと言うだけあって、自己紹介が短い。カケルは身長160㎝でやせ型である。令和は168㎝で中年太りになりかけで若干腹が気になってきた体型をしている。
次は三人娘の番だ、一番背の高いモデル体型で美人の女から自己紹介をするようだ。
「松宮朱鳥です。日本ではOLをしてました。ぶちゃけて言うと失恋の勢いで二人を誘ってこのゲームに参加しました。マジで異世界転移でテンションアゲアゲです。」
「石田嘉保21歳独身、おとめ座のA型で~す。カホって呼んでね。就職活動中だったけどなかなか決まらないでいたところをアカリに誘われて参加しました。彼氏募集中です。」
カケル一押しの黒髪長髪のカホちゃんは見た目より軽そうだ、もしかしたら就職活動で黒く染めてただけなのかもしれないな。それと俺が気を使ってフルネームと年齢を避けたのに関係無かったな。
最後の三人娘は背が低く小さい単独で見て恰好が若ければ中学生でも通るかもしれない女だ。
「南安和です。若く見られれるけどこの二人とは高校の同級生です。なんか良く分からないうちについてきたら異世界でした。何もわからないので皆さん助けてね♡」
自分の容姿を利用法を熟知しているのか庇護欲が駆られそうな口調で助けてね。はかなり攻撃力が高い。隣の男がすごい頷いて俺にまかせろな雰囲気を出している。
次はその男の番で迷彩服を着た若い男で短髪になって軍隊にいそうだ。たしかこの人って最初の説明会で見たときは髪伸ばしたヤンキーかと思う恰好だったような気がする。
「ショウヘイっす!異世界転移の可能性があるってネットに書いてあって嘘でもケモミミ娘に会える可能性あるなら来なければ行けないって思ってきました。街でケモミミを見かけて心臓がヤバイっす。ケモミミのためなら命を懸けて頑張りますのでよろしくお願いするっす。」
ショウヘイ君はケモナーと呼ばれる人種らしい。わずかな可能性を探してここに来る心意気は組んでやりたい。なんかチョロい感じがするのでケモミミを餌にすれば仲間に引き込むのも簡単かもしれないと思って頭の中のチェックシートにマークする。
そして俺の気になる巨乳の女性の番だ
「天授です。ちょっとあっちでいろいろあって逃げてきたら異世界でした。私も異世界ライフを充実させるために友達が欲しいです。よろしくお願いします。」
キャバ嬢な見た目の割にはきっちり喋る。そうかキャバ嬢と言っても大きい店のNo1とかになれば言葉使いなんかもむしろ上品だよなと思って納得する。あっちで色々あったのが何かが引っかかるがまだそこに突っ込めるほど女性の扱いスキルは高くないと思い自重する。
最後はイケメンのチャラ男だ
「二宮健治、ケンジって呼んでください。東〇大学の大学院の2年でした。12億円に目がくらんで参加しました。あんまし肉体系は得意じゃないんですけど高校時代はテニスでインターハイ3位取ったこともあります。12億円を取るために僕を手伝ってもらえる人を募集します。」
ラストに爆弾が来た。どうしてこう高学歴の人はちょいちょい自分を卑下しつつも自慢話をぶっこんで来る上に学校名をやらた出したがる。そして12億円をすでに取る気でいるのがいやらしい。
令和はこいつは無いなと心に誓うのであった。
そんな自己紹介も終わりこれからみんなどういうスタンスで生活していくのか話あっている。明日からダンジョンに潜ってみるのは俺達だけ、みんな数日は情報を集めたり街を散策したりするらしい。
死ぬ可能性があるダンジョンに挑むには情報が大事で、まずは情報入手が無難なのは十分承知しているが、魔法とダンジョンって言葉で心が躍る俺はまだ心が中二病に侵されているのだろう・・・
それに魔法とダンジョンの情報を自分で体験してから集めるのでは効率が違うんじゃないかと思う効率重視の考えが俺にはあった。
午前中に冒険者ギルドに行って魔法の練習をする約束をカケルとしておく。酔っぱらって忘れてしまうかもしれんがその時は置いていこう。
▽ ▽ ▽
数時間程飲み食いし交流会は特に喧嘩や騒動もなく無事に終わる。金額は一人銀貨4枚、日本円に換算すれば安い方じゃないのかな?と思う。
最終的に終わった段階では三人娘はまだしばらく三人で行動を続け、ケモナーの彼は冒険者ギルドに登録しつつケモミミの女の子を探してみるらしい。あとケンジとテンジュがPTを組むことになった。
ちくしょう・・・みんなイケメンが好きなのか、学歴にやられたのか、ちょっとしんみりする令和であった。
人物説明を兼ねての飲み会だったはずが合コンのノリになってしまったのでそのまま行きました。
ついに次から魔法とスキルが出てきます。長かった・・・・