泣く子の仇 〈其の1〉
『泣く子の仇』というのは前回『泣く子と地頭には勝てぬ』という格言(?)的なものを書いたので、それに関連付けて書きました。。
それでは、一体どうなるのか!?お楽しみください☆
ぶらぶら道を歩く男あり。名を桜庭颯介といった。
彼は今この村の地頭の家に向かっている。地頭の馬のひずめの後を見て歩いている。
「案外遠いなぁ」
ぼそっと声を漏らす。山の上に家があるらしく、もうかれこれ10分は歩いている。結構疲れも早い。
そしてお供は地侍の何人か。いつのまにか村人の輪の中に入り、地方武士として頑張っている、準武士といったところか。でもお供……?いや、違う!勝手についてきたんだ!!
「あのぉ……」
申し訳なさそうに声を掛ける。
「後ろからついてきていただいても構わないですよ?」
1番大柄な男が答える。
「わしらは普段農作してるが、ちゃんと刀も使える!おぬしのその刀じゃ、対処しきれぬ時はわしらが助太刀申す」
「ははは……それはありがたいですね……」
俺にはあのおっさんと一太刀も交える気はないんだが、長年の恨み辛みか、もう刀抜く気まんまんだな、おい。
……なんだか、大変なことになりそうだ。
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「用意できたか!」
はいっ!と威勢のいい返事。
あの商人への見せしめのために村をつぶそうという、この地頭。自分の持っている使用人を武装させて全部投入するとか。
「いいか、お前たち!商人と名乗る優男がいたら、生け捕りにしろ……決して傷つけてはならぬ!後で登城し、御上へ差し出すのだからな!」
「辰邦様!あの……」
「なんだ!」
剣幕に少し後退しながら、覚悟を決めて言う。
「桜庭と名乗る商人が門前に来ております!」
「おっさん、よお」
「よお、じゃない!お前……なんてことをしてくれたんだ!」
めっちゃ興奮している……すっごく扱いにくい。
「まぁまぁ、そう怒らずに、ね」
「黙らんかっ!!あんなまがい物をわしに……なにが『お気の毒』だ!お前のせいであの者たちは消えてなくなるんだからな!」
「おいおい、ホントおっさんは沸点低いなぁ」
「なんだと!もうわしは止められんぞ!皆の者、出立じゃ!出立じ……?」
どんなに命令を下しても動かない武装兵を見る……みんな立ったまま爆睡。
「なんなのだ!立ったまま寝るな!座って……じゃなかった起きろ!」
しかし、反応なし。それどころか座りだすものもいる。
「おっさんの顔が真っ青だ。まぁそいつらは俺が良いというまで起きないぜ?」
「……また、お前の妖術か?」
「だから、あれは妖術じゃないって!ちょっと眠ってもらっただけだよ」
手に沿わせて、ふっと息を吐き出す……甘い匂いが辺りに立ち込めた。
「なんだ……なん……目が……」
「はい、おっさんは起きて」
パンパンと手を叩くとおっさんは目を覚ました。
「な?こういうことだよ」
「……ふざけるなぁ!」
「『ふざけるな』?それはあんただよ」
すらっと“藤桜刀”を抜き、地頭の首元に切っ先を当てた。
風がびゅぅーと駆け抜けていった。
……さぁ、一体どうなるんでしょうか?ん?前書きでも書いた記憶がありますね。。まぁ気にしないw
〈其の1〉が短くなったわけは……2000字越しちゃうからですwだからやむなく〈其の1〉・〈其の2〉に分けました☆〈其の2〉も同時投稿します♪これが終わったら新章突入するかもです。。「もう終わらせてもいいよ」と思う人は感想欄にでも書いておいてください。早く決めなきゃいけないんで……(なんか遠まわしに感想くれ、と言ってるみたいですね……そんなつもりはなかったんですが)
では!