佐加村の土地神
この章も最後です。。特にこれといったものはありませんが(笑)
これ、続き書きます☆もう少し(いや、予定としてはもっとかな?)お付き合いくださいw
「さぁて、俺はもう行くか」
颯介がよっこらしょと立ち上がる。その後に“あずさ組”一団が続く。
「またこの村も寂しくなりますな……」
そう長老が寂しそうに微笑んだ。それを見て颯介はバンバン背中を叩く。
「じぃさん、どうせ俺は隣村に住んでんだ……まぁ放蕩生活送ってるがな。また気が向いたら寄るさ!」
背中を叩かれて長老が咳き込んだが、ただ一言ありがとうと言われた。
「お侍さん、ありがとう!」
なぜか『お侍さん』と子供に言われるようになった。この村の子供たちはあの地頭から奪い返した年貢米をお腹いっぱい食べたらしい。口元に米粒がついている。
「米はなぁ、八百万の神が一粒一粒に宿っていらっしゃるんだぞ!粗末にしたら……はて、どうなるんだったっけ?」
「目が潰れるんだよ」
「あぁそうだったな……やっぱり座長は詳しいや」
「関係ないよね?それよりこれからどこ行くんだい?」
亜里菜が尋ねる。
「勿論、京さ!言ったろ友達に用事があるって」
「その友達ってさぁ……まぁいいや」
亜里菜がふいっとそっぽを向いてしまった……なんだ、変な奴。
ちょいちょい
誰かが着物の袖を引っ張った。
「誰だ……ってお前、ここらへんでは見かけない顔だな」
そこにはこの村ではまずありえない、豪華な着物を着ていた。金の花の刺繍を施した朱色の着物。京の町、それも良いところの御嬢さんが着るようなものをまだ幼い子供が身につけていた。
「おいおい、それはあの地頭のところから見つけてきたのか?それにしてもよく似合ってるぞ!ははは」
そう言って頭を撫でようとした。が、すかっと手は空を割いただけだった。
「……え?」
驚く颯介に優しく少女は微笑みかけた。
そして小さい口を開いた。
『アリガトウ』
そう言ってすうっと消えていった。
「なんなんだ、あの子……」
自分の手を見つめる。
「どうなさったか?」
いつの間にか長老が傍に来ていた。彼ならなにか知っているかもしれない、とさっきのことを話してみた。
すると答えがちゃんと帰ってきた。
「あれはこの村の守り神様じゃ……うんと昔の方らしい。その昔、京の町が大きな戦に巻き込まれたとき、この村にも兵がたくさんやって来た。しかしあの守り神様――凛姫様がその身を以てしてこの村を救ってくれたそうだ。それから凛姫様をこの村の土地神様、守り神様にしたわけじゃ……それはわしの祖父から聞いたものでね。その祖父も自分の祖父から聞いたそうだ。代々伝わるこの村の話じゃ……おまえさんは運が良かったの」
「なんで?」
「だってわしでさえまだその姿をお目にかかったことはないんじゃから」
ふぉっふぉっふぉ、と言いながら子供たちの方へ歩いていった。
――凛姫。彼女自身も身を挺して村を救った。そんな彼女が俺に『アリガトウ』と言うために姿を現した。あの長老が運が良かった、というのも分からなくもない。
抜けるような青い空。颯介は再び笑顔の戻った村を去って行った……新たな土地へ『願い』に誘われて。
はい、ちょこっとネタバレします。。
次の章で、新キャラは2人出す予定です……女の子と青年?ですw
いや、2人と言ってもあの『友人』とか、いろんな人出てきますけど……この2人はちょっと特別扱いです(先読めちゃう?それは心の中に置いておいてくださいw)
それでは次章もお楽しみに♪