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咲かせ屋  作者: 玖龍
江奈姫の運命
24/37

涙の記憶

お待たせしました。。


テストやらなんやらがあって忙しかったものですから、すっかり更新が遅くなりました。。スミマセン(汗)

 あくる日の午後。


 江奈はルンルンで帰ってきた。


 別の部屋で茶を啜っていた俺たちは、ホッと胸を撫で下ろした……成功したんだな、と。


 どう説得したのかは知らないが、丁度帰宅していた江奈の姉貴がまず芳明と話合って、それから江奈が呼ばれた。彼女も呼ばれなくとも懲りずに行く予定だったらしいが。

 あの堅物が首を縦に振るとは思えなかったが、彼女の様子を見る限りでは俺の予測は外れたらしい。


 いやぁ、めでたいめでたい(棒読み) 


 襖を閉めた彼女に微笑む。


 「おかえりー。良かったな、親父さんが許してくれて」

 「うん。これも颯介のおかげよ!ありがとう!!」

 にっこり笑顔で返される。

 「え?ちげーよ。あの美人さんのおかげだろ?」

 「び、美人さんって?」

 「?江奈の姉ちゃんだろ?」

 「……」


 ……?俺、なんか変なこと言った?


 あれは美人としか表現のしようがないだろ。うん。誰が見たってそう思うはずだ。多分母親似なんだろう。あんなおっさん似だったらか(ry


 しかし江奈も負けてはいないと個人的に思う。15歳にしては大人びた顔立ちだし、比べちゃ悪いが鈴とは大違い。

 特に笑顔とかな。女子は笑ってなきゃいけないって本気で思う瞬間だ。


 ……何を語ってんだ、俺?



 ふと顔をあげると、江奈がすごく冷たい目をしていた。

 「……サイテー」

 「んだと、こら」

 喧嘩売ってんのか?せっかく人が(心の中で)褒めてやってんのに。



 「デハ、これからは江奈さんも一緒に旅ができるということデスネ?」

 

 すごく久しぶりにフェリス神父が口を開いた。険悪な空気が一気に晴れる。


 「う、うん……そういうことになあぁぁぁ!?」

 「やったぁー!!」

 江奈が悲鳴を上げる。よく見ると後ろから鈴が抱きついていた。

 「あたし嬉しい♪だって年上しかいなかったもん!亜里菜ねぇも沙耶ねぇも優しいけどもう大人だしっ!!これからもよろしくっ!!」

 鈴は満面の笑みで江奈の手を握ってぶんぶん振っていた……江奈は苦笑いだったが。

 

 よこらっしょ、と立ち上がる。

 「それで、いつ出てくんだ?」

 「明日……」

 少し浮かない顔をされる。

 「早いな、おい」

 別に今日話がまとまったからって、明日出て行くことはないだろうに……

 「あたしがここに居ちゃいけないんだって……出て行くなら親子の縁を切るって」

 寂しそうにふふっと微笑む。

 「でもこれはあたしが望んだことだし、仕方ないと思ってる。お父様が嫌いってわけじゃないけど、この家にいるのは嫌。だから……それで許してくれるんなら……」

 「江奈……」


 泣いていた。

 天井を見上げている。目からこぼれる雫を落とさないよう。

 気取られないよう明るく振る舞っている。でも本当は寂しいんだ。辛いんだ。悔しいんだ。

 

 あんな親でも、江奈にとってはかけがえのない、たった一人の父。別れたくない、ってか。



 『颯介』


 ふと甦るあの高い声。

 そっと手を振る長い黒髪の女。

 微笑みを湛えた口元。


 「……くそっ」


 嫌な思い出が浮かび上がる。

   

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