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咲かせ屋  作者: 玖龍
江奈姫の運命
19/37

帰宅

 「風井様にお目にかかりたく候。どうか通していただきたい」

 佐之助が開けた門に向かって言う。

 


 ここは、この辺りでも一際目立つ大きな屋敷――江奈姫の実家。

 彼女の結婚を取りやめさせ、俺たちの旅の同行を認めてもらうために7人で乗り込むというわけだ。

 


 佐之助が声を掛けてから数秒後。

 奥から槍を片手にした男が4人出てきた。

 「ぬしらは何者じゃっ!怪しい奴らめ……何用じゃ!?次第によればひっ捕らえるぞ」

 一番ゴツい男が言った。

 佐之助が返答する。

 「我々は風井様に用事があるのだ。そなたらには関係がない。控えい」

 「なんだと……!素性のわからん奴らは通せんことになっておるのだ」

 「私は将軍家に仕える、柳井佐之助だ。奉行所方にご確認いたさればおわかり申す。この者たちは皆私の信頼のおける部下である」

 「じゃあ、あの異人はなんなんだよ」

 男がフェリス神父を指差す。

 「あれは……」

 佐之助が苦虫をかみつぶしたような顔になる。

 それを見た男らがニヤッと笑った。

 「怪しい奴らめ……皆の者!こやつらを捕らえよっ!!」

 おぉー!っと震えるような声を上げて、男らが走り出した。


 「うるせー!」

 俺が手を勢いよく横に振る。

 すると辺りに甘い匂いが立ち込めた。

 「なんだ……こ…れ……?」

 猛者たちがふらふらと地面に倒れ、そのまま動かなくなった。

 「ほら、起きろ」

 アレ(・・)の巻き添えを食らった後ろの6人をぺしぺし叩いていく。するとみんな徐に立ち上がり始めた。

 江奈姫が前方の様子を見て凍りつく。

 「し、死んでない……よね?」

 「あったりめぇだ。寝てるだけだ。俺が合図すれば起きる」

 「本当……?」

 「なんで嘘つかなきゃいけねぇんだよ……ほら行くぞ」

 眠りこけた男たちを怪しまれないように門の中へ入れ(道端に大の字になってる男がいたら邪魔だろ?)、何事もなかったかのように門をくぐった。



*****************************


 「江奈姫様?」

 女中の一人が江奈姫の姿を見て叫ぶ。

 「江奈姫様、今までいずこにいらっしゃられたのですか?お父上様が心配されておりましたよ」

 するするっと彼女に近づいて、裾を目に当て始めた。

 江奈姫がおろおろしだす。

 「あ、耀(あかる)、泣かないで……ごめんね、ごめん……」 

 必死に泣き出した女中を慰める。

 「江奈姫。それぐらいにしときな……おい、風井様はどこだ?」

 そう言うと、後ろから薙刀を持った女性が現れた。

 「なにやつじゃっ!そなたらが江奈姫様を誘拐したのだな!?即刻牢へ!」

 喉元に刃を突きつけられる。

 「ご、誤解だっ!!というか、俺たちは風井大名に話があるんだっ!」

 「ええい、何を申す!芳明(よしあき)様にまで手を出すか!そなたらは」

 「やめてっ!!」

 薙刀の女たちの手が止まる――江奈姫が彼女らに叫んだ(命令した)からだ。

 「その人たちは何も悪くないわ……今回のことも全部私が企てたもの。町に逃げ出して、たまたまそこにいたその人たちに助けを請いたのよ。だから……その手を離して頂戴」

 伏目がちに言う。すると渋々女たちが薙刀を下ろしていった。

 


 「私たちは何ら怪しいものではありませぬ。私は柳井左之助。将軍家の会計方で働いております。そちらの方へご確認くださればお分かりになります」

 「して、何用じゃ」

 一番強そうな(いろんな意味で)女性が威圧的に尋ねる。

 左之助は丁寧に低頭しながら答えた。

 「私どもは江奈姫様のことで風井様にお目に掛かりたく候。どうか通していただけぬか?」

 「……誰か傍へ」

 一人の女中が彼女の元へ走っていき、耳打ちされた。そして奥のほうへ走っていった。


 数分後、彼女は戻ってきて、女性に耳打ちする。

 一瞬眉をひそめたが、頷いて、こちらへ向き直った。

 「芳明様がお会いになるそうじゃ。くれぐれも無礼のないように。さぁ誰かご案内してさしあげなさい」



 ……一応、第一関門突破(かな?)。


左之助のしゃべり……意外と難しかったです。。


読んでくださりありがとうございました☆

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