第3話 ライバル
【前回までのあらすじ】
野球部に入ると意気込んだ涼平を見て、恒和は呆れていた。その呆れてた理由が翌日、グラウンドを見て理解した。しかし、それでも涼平はくじけずに立ち振る舞った。
監督の指示通り、涼平達1年生と2,3年生はグラウンドの周りでランニングを行った。集団の中で走るのは中学の体育以来だなぁと涼平はそう思いながら走った。
中学の涼平はサッカー部に所属していた。はっきり言えば、中学のサッカー部の顧問は常にやる気が無かった。そのせいで、己を十分に鍛えることができず、中途半端な気持ちで部活を引退した人も少なくはなかった。涼平もその一人だ。走り込みは慣れているが、今走ってる部員達ほどのスタミナは無い。
30分後、ランニングは終了した。涼平だけかなりバテてしまった。他の1年生も同じように疲れているが、涼平の場合は特別だ。すると、涼平の前に1人の男が現れ、こう言った。
「キミ、こんなことでバテてんの?」
その瞬間、涼平の心に勢いよく火が付いた。そして、強く言い返した。
「誰だテメェ! 今の言い方、めっちゃムカつく!」
「熊坂翔太。君と同じ、ピッチャーだよ。」
「何!? お前もピッチャーなのか?!」
うん、と熊坂は頷いた。他の部員達は止めようとするが、中々上手くいかない。
「なるほど、オレと同じ1年でピッチャーか。お前に煽られた以上、オレは負けねぇからな!」
「よく言うね。素人レベルのキミに勝てるの?」
「何ィ?! オレだっていずれかはプロ並の力に手に入れて、お前を超えて見せるからな!」
その時、その場に居た恒和は 2人の争い止めに行った。
「おいおい、お前ら。争うのは良いけど、そういうのはブルペンで答えろよな。」
「キミは確か、中学の全国大会に居た、渡辺か?」
「ん? そうだけど… あれ? お前、熊坂じゃねぇか。あの全国大会にいた!」
恒和と熊坂のそれぞれの中学野球部は共に全国大会へ出場した。その時に出会ったのだ。
「あの時は良い勝負だったね。キミのリードっぷりには驚いたよ。」
「お前も中学生にして、多彩な変化球投げてきたよな。 うちらの打線でも完全には捉えられなかったわ。」
「また戦えると思ったけど、ここで会うとは思ってもなかったよ。」
「確か、東京の方から来たんだっけか?」
「うん。キミは確か北海道からか。寒かったんじゃないの?」
「お前らって、どう言う関係なの?」
「あぁ、全国大会での知り合い。 お前も野球部入れば俺達に会えたのになぁ?」
「んだと!?」
挑発的な発言を聞いて、涼平は悔しがった。それを見て、恒和達は笑ってた。馬鹿にされても仕方ない場面だろう。
朝練が終わり、学校生活も帰りのホームルームまで終わった。一年部員達は、それぞれの希望ポジションに沿った練習場へ向かった。涼平と熊坂も含めた1年ピッチャーはブルペンに向かった。涼平は熊坂の実力を見て、ライバル心を抱くことになる。
【次回予告】
能力テストの為にブルペンに来た涼平と熊坂。熊坂の実力を見て、あぜんとした涼平も負けんじと実力を見せる。すると、涼平自身も驚くボールが投げれたのだ。果たして、そのボールとは?