江奈姫の覚悟
お久しぶりです☆
覚悟、とか言ってますが微妙です。。何が?と言われてしまいそうです(汗)
「い、家に……帰りたい?」
江奈姫の言葉を反復する。すると江奈姫が躊躇いがちにコクッと頷いた。
「おいおい……一体そりゃどういうことだ?」
「ご、ごめん……でも……私がいたら迷惑でしょ?」
おおっ!そんなこと思ってたのか!
「あのなぁ……迷惑だと思ってたら、俺たちもここまで来てないと思うぜ?栞奈が武州に行きたいって言ったからここまで来たのに……そりゃないだろ」
「で、でも……」
もじもじと俯く……意外と可愛いところもあるじゃねぇか
じゃなくてええぇぇぇぇ!
江奈姫がまた口を開く。
「さっきの賊たちも私狙いだったし、それで亜里菜さんや沙耶さんを戦わせてしまったし……勿論、颯介も佐之助さんも戦ってくれたけど……自分じゃ何にもできないし……これから先、織田家に嫁ぐはずだった私が逃げたことが諸国に知れ渡ったら、もっとみんなに迷惑がかかるわ。さっきみたいな賊も出てくるだろうし、父上の家来とか、まさか来ることはないだろうけど織田家の軍隊とか来たら、ひとたまりもないわ。それなら……私が家に帰って、ちゃんと嫁ぎに行った方が万事うまくいくわ。ごめんなさい……私のわがままに付き合せて……」
ぺこっと頭を下げる江奈姫。そんな彼女にすっと近づく。
「江奈、顔上げな」
「え、江奈っ!?ぶ、無礼な……!」
はい、わざとですよ?でも至って真剣だから。
「俺は、やろうと思えば本音を吐かせることができる……何が言いたいかわかるな?さっきのことはお前の本心か?俺にはそう聞こえねぇがな」
「!!」
江奈姫が俯いていた顔を真っ赤にして上げる。図星、というところか。
すらっと半分刀身を覗かせる。
「これは確かに血に酔っちまう。だけどな、明確な殺意が無ければ大丈夫だ。俺は消えたりしねぇ。で、相手の血をほんの少し……ホントに少しだぞ。こいつに触れさせるとな……あら不思議。するすると無意識のうちに口が動くわけよ……どうだ?やってみるか?」
「……い、いやよ」
明らかな嫌悪を示した顔。首をぶんぶん振る。
「まぁそうだろうな。これは所謂最終手段だ。江奈。もう一度訊く。それが江奈の本心か?」
「……家に帰って父上と話がしたい……それは本心よ。でもその後は……確かに思ってる。でも自分の意思に反することだわ……これでいいかしら?」
「上等だっ!」
ぱちんと刀を鳴らして鞘に戻す。
「俺に任せときなっ!絶対、お前の父さんを説得してみせるさ!!そうしたら晴れて、“咲かせ屋”の一員にしてやる」
「えー……私“あずさ組”がいい」
若干涙声で江奈姫が言う。
文句言うな!というか指摘するところ、そこかよ!!
「ネェネェ、颯介さん。“咲かせ屋”とは一体何なのでしょうか?」
「えー……アー……そのぉ……」
「颯さんの本職の名前、ですよ」
「いや、違う!俺の本職は」
「あ、そうなんですカ!亜里菜さん、ありがとうございます!……では颯介さん!ワタシは“咲かせ屋”のメンバーになりたいです!!」
俺の返答を待たずして、フェリス神父が言った。
「め、めんばー?」
「ええ。メンバーです!……仲間ということですよ」
「あ、そうですか……って、ついてくる気満々ですね?」
「当り前ですヨ!ワタシは神の使徒であるアナタについていくことを誓いましたし、それに故郷ではナイトをしていましたカラ!武力もありマス」
「な、ないと……?いちいち外国語使うの止めてくれませんかね?」
「アァー、すみません。ナイトとは騎士のことデス。颯介さんや、佐之助さんみたいに誰かを守る、男の人です。ワタシは宣教師としてここに来る前にはナイトをしてマシタ」
なんか頼もしいね。しかもさりげなく俺のこと褒めたよね!最高だ、神父さん。
「というわけで、颯介。一旦京に戻るぞ……いろいろ訊かねばならんこともあるしな」
役人、佐之助。取り調べ?
「え゛!?そりゃ本当か!?……頼む、亜里菜」
「あたしらは銭湯でも行って、身体を洗ってこようかねぇ。ねぇ鈴?」
「やったね!亜里ねぇ最高!」
「あ、ちょっと待ったぁ!」
……女子に見捨てられた。さっきまで泣いてた江奈姫も無視。……どうやら佐之助に捕まるほかはないようだ。
「て、手短に頼むぞ……」
「任せてな」
いや、任せてなって……どうせ、一刻ぐらいは使うんだろ?……最悪だ。俺は忙しいんだっ!!
というわけで来た道を逆戻り。再び賑わう京にお目見えですな。
再び京でお会いしましょう♪