思わぬ再会
お久しぶりです。。テストが終わったので投稿再開ですっ!!
……だいぶ前に更新したので、話を忘れてたりします(私が)
「おっさん、表に出ろ。俺がその根性、一から叩き直してやる……!」
「そ、颯介……?」
江奈姫が心配そうに声をかけた。
「もう、やめてよ……颯介、あたしが悪かったの。なにもし」
「俺が嫌なんだっ!!」
振り向かずに叫ぶ。それに江奈姫は一瞬びくっとした。
「江奈は知らねーだろうが、俺は捨て子だ。亜里菜も、沙耶も鈴も。そして左之助も。俺たちみんな捨て子さ。捨てられたときになんて言われたか、俺は覚えている……『お前の幸せのためにこうするんだから』ってな。だけどなぁ!人の幸せなんて他人が勝手に決めるもんじゃねぇ。俺の幸せは俺が決める。お前の幸せは父親の幸せか?違うだろ?人ってもんは意志を持ってるんだ。それを権力で捻り潰していいもんじゃねぇ……俺はそれをこいつに分からせる」
言い終わったとき、突然芳明は笑い出した。
いつまでも止めようとしない。あろうことか、ごろんっと寝そべり始めた。
かちんときて、さらに言う。
「おまえ、ふざけてんのかっ!?いい加減いしろよっ!!」
「ぬしこそふざけるな」
ニヤけた顔で放つ。しんとする部屋。
それを見て、芳明は続けた。
「『俺の幸せは俺が決める』?たわけが。お前一個人の意志なんぞどうでもいいのだ。強い者が弱い者に従う……それは当然のことだろう。何を今更、たわけたことを申して居るのだ。第一なんだ。わしの家に土足で上がり込んできて、わしをどうすると?まさに、あさましかりけり、だな」
「てんめー……」
「失礼します。芳明様、住職さまがいらっしゃいました」
険悪な雰囲気の部屋に、凛とした女性の声が響いた。
「おうおう、ここに連れてこい……丁度、説教せねばならんやつがおるからの……はっはっは」
「かしこまりました」
〜数分後〜
「失礼致します」
がらがらっと襖が開く。そこにいたのは……
「じいさん?」
「なんじゃ、颯介じゃないか」
じいさんーーそれは颯介たちの出身村、香朶村の唯一寺の住職で、彼らの育ての親である、正徳だった。
もう既に『じいさん』と呼ばれる年齢に入ってる。剃髪した頭と顔にはシワが無数に刻まれている。
「なんでお前が居るんじゃ?」
「べ、別に」
ぷいっと横を向く。
すると正徳ははぁーっとため息をついた。
「お前のことだから、どうせいらんことしにきたんだろう。芳明様、どうかこやつめの御無礼、お許しくだされ」
「でっ!!」
土下座をしようとした正徳に頭を押さえつけられた。必然的に膝ががくんと曲がり、畳に額が激突した。
「な、何するんだよっ!!」
「謝罪じゃよ。わしはそんな子に育てた覚えはないがのう……」
遠い目をする。そして小さく念仏を唱え始めた。
「おい、じいさん!こいつに言ってや……ああぁぁ!!」
「人様のことを『こいつ』とは、颯介も偉くなったもんじゃのう」
この歳になってゲンコツを喰らうなんて……しかもじいさんに。俺ってこんなに弱かったっけ?いや、じいさんが歳の割には強力なんだっ!!
「はっはっは。もっとやってくださっても結構ですよ……正徳様、この男とはお知り合いですか?」
「知り合いも何も、わしがこいつを育てたんですわ。もう仕様がない子ですが、目を瞑ってくだされ……ただ」
「ただ?」
芳明が小首を傾げる。
正徳は続けた。
「こやつめがこれほど怒っていることは珍しいですな。芳明様もなにかされたのでしょう?こやつは頑固なところもありますが、言っていることに一片の間違いはない、とわしは思って居ります。こいつの忠告にはわしでも叶いません。不愉快なことばかり言いますが、どうか記憶に止めておいてください」
むぅっと芳明は黙った。
得体の知れない男の話なら、一蹴してしまえばそれでお終いにできる。だが、高僧の話だと、さすがに無下にはできない。
無言の芳明を見て、正徳はふうっとため息をつく。
そして颯介たちの方を見て優しく言った。
「さぁさぁ、もうこの話は終わりじゃ。これから芳明様とわしは話がある。子供はみんな下がりなさい」
ニコニコと微笑みながら襖を開けた。
そして促されるように7人は部屋から出た。
フェリス神父の出番はいつか、と自分自身に問うてみる(笑)
読んでいただき、ありがとうございました☆