表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/48

第40話:俺はジョジョをパクるぞ! 葉佩ィイッ!!

 ビルの倒壊音が両者の鼓膜を揺らすと同時に――フロア内に堆積する机や椅子が一斉に動き始めた。

 それは間髪入れず襲い掛かるまさに砲弾の如き波状攻撃。

 俺はその弾幕を双腕双翼を駆使して迎え撃つ。

 机を拳で、椅子を翼で、弾き捌き薙ぎ払った。

 しかし何時までもこうしているわけにはいかない。

 俺は攻撃の隙を突いて翼を消して前へ。ここでは無駄にでかい翼は邪魔になるだけだ。

 俺は一瞬にして最高速に達すると、暁目掛け渾身の一撃を叩き込むべく身を捻る。


 ――が、突如視界に映り込む影。


 それは喉を穿とうと放たれた鉄筋の一投。

 俺は紙一重で身を反らしそれを回避する。

 しかし飛来する狂気の乱舞は終わらない。

 俺はそれらを視界に収めつつ、速度を落とす事なくこの閉鎖された空間内を床、壁、天井、全てを足場に駆け抜けた。

 また一つ机が俺の頭上を、続いて二つ、椅子が俺の胴を掠める。

 が、俺はそれらを利用する。次に来た机を踏み台に。その軌道を修正して暁めがけ蹴り出した。

 暁はそれを他の机を投じて盾にする。

 俺はその一瞬の隙を見逃さない。

 俺は机同士が衝突して生じた微かな隙間に身を投じ、二つの机を足場に暁までの最短経路を突き進んだ。

 最後の机を踏み締め、俺は回し蹴りを放つべく跳躍。そのまま炸裂――


「――!?」


 ――するはずだった。

 だが直後――俺は攻撃の姿勢から回避行動に移行。

 前転と同時に頭上を暁のサーベルが通過する。

 幾ら周囲の障害を突破しようと暁の許に辿り着いてそれでお終いではない。

 当然暁も攻撃してくる。

 寧ろそちらの方が鬼門だった。


「――くっ」


 着地後、俺はすぐに切り返し、二の太刀を放とうとするも真横に跳ぶ。

 一瞬前まで俺がいた場所に机と椅子が殺到し、木端の如く弾けた。

 続けてこめかみを掠める椅子と脇腹を掠める机。

 暁の操る障害物が俺の進行を妨害する。

 ワンフロア分のそれらはまさに一個小隊に等しき数であり、容易には近づけない。質量からしても直撃は避けたいが、これでは埒が明かなかった。

 必然的に俺の移動距離は伸び、暁まで届かない。

 俺は時間感覚、方向感覚さえも麻痺しかねない速度で暁と飛来する机と椅子の位置を把握しながら、この閉鎖空間内を猛然と走る。しかし――


「いつまでもそう逃げられると思うな」

「っ!?」


 突如俺の周囲を囲む机や椅子が一瞬にして自壊する。

 飛び散る破片が俺の視界を塞いだ。

 そして弾けた残骸が一斉に方向を変え、俺目掛け殺到。そこには人一人通れる隙間さえない。

 俺は回避行動を止め、それら全てを迎え撃つべくべく身構える。


「うらァアアアアアア――――――っ!」


 細かな破片となった残骸にさしたる攻撃力はなく、受けきる事は容易だった。

 これなら次の瞬間にも強引に距離を詰める事は可能。

 だが暁の狙いは他にある。それは俺の行動を一瞬でも封じる事。それは――


「こういう時に相応しい台詞といったらまさしくあれだなァ…………」


 そんな暁の意味深な発言。次の瞬間――


「くらぇ、ロードローラーだぁあああああッ!」

「!」


 突如天井を突き破りスクラップと化したロードローラーが現れる。


「なにぃ!!?」


 ビルの外から調達して来たのだろう。防御に徹していた俺はそれを避ける事も出来ず直撃を受け下敷になる。


「ぐっ、ぁああぁぁあああああッ!」


 その衝撃は凄まじく。ロードローラーは床を砕き、俺諸共階下へと落下し、消えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