◇序章◇第1話◇
「いや、いきなり…助けろと言われても、ねえ…?」
空腹過ぎて完全に節約状態に入ってたみたいで、改めて周囲を見ると…
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
いかつい形相のスキンヘッド集団が四人も居た。
いやコレはキツいな。精神的に。
節約状態だった俺からすれば、起きて10秒も過ぎてないのに、この集団は精神的にキツい。
子供なら120%で泣いて漏らすコンボが発生するだろう。間違いない。
「……随分な人気ですね、お嬢様?」
「冗談でもやめてくださらないかしら!?」
…と、お嬢様っぽいのと言葉を交わしつつ俺は男達が少しずつ位置をずらして包囲を完成させようとするのをさりげなく確認する。
(あー…これは見た目通り、初犯じゃないなぁ…だいぶ荒事に慣れてる感じがする)
「……貴方、聞いてますの?」
「やれやれ…仕方ない、まずは交渉する時間が必要だな」
ため息をつきつつ、俺は携えていた短剣を抜き放つと男達が手斧(どうやら最初から持っていたらしい)を振り上げながら同時に襲いかかってくる
「おいおい…このお嬢様ごと殺す気かよ?」
「……助け、きゃっ!?」
俺は怯えるお嬢様が暴れださないよう片腕で抱き締めると同時に、先程抜き放った短剣を軽く真上に向かって放り投げる。