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彩色の欠片  作者: 奇逆 白刃
8/22

不穏な緑の不吉

ばたん、とドアが閉まる。

あたしと一緒に見送ったレイムがドアの鍵を閉め、そのままあたしの腕を掴んで引っ張った。

「んんん!?な、何なんだレイム?」

『ちょっと、きてください。じゅうようなほうこくがあって。というより、なつねさんはしっておいたほうがいいんじゃないかと』

後ろ向きに連れて行かれたあたしは、リビングの椅子にレイムと向かい合って座った。

『あの、けいとさんが、ほそながいケースをもっていたじゃないですか』

「ああ、うん持ってたね。それが?」

『えっとですね。その、なんというか、ぼく、にもつをはこぶときに、そのケースがいようにおもかったんですね。てつのかたまりがはいってるみたいなかんじで』

「ほうほう」

『それで、その、ぼく、えっと、あの……』

早よ言わんかい。まどろっこしいじゃないか。

『その……きになって、なかみを、ですね、ちょっと、その……』

あー、分かった。そういう事ね。つまり、

見たのねあなたは。

『す、すいませんっ!かってに、その……あの』

ていうか、さっきから『その』が異様に多いな。癖か?

「いやいや、良いよ別に。あたしが言う事じゃないけどさ、実を言えばあたしもすっごく見たかったから。学校じゃ全く見せてくれなくてね。……で、何だったの?」

『いまちょっとこうかいしてます』

いやもうそれは良いから。見た事については何とも思ってないから早く教えてくれ。

『そうじゃないんです。よのなかのうらがわを、のぞいてしまったようなきぶんになってしまってですね』

「それは、中身を見たから?」

『そうです。その、ほんとうにてつのかたまりだったもので』

鉄の塊?なんだ、鉄を持ち歩いているのか?あんな重い物を?

『いや、どうぐでしたよ、れっきとした。けど……そうだ、ちょっとおききしますけど、けいとさんって、べつにけいさつにめをつけられてるとかじゃないんですよね?』

いや、違うけど。

え、何だその質問は。

まるで、恵人が犯罪者で、捕まってないのが奇跡みたいな。

そんな事って……あ、ま、まさか!

まさか、あの予想が当たったとでも!?あたしの想像が?

『もうわかってるとおもいますからいいますけど……あれ……どうみても銃ですよ』

「……!!」

……うわぁ出た。大ビンゴ。

『たぶんあれはえんきょりようのそげきじゅうです。でも、みたことないかたちでした』

そりゃそうだ。見た事あるって方が驚くわ。

『あくまで銃として、ですけど……。その、なんだろう、かいぞうしたかんじでした。ふしぜん、というか。たぶん、しゃていきょりがながいんだとおもいます』

何故そこまで分かる。実戦経験者か?

『よそうですよ、よそうです。けどあれ……に、さんキロは、とぶんじゃないかと』

それは長いのか?

生憎常識人のあたしには全く分からないのだが。

『それにですね。ぼく、みちゃったんですよ』心霊現象を見た様な口調で、レイムが呟いた。『あのケースのそこに、銃じゃないものを、みちゃったんですけど』

ま、まだ入ってたのか。何だ何だ。

『あの、あれ……どこからどうみても、手榴弾だったんですけど』

「……はい?」

思わず訊きかえしてしまった。

何だって?

手榴弾、だって!?

『どうしましょう』

「……………………、……。」

しっ……知るかぁ―――――!!!


狙撃銃と手榴弾を持った中学一年生の対処法なんて、今日び学校でもやらんわ。


そもそも、日本には銃刀法という物があるでしょーが。

完全無視じゃないっすか。

大丈夫か恵人!?


……何だか、雲行きが妖しくなってきたなぁ。


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