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バレンタイン狂想曲~彼の気持ちと彼女の気持ち~

作者: 白黒 青紫

 今日は何の日か知ってるかって?

知ってるさ。バレンタインとかいう馬鹿げた日だろう?

思うんだけどさ。なんでみんなあんな菓子会社の策略に

乗せられるんだよ?え?モテナイ男の僻みじゃないかって?

・・・・

・・ああ、そうさ!その通りさ!!

チョコレートなんて好きじゃないし(実は好き)

甘いもの食べたけりゃ、砂糖でも舐めてろって言いたいね、俺は。

女子が男子にプレゼントとかさ、ほら3倍返しとか5倍返しとか

意味わかんねーYO!

3倍にして欲しいんだったら、俺にも寄越せっての(涙目)




 今日は何の日か知ってるかって?

知ってるよ。バレンタインでしょう?馬鹿馬鹿しい。

思うんだけどね。なんでみんなあんな菓子会社の策略に

乗せられてるの?え?渡す相手がいないんじゃないかって?

・・・・

・・渡したいけど、今日学校来てないんだもん><

初めて手作りにチャレンジして、なんとか完成して

今日、どうやって渡そうって一晩眠れなくて、ほとんど徹夜で

女子が男子にプレゼント・・出来る最大のチャンスの日に、

あの人休みなんだもん><悲しくて涙出るよ。。

やっぱり家まで行くしかないの?><




 だから、今日は学校サボって家でぼーっとしてるのさ・・

ハハハ、ワラッテクレテモイインダゼ?

どうせ俺なんかにチョコくれるような物好きなんていないしさ。

このまま2月14日は未来永劫、金輪際、俺が存命中は

呪いの日として祝日にしてくれてもいいんだぜ?

・・アア・・ワレナガラヒクツスギル・・

まぁ、憂さ晴らしに近所でも散歩してきます・・

λ........家




 えとねえとね!聞いて聞いて!!

家を調べたんであります!!軍曹殿!!

え?誰が軍曹かって?そんなのどうでもいいじゃない!

え?ストーカー?そこのお前、一度わたしの弓道部の腕前を見てみるか?

このまま2月14日にこのチョコを渡せなかったら

呪いの日として次に人を好きになるまで落ち込みそうなんだもん><

・・アア・・ワレナガラナサケナサスギル・・

まぁ近所まで行って、どうするか考えまっする・・

家   λ......




さて、何しよう?

今日はカップルどもがやけに視線に入ってくる。

そういえば今日読んだ読み物に

「彼氏ブサイク。彼女馬鹿っぽい」ってくだりがあったな・・

ホントこういう気持ちのときってそう思う(怒)

本屋に行っても、ゲーセンに行っても、公園に行っても(怒)

なんなんだ!このカップル目につく率!!!

目突いたろうか!!!!

  λ......公園




さて・・いるかな・・・

あーん。。ドキドキするぅ><

そういえば今日読んだ読み物に

「叶わないものでいい 愛させてください」っていうくだりがあったっけ・・

ホントこういう気持ちのときってそう思う(泣)

家に居ても、学校に居ても、どこに行っても(泣)

片想いって本当に辛いです><

カラいんじゃないから><

  家 ..λ..




あ、そうだ!そう言えば買い物するの忘れてたよ。

明日の学校で使う物・・ああ、めんどくさい。

でも、今日買いに行かなくっちゃだよね><

本当にめんどくさいけどひとっ走り行ってこよう><

 λ.......家 ..λ..




あ、どうしよう!家いきなり訪ねて大丈夫かな?

変に思われないかな?家どうやって知ったの?とか

聞かれたら、何て答えればいいんですかっ?軍曹!!

本当に何て答えたらいいのかわかんないです><

 λ.......家 ..λ..




さて、行ってきたし。あとはのんびり・・・あれ?

