第2話 目的
【前回までのあらすじ】
森林高校に入学した少年、”斉藤涼平”。彼は教室のドアを開けた瞬間、小学校の時の親友”渡辺恒和”と目の前で再会。お互いの心境を語ることに。
「お前、マジで言ってんの?」
恒和は驚きながらも、確認で聞いてみた。涼平は真面目な顔で頷いた。
「お前、中学校の時、野球やってたのか?」
「やってない。遊びしかやったことないから。」
「遊びぃ? お前、それは…」
これ以上言うと涼平の気持ちが崩れると察したのか、恒和はその場で口を閉じた。そして、改めて一言を掛けた。
「まぁ、入ってみりゃ分かるよ。」
恒和はその一言を掛け、後にした。涼平は少し疑問を抱いた。なぜアイツはあんなに呆れてるように言ってるんだろうと。
初日の学校生活が終わった。涼平は家に帰ってすぐに明日へ向けての準備をした。明日から涼平は野球部員だ。バットやグローブ、スパイクもきちんと準備が出来たことを確認してから、夕飯とお風呂を済ませた。涼平は、今日のことを疑問に抱きながら布団に入った。
翌朝、涼平は早く起きた。この日からもう朝練が始まるのだ。家を後にして、自転車で学校へ向かった。涼しい風を感じながら運転をした。10分後、学校に無事着いた。涼平は駐輪場で自転車を置き、グラウンドへ向かった。その時、涼平は恒和が昨日呆れてた訳が分かったのだ…
グラウンドには、およそ50人以上ものの部員が立っていた。その部員全員を見て、涼平はこう感じた。こいつら、体ムキムキじゃねぇか!と感じた。焦りながらも、涼平は荷物をロッカーに置いてすぐに部員達の列に並んだ。5分ぐらい経った時、グラウンドから足音が聞こえてきた。いかつい顔をしてる人とその後ろには同じユニフォームを着てる人達が来た。どうやら、監督と先輩達のようだ。すると1年生全員は一斉に、「おはようございます!」と大声で挨拶をした。涼平も慌てて挨拶をした。
「森林高校監督の山岡だ。新入部員はこれで全員か?」
涼平を含んだ1年生は「はい!」と返事をした。涼平は緊張し過ぎて冷や汗をかいている。
「今から自己紹介を行う。名前と希望ポジション、意気込みを語ってくれ。まず、左端のお前から自己紹介をしろ。」
はい!と返事した後、左端にいる1年生は自己紹介をした。
「南中学出身、佐藤光平です!希望ポジションはセカンドです!守備には自信があります!宜しくお願いします!」
自己紹介が終わった後、監督は「次!」と言って、先程の人の隣が自己紹介を行った。自己紹介だけでもここまで緊張するのかよ…と涼平は思った。
そして、数分後に涼平の番がやってきた。涼平は大声で自己紹介を行った。
「森沢中学出身!斉藤涼平!希望のポジションはピッチャーです!私は遊びの野球しか経験してません!ですが、野球に対する気持ちは誰にも負けません!ここに来た目的は、自分の腐った己を鍛え直す為に来ました!3年間どうか宜しくお願いしやす!」
涼平は自分の気持ちをさらけ出すかのように自己紹介を行った。あまりにもバカ正直過ぎで、一部の部員達が笑いをこらえている。特に恒和は必死にこらえている。
部員の自己紹介が終わった後、監督からの指示でランニングをするように言われた。これが、涼平が過ごす3年間の野球生活の幕開けであった…
【次回予告】
ランニングが終わった後、突如涼平の前に1人の男が現れた。その男は涼平のことを見下すかのように、挑発的な発言をした。それを聞いて、涼平は闘争心が煽り始めた。その男こそが、涼平の最大のライバルとの出会いである。