一花咲かせて見せましょう
4話目です。。
どうなることやら、もう既に方向が怪しくなってきていますw
あと、日曜日を越すのが辛かったので、日曜日も時間があれば投稿しますねw
では、本文をどうぞ☆
おっさんは帰った……だけどあんなに年貢を納めさせるなんてありえない。どんな地頭なんだ、あいつは。
「お助けいただきありがとうございました」
「ん?」
後ろを振り返ると、赤ん坊を胸に抱いた若い女性がいた。しかしその身なりは極貧そのものだった。
「いやぁ……俺はなんにもしてねぇよ。それより、あの年貢徴収は違反じゃねぇのか?」
女性が俯く。そして小さく答えた。
「あんなに払えないのは事実です……他の村では一揆を起こして地頭を追い払ったという噂も聞きました。でも私たちにはそれだけの力がないのです……だから頑張って、頑張って……年貢を納めないと……いけないんです」
15世紀に入ってから徳政令を求める農民たちが一揆を起こし始めた。
1428年には正長の土一揆、1441年の嘉吉の土一揆……いずれも近江(現在の京都付近)の土民が蜂起し、幕府に徳政令を発布させたというもの。でも今となってはかなり昔の話。衰退した幕府には取り締まることのできない地頭の横行。そんなものを垣間見た。
この村には抵抗する力がない――悲痛な声が聞こえた。
「で、颯さん。どうだったんだい?」
亜里菜が声を掛ける。
「んあ?あぁ……地頭には抵抗できないってさ」
遠くを見つめる……あの地頭のせいで犠牲になった村人は何人いるのだろうか。
「で、颯さんはどうしたんだい?」
「え?いつも通りだよ」
「いつも通り?」
長老が首をかしげる。
「おぬし、一体なにしたんじゃ?」
「えへへ……喧嘩吹っかけた」
笑ってみせた……が、集まっていた村人の血の気が引く音がしたような……
「やってくれたな!もうこの村も終わりじゃ!!伝徳さま!こやつの首を落としましょう!」
地侍らしき男が刀を抜く。
「いやっ!ちょっと待って!この喧嘩はもちろん俺が買う!みなさんには絶対迷惑かけないから!!」
慌てて言う……勿論この地侍らしき人物が「は?」という顔で見つめてくる。
こほん、と咳払い。
「いや、俺があの地頭を追い払って見せましょう……と言ってるんですよ」
「それはまことか!?」
ざわざわと村人が騒ぎ出す。
「俺は“咲かせ屋”さ。ここに来た時からこの村にはなにかあると思っていた……こいつが反応するのさ」
こいつ――藤桜刀を指差す。
みなさんの頭に?マークいっぱいだ……いや、意味わからんわな。
「この鞘にある、桜の彫りが『願い』を聞くと淡く光るんです……青くね。そしてその『願い』が聞き届けられると桃色に光るんです……俺はその『願い』を叶える人間さ」
「それが……“咲かせ屋”の仕事……?」
うん、多分ねと首を縦に振る。するとおぉーっと歓声が上がる。
「これで……あの地頭から解放されるわ」
「うれしい!みんなでお祭りね!」
「これでわしらも……早うやってくれや!」
どっと押し寄せる歓声。みんなの笑顔……これを見るのも仕事のうちの1つかもしれない。
「それではみなさん!俺が一花咲かせて見せましょう!」
ところ変わって藤原家。いつもより多くの収穫を得て超上機嫌。鼻歌まで歌ってる。
「おい、その米を倉に入れとけよ」
へい、と使用人が言う。しかしすぐにひぃーっと声を上げた。
「なんだ?おい、どうしたんだ?」
「米……米が……!」
ヘタレこんでいる使用人に近づく……彼の指差す方向にはちゃんとコメが入った袋があった。
ふふん、と鼻で笑う。
「なんだ、どうしたんだ?いたって普通の米袋……うわぁっ」
拾った米袋の中身は……萎れた花殻+何やら異臭を放つ草。
「なんなんだこれは!!……さてはあの商人か!許せん!!」
いきり立つ主人を見て使用人がさらに後退。
「おい、皆の者!!出立の準備をいたせ!!あの村ごとつぶしてくれるわ!」
その昔、『泣く子と地頭には勝てぬ』と言われた祖先の血を受け継いだ自分にできないことはない……そう確信した。
なんかwikiで調べたところ『室町時代の地頭は中期までに事実上消滅した』と書かれてあり、『マジでぇー!?』と思わず叫んでしまいました。。多分あのおっさんは陰ながら頑張っている残党なのでしょう(汗)……自分的には織田信長(の名前だけ)出したいなぁ、と思っていたので……考え中。足利将軍はテキトーに合わせればいい話なんですけど。……まぁ忘れてください。
では、ありがとうございました☆