あの娘、確か隣のクラスの・・・




さて、もう行くしかないし><あとは野となれ・・・

ああ、神様助けて・・・




「こんちわ」

「あ、は、こんちわ」

いきなり声をかけられてびっくりする少女。

「あ、ここ俺んち。あれ?何か用?」

ぎこちなく声をかける少年。

「あ、えと・・あの・・えと・・・」

「どうかしたの?」

顔を真っ赤にして、少女は高鳴る胸を押さえる。

「えっと・・・」

不思議そうな顔を浮かべる少年。

「これ、受け取ってください!」

少女は手に持った物を少年に押し付けるようにして

駆けだしていった。

「あ!ちょ!待って!」

しかし少女の逃げ足は速い。

あっという間に後ろ姿が見えなくなった。



翌日・・・


「おはよ~」

「おはよっ!」

ある高校のあるクラス。

元気に声が飛び交っている、朝の光景。


昨日は思い余って逃げ出してしまった。

あまりの胸のどきどきに耐えられなかったのだ。

「・・ぉはょぅ・・」

か細い声でクラスの友達に挨拶をする。

「どしたの?元気ないじゃん?」

「・・・別に・・・いいの・・・」

そう言って席に座る。

自己嫌悪が残っている。どう思われただろうか?

きっと変に思われたに違いない・・

恐れ多くて隣のクラスの様子なんか見に行けない。

それどころか廊下でさえ、ばったり出会ってしまったら・・・

トイレも我慢するしか・・

思い詰める少女。


・・・あれ?なにこれ。

自分の机の中に1枚の紙切れ。

そこにはたった一言だけ書かれてあった。

「昼休み、購買の前で待ってる」

男子の字。

誰・・・からだろう・・・

彼からかも。

また胸が高鳴る。

もし、そうなら・・・

そう思うだけで、さらに胸が高鳴ってしまう。

昼休み・・

待ち遠しいような、逃げ出したくなるような

そんな思いを少女はしていた。

長い長い授業を上の空で過ごしながら。



 昼休み。

少女は購買の前に向かう。

いつもお昼は購買だ。彼もそうだ。

ときどき会う彼。

手紙の主が彼なら・・・どういう意味なのだろう。

とにかく行ってみるしかない。

教室を飛び出して、時速20km(当社比1.5倍)の速度で

購買に向かう。

階段を10段飛び降り、校舎のコーナーを曲がる。

コーナーに校長先生がいたが、そんなの気にしていられない。

風圧で校長のヅラが飛びそうになっても気にしていられなかった。


購買はもう他のクラスの生徒でいっぱいになっていた。

購買のおばちゃんからはこの生徒の群れがどう見えるのだろう?

きっと芥川の蜘蛛の糸のように見えるに違いない・・などと

考える余裕は全くなかった。

目で彼を探す。

うっかりメガネを教室に忘れてきたから

ほとんど誰が誰だか分からない。

けれどもきっと彼ならば・・・彼ならば、オーラの湖の

エバラ某さんのように他の人とは違うオーラが見えるに違いない。


 彼のオーラを探す。

カリフォルニア大学の筋運動学の名誉教授ヴァレリー・ハント博士

によると、人体から発するオーラの色と、人体が発する周波数の

パターンとに相関関係があるらしい。

少女はそんなことを微塵も考えずに、必死に目を凝らしながら

彼を探していた。





「砂糖と塩、間違えただろう?」

不意に耳元で囁く声。

「でも・・・美味しかった」

振り返ると、そこにはあの・・片想いの少年が立っていた。

無邪気な笑顔の彼。


「ごめんなさい・・・」

少し泣きそうな顔をして少年に答える。

「いや、ところでさ」

「うん・・」

「きみのことをもっと知りたいって言ったら・・迷惑かな?」

「ううん><えっと、いえ、えっと・・」

「まずは・・はい!これ・・」

少年が少女に手に握っていたものを差し出す。


そこにはいつも自分が食べているお気に入りのサンドイッチ。


「一緒にお昼たべよっか」

「うん!」


 2人はどちらからともなく手を繋いで、校舎の片隅にある

芝生に向かって行った。


 校長がヅラを必死に探している横を通りぬけて。









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― 新着の感想 ―
[一言] まさか私の詩を 使ってくださるとは(^^) とても光栄です☆ これからも使ってあげてくださいw アップテンポな感じで 読みやすかったです!! バレンタインならではという 感じで…
[良い点] 最後の校長先生のオチが、自分にははまりました(笑 後は時速20kmで歩く?姿を想像して、競歩を思いだして笑っちゃいました。 [気になる点] ありませんよ〜。 あえていうなら、せめて校長…
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