少女乱入
お待たせしました!!新キャラその1が出てきます☆
その1とは一体何者なのでしょうか……
では本文をどうぞw
「で、颯介。お前には女はいるのか?」
唐突に佐之助が尋ねる。飲んでいたお茶が吐き出されそうになった。
「なっ……そういう佐之助はどうなんだよ!」
「俺か?いるわけないだろう、あっはっは」
「本当に?」
亜里菜さん目が怖い。まだ未練が!?……うわ、こっち見ないで。眼光人を射るってやつ。
「だってはっきり言って御所なんて男だらけだぞ?そりゃ女性はいるけどみなさん身分がそれなりに高い方ばかりだから……それに仕事が忙しいし」
「ほぉー仕事ね……とか言って佐之助。なぜ外をぶらついているんだ?」
「い、いや、それは……ほら、休憩だよ」
「休憩……ねぇ」
ニヤニヤしながら佐之助を見る。佐之助が思いっきり目を逸らす。怪しいぞ。
「それにしても京は人が多いんだねぇ」
沙耶が久しぶりに口を開く。
「あったりまえだろ!京だぜ、京!村とは違うんだよ」
「今日は江奈姫様の御輿入りなんだよ。それを見に人が集まってるんだよ」
え?俺無視?自信たっぷりに言ったのに……というか御輿入り?
「御輿入りって?」
鈴が佐之助に尋ねる。
「女性が結婚するからここを練り歩くんだよ」
「誰が?」
「江奈姫様が、だよ……確か風井家の娘さんかな?」
風井家はここ近江ではそこそこ名の通った守護大名になりつつある家柄だ。しかしそこに娘がいるなんて聞いたことが無かった……まぁ田舎者だからかな?
「で、いつ始まるんだい?」
「もうそろそろだと思うんだけどなぁ……」
「佐之助。お前もこれを見に来たのか?」
「え……否定はしません」
「素直に肯定したまえ」
佐之助をばしっと叩く。いて、と小さく声を上げた……かわいい奴。
「お侍様!助けてくださいまし!」
そこへ可愛い声をした少女が飛び込んできた。笠を深くかぶっているせいか顔は見えない。その着物もくすんだ色をした物だった。
「どうしたんですか?」
「人に追われているんです!」
「御嬢さん、こちらへおいで」
さっと亜里菜が少女を背後へ蹲らせて隠す。そしてまた何食わぬ顔でお茶をすすり始める……まるで猫だ。
勿論、亜里菜がそうだから、俺たちが動揺した表情を出すわけにいかず、外を警戒しながら世間話を再開した。
「おい!こっちも探せ!……まったく、どこに行ったんでしょう」
「隊長!あちらにはいませんでした!」
「ええい!くまなく探せ!!失敗したら俺たちの首はないぞ!!」
ひぃっと悲鳴を上げながら、男たちがあちらこちらうろつく。
そして隊長と呼ばれた男がこちらへ歩いてきた。
「そこの方!15ぐらいの少女がこちらへ来なかったか?」
「さぁね……それよりその子、何したんだい?」
亜里菜が尋ねる。
「逃亡ですよ。早く捕まえないと……いや、失礼」
男は再び少女を探すために外へ出て行った。
「おい、お嬢ちゃん……もう大丈夫みたいだぜ」
「本当ですか……?」
「あぁ大丈夫さぁ。もうあの男たちはどこかへ行ってしまった。さぁ出ておいで」
ごそごそと亜里菜の背後から出てくる。改めて少女の顔を見る。笠から覗く肌は日光に当たったことが無いように真っ白だ。象牙色の肌、という表現がぴったりだった。そして小さな唇は真っ赤に紅が塗られてある。そんな少女が、ぼろを纏っていることに不自然さを感じさせる。
「お助けくださって、ありがとうございました……」
「大丈夫だよ、御嬢さん。あなた何をしたのですか?逃亡だなんて……それにあの男たちの話を聞くと、御主人は相当厳しいようですね」
「は……」
少女が俯く。そして少しためらった後、笠をゆっくりゆっくり脱いだ。
「あなたは……江奈姫様ではないですか!!」
佐之助がそう叫びそうになるのを、慌てて少女が押しとどめた。
真っ赤な唇に、細くて綺麗な人差し指を押し当てる。
「江奈姫様……ってあの結婚する人?」
こくっと少女が頷く……なんだか面倒事が起こりそうだ。
はい、よくあるパターンだと言われても仕方ないですw
第一別に有名じゃない守護大名の娘が『姫』なわけないですよね(汗)
……一応言っておきますが、風井家なんていう大名は多分いません。架空の存在ですw
では読んでくださりありがとうございました☆