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第25話:その悪を撃ち払えッ! 爆ぜろリア充、くたばれBBA光線銃

 葉佩が走り去った後、晴彦は溜息と同時に白衣の内側に手を突っ込み、あたかも懐から煙草でも取り出す様な仕草を見せる。

 だがそこから現れたのは煙草でもライターでもない。――拳銃。

 それは敵を前にしての当然の行動。

 だがその標的とは、ここに居る蟲とは別の存在であった……。


「出て来いよ。お嬢ちゃん」


 彼は一見何もないと思われる藪の奥に銃を向ける。

 数秒の時を経て――


「よくぞ気付いたな。それで? それを知ったうえで息子を行かせたのか?」

「もちろんだ。理由は――聞くなよ?」

「察してやろう。だが悲しきかな? 私の目的もそもそも御主をここに足止めする事にあった」


 そこから和ゴスに身を包む漆黒の少女――黒木翼が姿を現す。

 病院での時と同じくその手には鉄扇と日傘が握られている。


「へぇ~、そうかよ……」


 晴彦はつまらなそうに呟く。


「何じゃ? 傷ついたかの?」

「いいや、好都合だ」


 晴彦が抜いた拳銃が火を噴く。

 が、その銃弾は翼を捕らえることはなかった。

 弾は翼の背後に立つ樹木へと命中する。

 躱された。それすら見えない速度で――

 あの女の動きは最早銃弾さえ凌駕する。


「相変わらず速いなァ!」


 しかし晴彦は顔色一つ変えず、左手に持つスタンロッドを頭上にかかげ、片手で上段の構えをとる。だが――

 突如晴彦の死角から一本の針が飛来し、彼は手からスタンロッドを弾き飛ばされた。


「――っ!」


 完全に不意を突かれた攻撃に、晴彦の動きが止まる。

 そこへ四体の奇形蟲がまるで銃弾の如き早さで降下してきた。

 だがそれでも晴彦は右手の拳銃でそれらを迎撃。四体全ての頭をそれぞれ一発で打ち抜き、同時に装填されていた弾数も全て使い切る。

 頭蓋を破壊された蟲は、大量の血をまき散らしながら地面へと墜落。

降り注ぐ血の雨が両者の顔や服を汚した。

 その時、一瞬ではあるも両者の視線から互いの姿が消え……。

 その瞬間を翼は逃さなかった。彼女は一瞬にして晴彦までの距離を詰めにかかる。

 下駄を履いていようと足音一つ発さない。

 彼女は背中から生える黒い翼を使い地面を滑るように移動した。


「くっ!」


 晴彦は咄嗟に懐からもう一本のスタンロッドを取り出し振り抜くも、その攻撃は空を切る。

 それどころか、その時にはもう、晴彦の体は空中で仰向けに倒れていた。

 それはまさに、病院で経験したことの追体験。

 顎に強烈な打撃を受けた晴彦は肉体が地を離れる。

 これを好機と見て、今まで上空で円を描くように飛行していた蟲たちが一斉に動く。

 蟲はその巨大な渦の中から数十、数百と飛び出し、空中で身動きの取れない晴彦めがけ襲い掛かった。

 絶体絶命。

 しかしその瞬間――この場に居る者の全てが、その眼に晴彦を起点に振るわれる一筋の赤い閃光の輝きを見る。


「!?」


 翼以外、その光をさして恐怖に感じなかった。

 その証拠に蟲たちの進行は止まらない。

 次の瞬間には晴彦は肉塊となるはず、そう思っていた。

 だが現実は違った。駆け抜けた閃光。その軌跡に沿って――

 奇形獣の体が一斉に切断される。


「――――――――!?」


 その光景を前に驚愕して息を飲む翼。


「はっはっは――」


 その光景を前に不敵に笑う晴彦。

 両者対極の反応は一瞬。

 晴彦は続け様に光線を断片的に、連続して放った。

 光源は彼の手の中。

 蟲たちは密集するが故にその光線を回避する事が出来ず全身に受ける。

 そして――

 光を浴びた蟲は一体の例外なく輪切りとなり地上に死体の山を築きあげる。


「これは……」


 一体、何が起こったというのか。――と。


「さすがの暁さんもこれが武器だとは気づかなかったみたいだなぁ」


 地に落ちるなり受身を取って立ち上がった晴彦が白衣に付いた泥を払い落としつつ話す。


「なんじゃ……それは……」


 翼は見る。晴彦の手に握られた見たこともない装置を。

 それは既存の武器ではなく――


「一見シャープペンシルに見える光線銃だよ」


 晴彦はそれをこう称した。

 それは言葉通り、シャープペンシルの形をした光線銃。


「家が荒らされた時に武器の類は粗方粉砕されてたが、これだけは無事だった」


 歩く晴彦は表情に自信に満ちた笑みを浮かべる。


「さあ、どうする? 流石のお嬢ちゃんも光より速くは動けないだろ?」

 

 ――と。だが……。


「じゃが――、それを振るうのは御主の腕じゃろう?」

 

 その一言で――


「…………」

「…………?」

「ぐぬぬっ」

「……おい」


 その自信は容易に砕かれた。


「まぁ、まあいい。この一見シャープペンシルに見える光線銃でお前を八つ裂きにしてやる」

「御主……もっとこう……マシな名前を付けてやらんか……?」

「この武器はつい先日完成したばかりでな。まだ正式な名前は無いんだよ……」


 晴彦はカウボーイが銃を指先で弄ぶ様にペンを回転させる。


「ただ、そうだなぁ……」


 晴彦の頭の中で先日のヘチマ爆破事件でのやり取りが蘇る。


「今決まったよ……」


 その動きが止まる。


「ほぅ、なんじゃ?」


 瞬間――


「【爆ぜろリア充、くたばれBBA光線銃】ッてなァ!」


 手中のペン先から破壊の閃光が火を噴いた。

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