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咲かせ屋  作者: 玖龍
江奈姫の運命
22/37

思わぬ再会

お久しぶりです。。テストが終わったので投稿再開ですっ!!


……だいぶ前に更新したので、話を忘れてたりします(私が)

 「おっさん、表に出ろ。俺がその根性、一から叩き直してやる……!」

 「そ、颯介……?」

 江奈姫が心配そうに声をかけた。

 「もう、やめてよ……颯介、あたしが悪かったの。なにもし」

 「俺が嫌なんだっ!!」

 振り向かずに叫ぶ。それに江奈姫は一瞬びくっとした。

 「江奈は知らねーだろうが、俺は捨て子だ。亜里菜も、沙耶も鈴も。そして左之助も。俺たちみんな捨て子さ。捨てられたときになんて言われたか、俺は覚えている……『お前の幸せのためにこうするんだから』ってな。だけどなぁ!人の幸せなんて他人が勝手に決めるもんじゃねぇ。俺の幸せは俺が決める。お前の幸せは父親の幸せか?違うだろ?人ってもんは意志を持ってるんだ。それを権力で捻り潰していいもんじゃねぇ……俺はそれをこいつに分からせる」

 

 言い終わったとき、突然芳明は笑い出した。

 いつまでも止めようとしない。あろうことか、ごろんっと寝そべり始めた。

 

 かちんときて、さらに言う。

 「おまえ、ふざけてんのかっ!?いい加減いしろよっ!!」

 「ぬしこそふざけるな」

 ニヤけた顔で放つ。しんとする部屋。

 それを見て、芳明は続けた。

 「『俺の幸せは俺が決める』?たわけが。お前一個人の意志なんぞどうでもいいのだ。強い者が弱い者に従う……それは当然のことだろう。何を今更、たわけたことを申して居るのだ。第一なんだ。わしの家に土足で上がり込んできて、わしをどうすると?まさに、あさましかりけり、だな」

 「てんめー……」



 「失礼します。芳明様、住職さまがいらっしゃいました」



 険悪な雰囲気の部屋に、凛とした女性の声が響いた。

 「おうおう、ここに連れてこい……丁度、説教せねばならんやつがおるからの……はっはっは」

 「かしこまりました」




 〜数分後〜


 「失礼致します」

 がらがらっと襖が開く。そこにいたのは……


 「じいさん?」

 「なんじゃ、颯介じゃないか」

 

 じいさんーーそれは颯介たちの出身村、香朶村(かだむら)の唯一寺の住職で、彼らの育ての親である、正徳(しょうとく)だった。

 もう既に『じいさん』と呼ばれる年齢に入ってる。剃髪した頭と顔にはシワが無数に刻まれている。


 「なんでお前が居るんじゃ?」

 「べ、別に」

 ぷいっと横を向く。

 すると正徳ははぁーっとため息をついた。

 「お前のことだから、どうせいらんことしにきたんだろう。芳明様、どうかこやつめの御無礼、お許しくだされ」

 「でっ!!」

 土下座をしようとした正徳に頭を押さえつけられた。必然的に膝ががくんと曲がり、畳に額が激突した。

 

 「な、何するんだよっ!!」

 「謝罪じゃよ。わしはそんな子に育てた覚えはないがのう……」

 遠い目をする。そして小さく念仏を唱え始めた。

 「おい、じいさん!こいつに言ってや……ああぁぁ!!」

 「人様のことを『こいつ』とは、颯介も偉くなったもんじゃのう」

 この歳になってゲンコツを喰らうなんて……しかもじいさんに。俺ってこんなに弱かったっけ?いや、じいさんが歳の割には強力なんだっ!!

 

 「はっはっは。もっとやってくださっても結構ですよ……正徳様、この男とはお知り合いですか?」

 「知り合いも何も、わしがこいつを育てたんですわ。もう仕様がない子ですが、目を瞑ってくだされ……ただ」

 「ただ?」

 芳明が小首を傾げる。

 正徳は続けた。

 「こやつめがこれほど怒っていることは珍しいですな。芳明様もなにかされたのでしょう?こやつは頑固なところもありますが、言っていることに一片の間違いはない、とわしは思って居ります。こいつの忠告にはわしでも叶いません。不愉快なことばかり言いますが、どうか記憶に止めておいてください」

 むぅっと芳明は黙った。

 得体の知れない男の話なら、一蹴してしまえばそれでお終いにできる。だが、高僧の話だと、さすがに無下にはできない。

 無言の芳明を見て、正徳はふうっとため息をつく。

 そして颯介たちの方を見て優しく言った。

 「さぁさぁ、もうこの話は終わりじゃ。これから芳明様とわしは話がある。子供はみんな下がりなさい」

 ニコニコと微笑みながら襖を開けた。



 そして促されるように7人は部屋から出た。

フェリス神父の出番はいつか、と自分自身に問うてみる(笑)


読んでいただき、ありがとうございました☆

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